英語独学のポイント&学習法

年の大半を外国のお客さんと旅する通訳ガイドのMarikoです。独学の英語学習法についてご紹介します。

今年こそ英語を身につけるぞ!と思った時、まずは英会話スクールなどを思い浮べると思いますが、同時に「独学」の選択肢が頭をよぎる人も多いのではないでしょうか。

とはいえ、「実際に独学って効果的なものなの?」「どこから始めたらいいの?」などと考えたりしますよね。

結論から言うと、自宅でもできる様々な英語学習法がありますので、自分に合った方法をみつけることができれば、英語を独学で身につけることは可能です。

また、言語学研究の知見に基づいたメソッドや、英語を習得した先人の知恵をまとめた本などが数多くでています。それらを参考にすると軸ができて継続しやすいと思います。

この記事では、独学で英語学習をする時の基本ステップや注意点、おすすめの学習法、学習本などをご紹介していきます。ぜひ英語の学習計画をたてる際にお役立てください。

記事の目次

英語学習の3ステップ

そもそも英語の独学はどのようなステップを踏むといいのでしょうか。

様々な英語学習法がありますが、多くの場合、

  1. 基礎力をつける(語彙・文法)
  2. インプットトレーニング(聞く・読む)
  3. アウトプットトレーニング(話す・書く)

のような流れでおこなうのがいいとされています。

まず行いたいのは、英単語などを覚えて基礎力をつけること。次におこなうのが英語脳をつくるためのインプットトレーニングで、主に「聞く」「読む」力を鍛えます。

さらに、アウトプットトレーニングをおこない、自分で考えたことを実際に言葉にして「話し」たり、「書い」たりするための力をつけていきます。

多くの学習法では、1から順番にレベルに合わせておこなっていくのが効率的だと言われています。そして、それぞれのステップをオーバーラップしながら進めていきます。

それでは、ステップごとにポイントをご紹介します。

基礎力をつける:語彙・文法

英語独学のポイント&学習法

一番はじめに取り組むべきものは、英語の基礎力づくり。「聞く」「読む」「話す」「書く」全ての土台となる、英語のデータベースの役割を果たします。

身につけるべき内容はシンプルで、大きくわけて

  • 語彙・フレーズ
  • 文法
  • 発音

の3つのみ。

これは言語の基本3要素と呼ばれ、まさにこの3つによって言葉は成り立っています。

単語やフレーズなどを覚えて、それを文法に従って組み立てることで文章がつくられます。そして、発音を学ぶことで聞き取ったり、声にだして伝えたりできるようになるんです。

それでは、ひとつひとつポイントをご紹介していきます。

語彙・フレーズの学習

日常会話で困らないための語彙数は、2000語ほどだといわれます。ビジネスで英語を使いこなすTOEIC700点以上を目指すのであれば、8000〜1万語を覚えたいところ。

とはいえ、中学高校で3000語程度は習ってきていますし、大学受験のためには英語を勉強したのであれば実は5000〜7000語ほど、一旦は頭にいれているはずです。

おすすめなのは、レベルに合わせた市販単語帳をひとつ購入して、それとは別に自分の仕事などの専門分野で使う単語帳をつくり、それらを何度も繰り返すこと。

残念ながら人間は忘却曲線というものがあり、1日で半分以上忘れてしまう生き物なので、時間をあけずに繰り返し復習することが必要です。

文法の学習

学生時代、文法は学習の中心にいたと思います。しかし、大人になってからの英語学習としては、大切だと主張する説とそうでないという説のどちらもあります。

たとえば、イングリッシュカンパニーは「最速最短!英語学習マップ」の中で、大学受験までに学んだ文法は貴重な財産なので、うまく利用すべきだと言っています。

しかし、単に型の丸暗記ではなく、ネイティブが感覚的にもっている言葉のコアイメージをとらえる認知文法という手法で考えることを提案しています。

たとえば、ネイティブはbe動詞を「〜である」なんて覚えていません。彼らがbe動詞にもっているのは「これから説明するよ」というイメージで、「This pen is...」と始まると「ペンのことを説明するんだな」と思うそうですよ。

一方、「英語は逆から学べ!」の著者・苫米地英人氏は、英文法はまだ解明しきってない法則が多すぎるので学ぶ必要はない!と文法不要論を展開していたりします。

たしかに文法って例外が多く、最終的に正解とされるのは「ネイティブが使っている表現」になりますよね。そんな文法に時間をとりすぎるのは良くないかもしれません。

言語は基本はモノマネです。個人的には中学の基礎文法の復習をおすすめしますが、あとは状況によってでてくる表現と共に学んでいくのが良いのではないかと思います。

文法の学習は、文法書をただ読むだけではなく、目、耳、口、手全てを使うことが大事です。音声を聞いて音読したり、例文をつくったりしてみてください。

おすすめなのは、瞬間英作文のトレーニング。文法の総復習をしながら、中学レベルの文法を使って日本語を瞬時に英語にする練習ができますよ。

発音の学習

語彙や文法に比べて軽視されがちですが、実は最も大切なのは発音。

というのも、語彙や文法をいくら学習しても、間違った発音で覚えると、いっこうに英語を聞きとることができませんし、話せるようにもなりません。

単語やフレーズは音声を聞きながら覚えていくことが大切。ベストセラー本「キクタンシリーズ」をはじめとして、今は多くの教材に音声資料がついていますのでどんどん活用しましょう。

日本語にない発音は要チェック。たとえば、日本語で「ア」の音は一つしかありませんが、英語には発音記号で「ʌ」「æ」「ɑ」「ə」「a」の5つの「ア」があります。

また、アクセントやイントネーションも大事で、これを間違うと相手に通じないことも。日本語は平坦な言語なので、日本人は少しオーバーにマネするとちょうどいい感じになりますよ。

インプットトレーニング:「聞く」「読む」を鍛える

英語独学のポイント&学習法

語彙・文法・発音の基礎知識を頭にいれたところで、それらを「聞いて」「読む」ことができるようにおこなうのが、インプットトレーニング。

これは、英語をすばやく理解するための脳の回路をつくっていく作業。これをおこなうことで、「聞く」「読む」はもちろんのこと、「話す」「書く」ためのベースも備わります。

代表的なトレーニングとしては、

  • 音読&リピーティング
  • シャドーイング
  • ディクテーション
  • 音声変化
  • 多読・多聴

などがあります。

ひとつひとつ説明しています。

音読&リピーティング

シンプルな手法ですが、適切なやり方でおこなうと効果が高い、音読リピーティング

音読はスクリプトを見ながら、リピーティングは音声を聞きながら節や文のかたまりごとに声にだして読むことを言います。

音読による一番の効果は、英語を語順通りに理解できるようになること。

英語と日本語では語順が異なるため、私たちは英語を返し読みをするクセがあります。しかし音読は先に進むしかないため、文章を前から順に理解する力がつくんです。

長文になると意味理解が難しくなるので、合わせて利用したいのがスラッシュリーディングという手法。節などの区切りに斜め線(/)を引いて、かたまりごとに理解していきます。

リピーティングは音を聞いてすぐ声に出すので、リスニング力や短期記憶力が鍛えられます。発音、抑揚やリズムまでそっくりそのままマネしようと努めると効果が高まりますよ。

大事なのは、読んだら理解できるレベルの教材を選ぶこと。知らない単語はほぼないくらいのものを選ぶと効果的です。

シャドーイングについて

シャドーイングは、英文音声の1、2語遅れて発音していくトレーニング。リピーティングに比べて難易度が高い代わりに、リスニング力アップの効果も高い手法です。

少し専門的な話となりますが、実はリスニングをしている時の脳内では、

  1. 音声知覚:耳に入った音を単語に分解
  2. 意味理解:語彙・文法の知識で文を理解

という、2段階の処理が瞬時におこなわれています。

シャドーイング

ヒアリングが苦手な人は「音声知覚」でつまずいているパターンが多いのですが、リピーティングやシャドーイングはこの音声知覚を自動化できるように鍛えてくれます。

シャドーイングは慣れるのに少し時間がかかります。まずは音読&リピーティングからスタートし、その後、同じ文章をつかってシャドーイングするのが効率的。

リピーティングやシャドーイングをセットでできる学習教材「音読パッケージ」や「スーパーエルマー」、携帯アプリ「イングリッシュカンパニーモバイル」などは使いやすくてとてもよくできています。

無料の教材をお探しならば、おすすめしたいのは「TED」。スピードが速いスピーチが多いのですが、興味のあるテーマなら再生速度を調整することで楽しめると思います。

ディクテーション

ディクテーションとは、音声を聞きながら書き取っていくトレーニング。これを行うことで、ヒアリングできていなかった理由が語彙・文法だったのか、音声知覚だったのかがみえてきます。

少し易しいと感じる程度の英文を聞きながら進めるのがポイントで、30秒ほどの音声を何度も聞いて紙に書き取ります。どこでつまずいているかわかってきますよ。

初心者向けには、穴埋めからスタートできるディクテーション用の教材などもたくさんでていますし、スタディサプリなどの携帯アプリもあります。

英語は流しているだけでは聞けるようにはなりません。このように集中して意味まで考えながら英語を聞くことで、推測する力が身について音が文字と一致してくるんですよね。

音声変化について

ヒアリングに自信のない人は「音声知覚」がハードルになっていることが多いのですが、実はその人たちの多くは「音声変化」が理解できていない、といわれています。

音声変化とは、単語がほかの単語と合わさって文章になる時に、発音が変わってしまうルールのこと。大事な知識なのですが、これって学校ではあまり教わらないんです。

知らない単語がない文章でも聞き取れないことってありませんか?それは実はスピードについていけていないのではなく、多くの場合、音声変化のルールを知らないことで起こります。

代表的な音声変化のルールとしては、

  • 音の連結(リンキング)
  • 音の脱落(リダクション)
  • フラップのT(フラッピング)

などがあります。

音の連結は、たとえば「Thank you」のkとyの子音が「サンキュー」とつながること。音の脱落は、「Good job」の破裂音dと子音jが「グッジョブ」となり、dの音が落ちること。

そして、「water」の母音に挟まれた子音tが「ワーラー」のようにラ行に変わるのがフラップのTと呼ばれる音声変化です。

単語単体の発音だけでなく、音声変化の知識をいれて、声にだして文章を発音して慣れていくことで、リスニング力はグッとあがりますよ。

多読について

英語をすばやく理解する回路をつくるために有効な学習法の多くは「耳」や「口」を使いますが、多読は「目」を使います。

多読は、文字通りたくさん読むという手法なのですが、

  • 辞書をひかない
  • 英語のまま理解できるレベルの英文で
  • 興味のもてる内容の本を選ぶ

などの重要ポイントがあります。

辞書をひいているとその単語でとまってしまうので、わからない言葉は飛ばしてOK。英語のまま理解できる、少しやさしいと思うレベルの文章を選ぶことが大事です。

また、楽しめない本を読んでいても逆効果になるので、合わないと思ったらさっさと次にいってください。

このトレーニングでは、英語の語順のまま、文章を日本語に訳さないで読む力を鍛えます。これを無意識に自動的におこなう、いわゆる「英語脳」をつくるんです。

この方法だと語彙が増えないのでは?と心配する人もいますが、話の内容からイメージがわく単語が増えていきますし、何度も同じ単語がでてくると意味がわかってきたりもします。

たくさん読んでいくことでリーディングスピードが速くなりますし、文法構造の理解も深まりますので、多読はどの英語レベルの人にもおすすめです。

絵本から始めてもいいですし、内容が追いやすい物語本などを読むのも◎。レベル別に幅広いトピックスの海外ニュースが配信される、POLYGLOTSのようなアプリもありますよ。

アウトプットトレーニング:「話す」「書く」を鍛える

英語独学のポイント&学習法

インプットに慣れてきたら始めたいのはアウトプットトレーニング。これは頭の中で英文をつくり、それを「話し」たり「書い」たりすること。

とはいえ、始めるタイミングも重要で、十分な英語基礎力がないといいアウトプットはできません。いきなり英会話レッスンに通っても、度胸だけついて話せるようにならないのはそのためです(笑)

また、基礎力不足のままアウトプットトレーニングをすると、間違った発音や文法などが身についてしまう、言語の「化石化」がおこる可能性があるので注意が必要。

そのため、初心者のうちは基礎力とインプットに集中し、初中級者になってからアウトプットの割合を徐々に増やしていくのがいい、というのが第二言語習得論に基づいた現在の主流の考え方です。

具体的なトレーニング法としては、

  • リプロダクション&パラフレーズ
  • リテリング
  • サマライズ
  • 英語日記
  • スピーチ練習 

などがあります。

ひとつひとつ説明していきます。

リプロダクション&パラフレーズ

リプロダクションとは、英文を1文ずつ聞いて再現するトレーニング。

リピーティングとほぼ一緒の手法ですが、スクリプトは最初から見ません。内容に集中しながらリスニングをして、聞いた英文をできるかぎり再現していきます。

これはリスニング力や短期記憶を鍛えるだけでなく、自分の頭の中のイメージを言葉にしていくスピーキングの良い練習となります。(くわしくは、こちらのリピーティングの記事をご覧ください。)

また、聞いた英文を別の言葉で言い換えるのがパラフレーズのトレーニング。リフレーズとも言いますが、表現の幅が広がります。

リプロダクションもパラフレーズも、聞いた英文を、自分の文法の知識などを利用して頭の中で英作文をして話す、総合的なトレーニングになります。

同じ英文を使って、シャドーイングなどと組み合わせて行うのが効果的です。

リテリング

リプロダクションやパラフレーズが慣れてきたところで、試したいのがリテリング。これは、re(再び)tell(伝える)という言葉からも想像がつくように、聞いたことを伝えるトレーニング。

まとまった英文の内容を英語で別の人に伝えるのですが、文章を再現するリプロダクションと違い、全体の意味をとらえて英語を組み立てるため、高度なスキルが必要となります。

スピーキングテストとして普及してきた「VERSANT®」でもこのリテリングの問題が含まれています。英語レベルを判断するものさしとしても使われているんですよね。

リテリングには様々なやり方がありますが、独学で行う場合は音声を聞いた直後に英語で説明するのがベスト。ヒアリングと文章組み立てスキルを合わせて鍛えることができます。

サマライズ

サマライズは、言葉通り要約するトレーニングです。長めの英文を聞き、英語でたとえば3文などで要点を話します。

英語を英語のまま理解して、それを日本語を介さないで説明するスキルや、英文の概略をとらえる力を鍛えます。

英語は日本語に比べて、論理的な文章構成を好みます。「結論から入って理由を3点でいう」というような文章の組み立ては、書き言葉だけでなく会話の中でもよく使います。

サマライズは、頭の中を常に整理して論理的に話す練習にもなるので、特にロジカルな話し方が必要なビジネスパーソンにおすすめのトレーニングです。

英語日記

英語で日記をつけるのも、実は良いアウトプットトレーニングとなります。

意外と普段考えていることを英文にしようとすると難しいんですよね。また、自分の考えていることって、実は会話の中で頻出する重要な内容だったりもします。

村上式シンプル英語勉強法」の中で、英会話ができるようになるための方法として「自分に関する100の話題を丸暗記」という手法が提案されていますが、これって実際効果的なんですよね。

英語日記は文法などを難しく考えすぎずに話し言葉のように書いていってOK。どんどん書くことで英語の流暢性を鍛えます。

もし次の段階として、文法やフレーズチェックをしてもらいたい場合は、無料翻訳エンジンにかけてみたり、英文添削サービスのアイディーなどで、プロに添削してもらうのも◎。

スピーチ練習

英語スピーチづくりも、総合的なアウトプットの練習となります。

英語は日本語に比べて論理的な文章構成が重要視される言語。英文スピーチ原稿づくりは、とても効果の高いライティングトレーニングになります。

構成を組み立ててスクリプトを作り、文法を確認。発声練習をする時にはぜひ録音してチェックしてみてください

発音などはSiriなどを利用するのも効果的です。オンライン英会話を利用して、ネイティブ講師にフレーズや発音チェックをしてもらうという方法もありますよ。

岡田祥吾氏の「英語学習2.0」では、オンライン英会話で事前に準備したスピーチをチェックしてもらい、そのトピックスに関する対話を続けるという学習法を紹介しています。

また、人前でのプレゼンテーションの練習を実際に行いたいのであれば、イングリッシュカンパニーの「ビジネス英会話コース」などのような特化したプログラムもあります。

このコースでは、説明スキルや要約スキルなどを鍛える徹底的なアウトプットトレーニングを3か月間おこない、コースの最後にはプレゼンテーション大会をおこなうようです。

有名な6つの学習法について

英語独学の3つのステップと、それぞれのトレーニング手段の例をご紹介してきましたが、それらの組み合わせ方や進め方などは学習法によって解釈が異なります。

そのまま片っ端から手をつけていくのだと時間がいくらあっても足りないので、自分に合う学習法をみつけて、その方法を参考にして学習計画を立てるのがおすすめ。

それでは、有名な学習法を6つご紹介します。

英語上達完全マップ(森沢洋介著)

英語上達完全マップ(森沢洋介著)

著者の森沢洋介氏は現役の英語教師。多くの受講生の英語力をアップさせてきた経験から、日本人に合う論理的な学習法を生み出したといいます。

森沢氏が特におすすめしているのは、「音読パッケージ」と「瞬間英作文」という2つのトレーニング方法。どちらもここでいうインプットトレーニングです。

音読パッケージは、音読・リピーティング・シャドーイングをセットにした、リスニング力を鍛えるためのもの。瞬間英作文では、正しい文法を使って話せる力を養います。

これは初中級者で論理的な学習方法をステップごとが知りたい人におすすめです。森沢氏はモチベーションの維持も大事な要素だと考えていて、本の中で詳しく紹介していますよ。

達人の英語学習法(竹内理著)

達人の英語学習法(竹内理著)

竹内氏は言語学の専門家。この本では、言語学者の外国語学習研究の成果と、英語学習の成功者たちがおこなった数々の学習法を網羅的に紹介しています。

さまざまな人が実際におこなった英語学習法が、このようにひとつの本にまとめられているのはとても珍しいこと。自分に合ったものをピックアップすることができます。

言語習得の臨界期説などに関しても、専門家的視点でわかりやすく説明してくれているので、世界の言語学の研究について理解を深めることもできます。

これは多くの英語の達人のやり方の中から、自分に合ったものを見つけたい人におすすめの学習法です。

最速最短!英語学習マップ(イングリッシュカンパニー著)

最速最短!英語学習マップ(イングリッシュカンパニー著)

これは、英語コーチングで実績のあるイングリッシュカンパニーから出版された本。第二言語習得研究の知見に基づいた英語トレーニング法をレベル別に紹介しています。

イングリッシュカンパニーの学習法の特徴は、自分の英語レベルを把握して弱点をみつけた上で、それを解決させる手段を考える、という段階的プロセスを大切にしていること。

実際、本の中にレベルチェックリストなどもあり、自分の課題をみつけて、今は文法をやるべきなのか、シャドーイングをすべきなのかがわかるしくみができています。

自分の現在の英語スキルをしっかり把握した上で、科学的な知見に基づいた学習計画を立てたい人におすすめです。

村上式シンプル英語勉強法(村上憲郎著)

村上式シンプル英語勉強法(村上憲郎著)

村上憲郎氏は、米Google本社の元副社長。しかし驚くのは彼が英語学習を始めたのが30歳すぎだということ。これは大人になってから本人が実践した学習法です。

彼の学習法が他と違うのは、どの英語レベルの人でも実践できるシンプルな方法だという点。「毎日1万語の単語を見て、3時間英語を聞く」など、やるべきことは明快です。

やるべきことは楽ではありませんが、それさえやればOKだと言われるとなんだかできる気がしてきます(笑)。エネルギッシュな文体で、やる気が湧いてくる一冊です。

これは少々スパルタでも、なるべくシンプルなステップで学びたい、という人に最適な学習法です。

英語学習2.0(岡田祥吾著)

英語学習2.0(岡田祥吾著)

岡田祥吾氏は、英語コーチングスクール、プログリットの代表。外資系コンサル会社勤務時代に苦手な英語でかなり苦労し、この学習法にたどり着いたとのことです。

「英語の伸び=学習生産性 x 投下時間」など、公式を持ち出すところが、まるでビジネス本のよう。ストンと腑に落ちる説明をしてくれます。

言語学の知見に基づいて英会話を5つのステップに分け、その中の苦手分野を鍛えるという学習法。音声変化のトレーニング方法なども詳しく書かれていますよ。

岡田氏は1991年生まれのアラサー。論理的な経験に基づいた英語学習法を、次世代リーダーから学びたいと思う人におすすめの学習法です。

英語は逆から学べ!(苫米地英人著)

英語は逆から学べ!(苫米地英人著)

苫米地英人氏は脳機能学者ですが、英語教育に大変関心が高い方。脳科学的に「英語脳」をつくるためのトレーニングを紹介しています。

この学習法はユニークで、「辞書は捨てよう」「日本語禁止」「文法は不要」などと過激で、とっつきにくい部分があるのも事実(笑)

しかし、脳科学者の立場から英語習得の限界年齢について意見を述べていたり、言語の意味は状況によってつくられるため、日本語訳に力を入れる学習法は間違っていると指摘したりと、興味深い主張が散りばめられている本です。

これは、今までの学校での英語教育について疑問を持っていた人や、ほかとは違う英語学習法を探している人におすすめです。

独学の英語学習法のポイント

それぞれの英語学習法で重要視しているトレーニングや心構えなどはだいぶ違うのですが、重なっているものもあります。

複数の学習法で共通しているポイントは、

  • 目標をたてて、学習計画を立てることが大切
  • 英語レベルの変化と共に学習内容を変えよう
  • インプットトレーニングが大事、特に初心者!
  • しかし最終的にアウトプットをしないと伸びない
  • 基礎文法はおさえておいたほうがいい
  • 音声変化の知識は「聞く・話す」ために大切

などがあります。

英語学習の全体像となる「地図」を持ち、「現在地」を把握して「目的地」を定めることを提案しているのは「最速最短!英語学習マップ」。

英語学習2.0」では、細かく1日の学習スケジュールを立てることだ大事だと説明しています。のんびりやらずにたとえば「3か月集中」と決める方が効率が良いとのこと。

英語の習熟度に合わせて学習法を変えていくべきであることは多くの学習法でうたっていますが、自分に合う学習スタイルが存在することを紹介しているのが「達人の英語学習法」。

初中級者はインプットが大切なのは間違いないのですが、基礎力がついてきたらネイティブと会話をすることも大切。これは「英語完全上達マップ」の中でも書かれています。

文法は「英語は逆から学べ」などで不要論もでていますが、基本的にはどの学習法でも中高時代の基礎英語はおさえることをおすすめしています。

リスニングのキーは音声変化だと説明しているのは「英語学習2.0」と「最速最短!英語学習マップ」。聞き取りで悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。

まとめ

今回は英語を独学で学習するための方法として様々な自習の手段をご紹介しましたが、実はこれはどんな英語学習のスタイルをとっている人にも役立つ内容です。

言語習得は、一朝一夕で身につくものではなく、どうしても日々の地道な自習が大切となります。

よっぽど留学並みに英語に溢れた環境にいる人でなければ、たとえスクールに通っていても自習は必須。するかしないかで格段に上達のスピードは変わるんですよね。

様々な英語学習法やトレーニング法があり、向き不向きもありますので、ぜひいろいろ試してみて自分にぴったりなものを探してみてください。