英語 ディクテーション

こんにちは、TOEIC満点のKyokoです。ディクテーションの正しい進め方、その効果、オススメ教材について書いていきます。

突然ですが、私が小学4年生~高校生まで通っていた英会話教室は、今思い返すとディクテーションにかなり力を入れていました。

なので、私は自習を含めてディクテーションを計500時間はやったと思います。英語学習法のなかでもマイナーなディクテーションに500時間も費やした人は、我ながらレアな気がします 笑。

そして私は大学生のときに英検1級に合格しました。もちろん単語を覚えたり過去問を解いたりという対策はしましたが、まわりのみんなとの一番の違いは、ディクテーションに費やした時間と労力だと思っています。

正しい方法でやり込んだら、ディクテーションは効果が高いのです!詳しく解説していきますね。

記事の目次

ディクテーションの意味とは?

ディクテーションとは、

音声を流しながら、聞き取れた英語をどんどん書き取っていく学習法

です。もちろん1回目で一字一句を書き取れる人はほぼいません。同じ音声を何度も聞くうちに、少しずつ英文を完成させていくイメージです。

ディクテーションのイメージ
まずは自分が分かるようにキーワードがメモできればOK
(英文は『日本人は英語のここが聞き取れない』から引用)

30秒ほどのまとまった音声を一気に流して、ヒントなしの完全な白紙に書き取っていくのが主流。ですが、初心者用には空欄補充タイプのディクテーション教材もありますよ。

ディクテーションでは、音声に集中しながらも、同時に手を動かしますよね。つまり負荷はかなり高めです。また、ごかましがきかないトレーニングでもあります。

ディクテーションでは「書き起こせなかった部分」が明らかになるので、自分の実力がリアルに出てしまいます。はじめは上手くいかずに落ち込むかもしれませんが、自分の弱点を克服するいい機会ですよ。

ディクテーションの進め方

ディクテーションの正しい進め方です。回数は目安なので「もう何回か聞いたら書き取れそう」と思えば、何度でもチャレンジしてください。

  • メモせずに音声を聞いて概要を掴む(1~2回)
  • キーワードを書き取る気でディクテーション(1~2回)
  • 動詞や名詞を書き取る気でディクテーション(1~2回)
  • 一字一句を完成させる気でディクテーション(1~2回)
  • スクリプトを見て答え合わせ
  • スクリプトを見ながら音声を聞く
  • スクリプトを見ながら音読シャドーイング
  • スクリプトを見ずにシャドーイング

ステップ1~4では基本的に音声は止めません。30秒だったら30秒の音声をすべて聞くということですね。でもどうしても手が出ないという方は、ステップ2~4で一文ずつ音声を止めてディクテーションするのもOK。

またいっしょに勉強する仲間がいれば、ステップ5でスクリプトを見るまえに、書き取った内容をシェアしてみましょう。お互いにヒントをもらう感じですね。そのうえでもう1~2回ディクテーションします。

仲間と会話するイメージ

ステップ6では、スクリプトを見ながら、自分が聞き取れていなかった単語やフレーズを確認します。「私、こんな簡単な単語が聞き取れなかったの?」と驚くこともあるでしょう。

それは「音声変化(=ネイティブがナチュラルスピードで話したときに起こる音の変化)」に慣れていないからかもしれません。

そこでステップ7~8で音読やシャドーイングをすることで、自分が間違えて覚えていた発音を、正しい発音に近づけることができます。そうすると次に同じ単語やフレーズを耳にしたとき、聞き取りやすくなりますよ。

ディクテーションの効果

ディクテーションの効果は大きく3つ。これは私が実際に500時間のディクテーションをして感じた、実証ずみの効果です。

  • リスニング力が伸びる
  • 自分の弱点に気がつける
  • メモを取るコツがつかめる

ひとつひとつ見ていきましょう。

リスニング力が伸びる

ディクテーションを続ければ、リスニング力がアップします。その理由は3つ。

  • 推測する力が養われるから
  • 意味を理解しながら集中して聞くから
  • 文字と音を一致させられるようになるから

シンプルすぎますね 笑。こちらもひとつずつ分解して説明します。

推測する力が養われるから

何回聞いても書き取れない単語って、必ず出てきます。例えば「can」と「can’t」がいい例。「can’t」のTは聞こえないことが多いので、当然のことなのです(リダクションという音声変化が起こっています)。

私たちが日本語で会話しているときも、一字一句パーフェクトに聞き取れているかというと、実はそうではないんです。ですが日本語は私たちの母語なので、聞き取れなかった部分は会話の流れから推測できますよね。

英語でもこの「推測する力」はとても大切。ディクテーションはこの力を伸ばす、いいトレーニングです。

ネイティブとの会話や試験のリスニングでも「ここ聞き取れなかったけど、たぶんこう言ってるんだろうな」と推測できるようになればいいですよね。

ちなみに「推測する力」は大きく「意味(文脈)から推測する力」と「文法知識をいかして、書き取れなかった単語を埋める力」に分かれます。

意味から推測 例文
「本当は行きたいけど...」のあとだから「can’t」

文法から推測 例文
「起きる」は「wake up」。「wake」だけだと文法的に間違い

このように文法に意識を向けることは、自らが正しい英語を使って話すことにも役立つと思いますよ。

意味を理解しながら集中して聞くから

まず、音声を聞き流しているだけでは、リスニング力は絶対に伸びません。意味が分かって初めて、リスニング力は伸びるのです。

例えばアラビア語などまったく知らない言葉を1日10時間も聞いたって、意味に結びつけられなければ、聞けるようにも話せるようにはならないですよね。それと同じことです。

先ほど書いたように、ディクテーションはごまかしがきかないトレーニング。意味が分からないまま書き起こすのは至難の業です。

つまり意味をしっかり理解しながらリスニングする環境、無理矢理にでも集中しないといけない環境を作れるのがディクテーションです。

文字と音を一致させられるようになるから

日本の英語教育は文法や読解に力を入れているため、日本人は「文字」に依存しているといわれます。読んだら楽勝なのに、聞くと「全然分からない」と感じた経験、みなさんもありませんか?

ディクテーションは聞いた内容を文字に起こす作業ですよね。

始めは書き取れなくても、スクリプトを見て、自分が書き起こせなかったところを繰り返し音読やシャドーイングしてみることで、音と文字が一致してきます。

つまりディクテーションは、リーディング力とリスニング力の差を埋めるのに効果的。読んだら理解できるレベルの英語が聞き取れるようになれば、リスニング力はかなり高いといえますよ。

自分の弱点に気がつける

ディクテーションで書き取れなかったところを見てみると、色んな原因が見えてきます。例えば、

  • そもそも単語を知らなかったから
  • 発音が聞き取れなかったから
  • 文法の知識があいまいだったから

単語を知らなかった場合は、教材のレベルが高すぎるのかもしれません。また自分の他のスキルに対して単語力が圧倒的に低いと感じるなら、単語力強化にフォーカスするのもひとつの手ですよね。

発音が聞き取れなかった場合、各母音や子音を区別できていない、音声変化に慣れていない、などの理由があります。あとで紹介する教材のなかには、まず発音の聞きとりトレーニングができるものもありますよ。

子音と母音の比較例
特に類似している子音や母音を聞き分けるのは難しいです

また文法の知識があいまいな場合、先ほどの「聞き取れなかった部分を推測すること」が難しくなりますよね。このような場合は「瞬間英作文」でトレーニングを積むのがいいと思います。

このようにディクテーションは自分の弱点が浮き彫りになる学習法。これって、とても大切なことだと思いませんか?

メモを取るコツがつかめる

1回のディクテーションで細部まで書き取るのはほぼ不可能です。なので最初は「キーワード」を書き取ってみましょうとお伝えしましたよね。

おまけ的な効果ではありますが、これを続けると「大切な部分だけをメモするコツ」がつかめます。英語のミーティングで議事録を頼まれたときや、英検やTOEFLのリスニングでメモをとるときにも役立ちますよ。

ちなみにTOEICのリスニングではメモが禁止されているので、要注意です!

ディクテーションのコツとアドバイス

完璧にスペルしなくていい

ディクテーションは負荷が高いトレーニングです。「音声を聞きながら手を動かすなんて無理!」って思う方もいると思います。確かに最初は手が出ないこともあります。

ましてや長い単語、例えば「responsibility」なんていう単語をすべて書き起こしていると、音声はどんどん先に進んでしまいます。でも大切なのは「まずはキーワードを拾って概要をつかむこと」ですよね。

つまり手元に注意をとられすぎず音声に集中するためには、単語の最初の3~4文字だけメモするのがコツ。あとで読んで自分が分かればいいんです。そうすればディクテーションの合間に単語を完成させられますよね。

英語の省略語の例
「省略語」もOK。チャットで使う英語が役立ちそうです

文脈がある簡単めな教材を選ぶ

そもそも知らない単語が多すぎると「聞き取れなかった単語を推測して埋める力」が発揮できませんよね。なので「知らない単語はほぼないレベル」の教材を選びましょう。

また音声の長さは、初心者~初中級者だと長くて30秒、上級者でも45秒ほどのものがいいと思います。

CNNのニュースでは、1分180語の英語が読まれると言われています。初心者用のディクテーション教材はこれよりも遅めですが、それでも30秒で60~80語はあるケースが多いです。十分なトレーニングになります。

また文脈がある教材を選ぶのもポイント。最初は短文の穴埋めでもいいのですが、慣れてきたら会話文やニュースなど、文脈がある教材にしましょう。

仲間と一緒にチャレンジ!

先ほどチラッと書いたように、誰かと一緒にやるのは本当にオススメです。

私は冒頭に書いた英会話教室で、母と姉(2歳年上)の3人でディクテーションをしていました。誰がより多くの英語を書き取れるかという競争心を燃やしていたため、それがモチベーションになっていましたよ。

また仲間がいれば、スクリプトをすぐに確認するのではなく、書き取れた内容をシェアしてもう1度ディクテーションができますよね。

すぐに答えを見るのではなく、ヒントをもらいながらも自力で答えを導きだすことは、どんな学習においても自分のためになります。

ディクテーションにオススメの教材/サイト/アプリ

ゼロからスタートディクテーション(本)

ゼロからスタートディクテーション テキスト

初心者向け。まずは母音や子音、音声変化を聞き取る練習(穴埋め)、そのあと長めの英文をディクテーションします。段階を追ってディクテーションに慣れることができますよ。

聞いて書き取る英語リスニング(本)

聞いて書き取る英語リスニング テキスト

こちらは音声変化を含め「日本人が聞き取りを苦手とするフレーズ」がたくさん載っているディクテーション用教材。テキスト前半は短文、テキスト後半から会話文になります。

いきなり長文は無理という方、ディクテーションのなかでも「単語や文法ではなくて、発音のせいで聞き取れていないのかも…」と感じている方にオススメです。

日本人は英語のここが聞き取れない(本)

日本人は英語のここが聞き取れない テキスト

アルク1000時間ヒアリングマラソンのコーナーのひとつ「ディクテーション・コンテスト」から厳選された英文をディクテーションできる教材。

各文の冒頭の2~3語だけヒントとして書かれていますが、始めから長めの英文なので中級者にオススメ。コンテスト応募者に多かった間違いランキングが見れるので、仲間がいるイメージで取り組めそうです。

1000時間ヒアリングマラソンのサイト

英語リスニング無料学習館(サイト/アプリ)

英語リスニング無料学習館 サイトの利用方法

ログイン不要、無料で使えるタイピング型のディクテーション用サイト。TOEIC問題集、YouTube、ニュースなどから、5~10秒程度の音声が切り取られています。スマホ用アプリも無料ですよ。

空いた時間にサクサク進めたい人に向いていると思います。

スタディサプリ(アプリ)

スタディサプリのサイト

リクルートによるスマホ用アプリ。レベルに合ったストーリーを選んで、ディクテーションしたり、シャドーイングをしたりと、色んな用途があります。音声変化に特化したクイズもありますよ(口コミはこちら)。

こちらは月額2,178円(税込)~です。

TED Talks(サイト)

TED talks のサイト

TEDとは、政治家やノーベル賞受賞者、ジャーナリストなど、色んな分野で活躍している人のプレゼンや講演会を無料で閲覧できるサイトです(口コミはこちら)。

まったく知らない分野は難しいと思うので、興味のある分野のプレゼンを選んでディクテーションするのがオススメ。英語学習者用ではないリアルな英語なので、力が伸びると思いますよ。こちらは上級者向けです。

イングリッシュセントラル(サイト)

イングリッシュセントラルのサイト

英語学習用の動画サイト。英語学習用といえど、有名人のインタビューを切り取ったものなどナチュラルな動画が多いですよ(口コミはこちら)。

こちらはレベル別にたくさんの動画があるので、ディクテーション用教材に飽きてしまったという初級~中級者も使えると思います。

洋楽アーティストの歌「lyricstraining」(サイト)

lyricstraining のサイト

気分転換にオススメ。歌を聞き取るのはなかなか難しいですが、好きなアーティストなら頑張れそうですね。

「lyricstraining」というサイトには、色んなジャンルの洋楽が毎日何十曲も追加されています。しかも会員登録なしで、歌詞の「10%、25%、50%、100%」と4段階のレベルで穴埋め(タイピング)ができるんです。

無料会員登録すれば、スコアランキングに自分の名前が載ることも!これなら楽しく続けられそうです。

まとめ:ディクテーションは効果が高い

ディクテーションは初心者にとってはもちろん、英語に自信がある方でも最初は難しいと感じるトレーニングです。でもコツさえ分かればどんどんできるようになるし、できるようになれば色んな効果が期待できます。

  • リスニング力が伸びる
  • 自分の弱点に気がつける
  • メモを取るコツがつかめる

ディクテーション用の教材をはじめ、プレゼン動画、洋楽アーティストの歌、さらに英語のニュースや資格試験の問題集など、ディクテーションができる素材はみなさんのまわりにもたくさんあります。

ぜひ騙されたと思ってディクテーションを続けてみてください。きっと効果を感じるはずです。