英語 音読

英検1級、TOEIC満点のKyokoです。英語の音読が持つ効果、その効果を最大化するためのやり方やオススメ教材について書いていきます。

中学や高校で音読したことがあるという方、多いと思います。でもそのときは「意味を考えずに、ただ言われるがままに文字を追っていただけ...」という方も、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?

音読はとても効果が高い学習法です。ただその効果を感じるには、適切なやり方を守ることが不可欠。何も考えずにただ文字を声に出しているだけでは、おそらく30%ほどの効果しかないでしょう。

そこで、リピーティングや音読など「英語を聞いて声に出す」トレーニングを中学高校と続けることで、大学生のときに英検1級に合格した私Kyokoが、音読について初心者の方にも分かりやすく解説します!

記事の目次

英語の音読とは?

スクリプト(文字)を見ながら、英語を声に出して読むこと

みなさんは小さいころ、紙芝居や絵本の「朗読」をしてもらったことがありますか?声に出して文章を読むという意味では「音読≒朗読」です。

でも、音読と違って朗読には聞き手がいますよね。みなさんが英語を音読するときにも、恥ずかしがらず、誰かに話しかけるイメージを持つと効果が高まりますよ。

そのほかにも、音読を効果的にするためには必ず守るべき注意点がいくつかあります。「音読にどんな効果があるのか早く知りたい!」という方も、まずは「正しい音読の進め方」にお付き合いください。

正しい音読の進め方は?

音読は「文字を見ながら、声に出して読むこと」。自分だけの力で完結できるイメージがありますよね。

ですが、たくさん出版されている音読のテキストのなかに、CDが付いていないものは、ほぼありません。つまり音読を効果的に進めるには「お手本の音声を聞くこと」が不可欠なのです。

音読パッケージ』など数々のヒット学習本を出版している森沢洋介氏、そして『英会話・ぜったい・音読』の著者である國弘氏は、2人とも音読を「稼働系トレーニング」と呼んでいます。

ただ、テキストを読み上げるだけなら「声(口)」を使っているだけ。でも英語はコミュニケーションのためのものなので、音読だけに頼ると「耳」を使ったトレーニングが欠けているといいます。

音読はリピーティングやシャドーイングと組み合わせるべし

2人が強調しているのは「音読は、耳を使ったトレーニングと組み合わせると効果を発揮する」ということ。

リピーティングやシャドーイングでは音声をすぐにマネるので、聞いた音を英語のまま理解する力に繋がります。英語らしい発音やリズムも身につけられます。文字を見ずに行うとかなり負荷の高いトレーニングです。

一方で音読は、読んだら意味が分かる「文字」を頼りに自分で発声します。音をすぐマネするのではありません。リピーティングやシャドーイングと比べて、英文の意味を自分のなかによりしっかりと落とし込めます。

またリピーティングのあとすぐに音読をすれば、耳に残っている正しい発音で音読ができますし、リピーティングが難しいと感じたら、音読で意味や音をより深く理解することで、リピーティングが簡単になります。

つまり、リピーティング、シャドーイング、音読は、お互いの効果を高め合うということ。音読は「お手本の音声をマネするトレーニング」といっしょに行うことで、効果が2倍にも3倍にもなるのです。

音読の具体的な手順

ここで森沢洋介氏の『音読パッケージ』にならって、音読のやり方を見てみましょう。

英語のテキストの本文
『音読パッケージ』から引用

  1. スクリプトなしでリスニングをして内容把握
  2. リピーティングしながらスクリプトを1文ずつ確認
  3. スクリプトを見て「文字」と「音声」を一致
  4. リピーティング(スクリプトなし→あり)
  5. 耳に残っている音を再現するように音読
  6. スクリプトを見ずにリピーティング
  7. スクリプトを見ずにシャドーイング

なぜこのような流れで行うのが一番効果的なのでしょうか。

まず私たちは文法や読解に力を注いできたせいで、どうしても「文字に依存している」といわれます。リーディングよりリスニングのほうが苦手と感じる方は、多いのではないでしょうか?

そこでまず文字ではなく音(リスニング)で内容を把握すること、ステップ3で文字からイメージする音とCDから聞こえる音を一致させることで、「脱・文字依存」を目指します。

リピーティングやシャドーイングなど「正しい音をマネするトレーニング」といっしょに音読するのもこのため。意味や文構造をしっかり捉えながら音読するのも大切ですよ。

音読にはどんな効果があるの?

効果① 速読の力が身につく

まずはこの文章を声に出さず、静かに読んでみてください。

テキスト
『音読パッケージ(森沢洋介氏)』から引用

2行目までは簡単ですよね。そして3行目で「his coffee」が目に入ります。ここで私は「coffeeを飲む...どんな動詞が使われていたっけ?」と無意識に「sipping」に目を戻してしまいました。

「sip」という単語は知っています。ですが私にとっては日常的にそこまで頻繁に使う単語ではありません。黙読をしていると、このように無意識に「返り読み」をしてしまうのです。

一方で音読では、基本的に返り読みはできません。文章の意味をイメージしながら、前に前に読み進めていかなくてはならないのです。

つまり音読は「英語の語順に慣れる」ためのトレーニングになります。みなさんご存知だと思いますが、英語と日本語では語順が違いますよね。まずは簡単な文章を例にとってみましょう。

日本語と英語の例文

日本語は「主語+目的語+動詞」なのに対して、英語は「主語+動詞+目的語」。この語順の違いが、私たちがリーディングやリスニングで英語を瞬時に理解するのが難しいと感じる理由のひとつです。

先ほどの「He was sipping his coffee.」というのも、日本語なら「彼はコーヒーを飲んでいた」という語順になるため、英語の「coffee」という単語を見たあとに、動詞を探して前戻りしてしまうのです。

ただこのあたりのレベルの文章だと、意味をパッと理解できる人も多いですよね。ではこちらだとどうでしょうか。

日本語と英語の例文

日本語では「何年も会っていなかった友達」というふうに、友達の説明が先にきます。ですが英語では「友達にばったり会った」と結論を言ってから、その友達がどんな友達なのか付け加えていますよね。

英語の語順に慣れていなければ、「何年も会っていない…」と文章の後半まで読んだあとに、「その友達がどうしたんだっけ?」と返り読みをしてしまうのです。

繰り返しになりますが、音読では返り読みができません。そうやって強制的に返り読みを減らすことで、日本語の語順を基準にせず、文章を前から前から理解する力、英語を英語のまま理解する力に繋がります。

そうやって音読を続けることで、黙読をするときにも返り読みが必要なくなり、速読の力が身につく(リーディングのスピードが上がる)のです。

効果② リスニング力が伸びる

「英語を英語のまま理解する力」は速読にも繋がりますが、もっと嬉しい効果はリスニング力がアップすること。

ただこれは先ほど言った、音読と組み合わせるべき「シャドーイングやリピーティング」による効果と言ったほうが正しいかもしれません。

特にリアルな会話となると、CDでのリスニングと違って「ちょっと分からなかったから巻き戻し」はできませんよね。またTOEICのリスニングセクションでも、音声が流れるのは1回のみです。

音声を使いながらの音読で返り読みを減らし、英語を語順どおり理解する力が身につけば「音は聞き取れるけど、意味がとれない…」という方もきっと効果を感じると思いますよ。

効果③ 発音がよくなる

音読は発音にも効果があります。ですがお手本の音声を使わず、自己流の発音で続けていては、音読は少なくとも「発音」にはほとんど効果がありません。正しい音を参考に音読をすれば、発音もよくなりますよ。

効果④ 単語を正しい状況で使えるようになる

先ほどのこの文章。

英語のテキスト

3行目の「sip」は大まかにいえば「飲む」という意味ですよね。ですが、日本語訳だけ覚えていると「drink」とどう違うかは説明できないかもしれません。

ここでもし前後に「コーヒーが熱い」という表現があれば「sip=ちびちび飲むこと」が想像できます。

またどこか別の機会で「Your coffee smells nice! Can I have a sip?」という表現を見つければ、「飲む」とだけ覚えていた「sip」には「ひと口」という名詞の用法もあるのか...と分かりますよね。

単語や熟語は文脈(コンテクスト)で覚えることがとても大切。どんなニュアンスなのか、どういうシーンで使われるのかが分かれば、状況に適した単語を選択できるようになります。

音読で、ある程度の長さの文章を読みこむことは「日本語訳は知っているけど、いつ使えばいいか分からないかも」というレベルの単語に大きな効果を発揮するのです。

(もちろん黙読をしていても、単語を文脈で覚えられます。ですが先ほども書いたように英語はコミュニケーションのためのものなので、音で覚えたほうがいいのです。)

音読についてのアドバイスと注意点

初心者はスラッシュリーディングを取り入れよう

「まだまだ英語の意味がパッと理解できない」という方は、音読に「スラッシュリーディング」を取り入れるのがオススメ。これは「意味のカタマリ」ごとに区切って(スラッシュを入れて)読む学習法です。

英語の例文

そうすると英語の文構造を把握しやすくなりますよ。

自分の声を録音してみよう

お手本の音声を聞いてから音読をするといっても、自分の発音が正しいか客観的に判断するのはなかなか難しいです。アドバイスをくれるネイティブがいたらいいですが、それができれば苦労しませんよね。

そこでオススメなのが自分の声を録音すること。そしてお手本と自分の声を比べて、気になった部分は何度も音読しなおしてみましょう。各単語の発音だけでなく、リズムやスピードにも気をつけてみるといいですよ。

簡単だと思うレベルの教材を選ぼう

見たことも聞いたこともないというレベルの単語は、ほぼゼロという教材を選びましょう。つまりスクリプトを見れば、楽々と意味が理解できるレベルということです。

そうしないと、音読で大切な「返り読みをしない」ということが困難になります。音読は「既に持っている知識を使えるようになるためのトレーニング」ということを覚えておいてくださいね。

音声が付いている教材を選ぼう

ここまで読んでくださったみなさんは当たり前に感じると思いますが、必ずお手本の音声が付いている教材を選びましょう。

新聞や雑誌は音読には向いていないということですね。また文法書にある例文なども、文脈がよく分からないことが多いので、音読にはオススメしません。

棒読みにならないよう気をつけよう

文章のなかで重要な部分はどこか考えつつ、内容をイメージしながら音読しましょう。そうすると自然とリズムやアップダウン、スピードにも注意を向けることができます。

誰かに読み聞かせをするイメージで、恥ずかしがらずに強弱や抑揚をつけて読んでみましょう。

文字に依存しすぎると感情を込めるのが難しいので「Read and Look up(=まず文字を見ながら音読、次に文字から目を外して音読)」もオススメ。感情をこめて音読すると、文構造や単語の定着が全く違いますよ。

音読にオススメの教材

先ほどから書いているように、音読はリピーティングやシャドーイングと一緒にやる必要があります。リピーティングシャドーイングについての記事にも、オススメ教材を載せていますよ。

音読パッケージトレーニング

音読に一番オススメなのは、やはりこちらの『音読パッケージトレーニング』シリーズです。著者の森沢氏は瞬間英作文の本もたくさん出版しており、1つの本が50万冊も売れているほどの人気ぶりです。

音読のテキストの表紙

効果的な音読の進め方が細かく書かれているので、まずはこれ1冊をやり込んでみるといいと思います。この教材についての口コミ(8件)はこちら

スーパーエルマー

TOEICのリスニング対策にも人気の『スーパーエルマー』。ニュース記事を使って、文章を前から前から理解していくのにぴったりの教材です。

複数の英語のテキスト

CDが「意味のカタマリ」ごとに区切ってあるので、特にスラッシュリーディングにオススメ。口コミ(16件)も参考にしてくださいね。

英会話・ぜったい・音読

各ユニットで中学レベルの基礎的な文法がカバーされている、音読専用の本です。会話形式のダイアログが多いので、感情を込めて音読しやすいと思いますよ。口コミはこちら(5件)

音読のテキストの表紙

レベルは入門、標準、挑戦編とあります。著者は有名な同時通訳者。入門編の内容はかなり易しいので「音読したいけど、自分にできるかな...」と感じている方は『音読パッケージ』の前に使ってみるといいと思います。

音読の前にオススメの本

『英会話・ぜったい音読 入門編』などは特に易しいレベルですが、音読はあくまで「今ある知識を実践に移すためのトレーニング」。基礎的な知識が全然ないという方は、文法や単語の復習から始めましょう。

中1英語をひとつひとつわかりやすく

「主語とは」「動詞とは」「3人称とは」など、中学1年の1学期に習うような文法から丁寧に分かりやすく解説されています。

英語のテキストの表紙

どんどん話すための瞬間英作文トレーニング

瞬間英作文は、音読の前というよりも、音読と併行して行うべきと言ったほうが適切かもしれません。

音読には、自分で英文を作るという作業はありませんよね。自分で日本語を英語に変換する瞬間英作文でトレーニングを積めば、文法の知識が使えるようになり、スピーキング力が伸びます。

複数の英語のテキスト
音読パッケージと同じく森沢洋介 著

まとめ:音読は正しくやれば効果大!

音読の正しい進め方は、リピーティングやシャドーイングといった、お手本の音声を使ったトレーニングと組み合わせること。そうするとたくさんの嬉しい効果がありますよ。

  • 速読の力が身につく
  • リスニング力が伸びる
  • 発音がよくなる
  • 単語を正しい状況で使えるようになる

さらに難しすぎない教材を選ぶこと、ある程度長い文章がある教材を選ぶこと、意味をイメージすること、感情を込めて発音やリズムに意識を向けることも、音読の効果を高めるには大切です。

正しい音読で「英語を英語のまま前から理解する力」を身につけ、リスニング力アップを目指しましょう!