TOEIC満点のKyokoです。スラッシュリーディングのやり方、効果、教材について分かりやすく解説します!

「スラッシュリーディングがいいって聞いたけど、効果あるの…?」と感じている方。効果がよく分からないまま、忙しい日々のなかで時間を作るのはイヤですよね。

私もTOEIC満点を取るまで、スラッシュリーディングをはじめ、ディクテーションやシャドーイングなどメジャーな学習法はすべて試しました。

Kyoko TOEICスコア

それぞれの学習法には異なる効果があるのですが、スラッシュリーディングには、

  • 英文を読むスピードが上がる
  • リスニング力が少しアップする

という嬉しい効果があります。ということはTOEICにも役立つということ!お金を出してTOEIC対策スクールに通うのもアリですが、まず自分でできることはやっておいたほうが効率的だと思いませんか?

記事の目次

スラッシュリーディングとは?

スラッシュリーディングは、

英文にスラッシュ( / )を入れて、語順どおり前から意味を理解していく

という学習法です。例えばこんな感じ。

スラッシュリーディング 学習法 例文

この文章、自然な日本語訳にするとこうなりますよね。

スラッシュリーディング 学習法 例文

英語だと「The girl」は文頭にあるのに、日本語だと「その女の子」は文の途中にありますよね。「U.S.」も英語では最後なのに、日本語だと違います。

日本語と英語は語順が違います。そして自然な日本語に訳そうとすると、英語の語順を頭のなかで入れ替えたり、文章を戻って読んだりしなきゃいけないんです。

一方でスラッシュリーディングでは、英語を語順どおり前から理解していきますよね。また「文の構造がよく分からない」というときにスラッシュで区切ると、意味がとりやすくもなります。

スラッシュリーディングで英語の文構造や語順に慣れる→英語を前から理解できるようになる→英文を読むスピードが上がる(リスニング力も少しアップする)のです。

そもそも日本語と英語の語順ってどう違うの?

みなさんチラッとは聞いたことがあると思うんですが、英語と日本語はまったく語順が違う言語なんですよね。例えば、こちらの違いは有名だと思います。

日本語と英語の語順の比較 例文

日本語は「SOV型」で、英語は「SVO型」(S=主語、O=目的語、V=動詞)。世界中の言語をみわたしても、この2つの語順は同じくらいメジャーなんですよ(ちなみに世界にはOやVで始まる言語も!)。

さらに日本人にとって英語の語順が難しい理由として「関係代名詞」があります。

日本語と英語の語順の違い 関係代名詞の説明

英語を最後まで読んで「何年も会ってなかった友達...。その友達がどうしたんだっけ?」と思って「ran into(ばったり会った)」に目を戻していると、余分な時間がかかってしまいますよね。

スラッシュリーディングの効果は?

スラッシュリーディングを続けて、日本語とは大きく違う英語の文構造や語順に慣れてくると、こんな嬉しい効果があります。

  • 英文を読むスピードが上がる
  • リスニング力が少しアップする

ひとつずつ見ていきましょう。

英文を読むスピードが上がる

これは当たり前の効果ともいえるかもしれません。

英語を前から理解する力が身につく→文章を右から左に返り読みしなくなる→読むスピードが上がる

ということです。

TOEICのリーディングにも効果あり?

TOEICを受けたことがある方、かなり多いと思います。ハイスコアを取れば仕事のチャンスが広がるなんて方もいらっしゃいますよね。

スラッシュリーディングはTOEICにも必ず役立ちます。特にリーディングのパート7に効果がありますよ。こちらはパート7の一例です。

TOEIC リーディングのパート7 一例
TOEIC公式サイトより

かなりの文量だと思いませんか?これを読んで5問の質問に答えるんですが、かけられる時間は5分ちょっと。TOEICってひとつひとつの問題がそこまで難しいわけじゃないんですが、なんせ時間が足らないんです。

私も初めてTOEICを受けたときは時間が足りなくて、最後の20問はすべてBにマークした記憶があります。あのときのリーディングスコアはひどかったです...笑。

というわけで、TOEICではスピーディに英文を読んで意味を理解する力が求めらるので、スラッシュリーディングは役立ちますよ。

ただしTOEIC受験当日にスラッシュリーディングをしながら英文を読むことはできないので要注意です!TOEICでは問題用紙にメモするのは禁止されていますからね。

リスニング力が少しアップする

英文を語順どおり前から理解する力、これは返り読み(返り聞き)ができないリスニングにも役立ちます。

「ひとつひとつの単語は拾えるのに、音声が速すぎて全体の意味がとれない」という方なら、特に効果を感じると思いますよ。

ただスラッシュリーディングは英文を読むトレーニングなので、それだけでリスニング力が飛躍的にアップするとは思わないでください。

リスニングには、ネイティブが自然に話したときに起こる「音声変化」を含め、自分が持っている知識と耳に入ってきた音を一致させる力も必要だからです。

スラッシュリーディングのやり方

それではスラッシュリーディングのやり方を詳しく紹介します。

まずは文章を用意します。ここではTOEICの模擬試験から引用してみました。

Mooringtown Library is pleased to invite local community groups to use the free advertising space on its new notice board, located outside the front entrance of the library.

(ムーリンタウン図書館は、図書館の正面玄関の外にある新しい掲示板の無料広告スペースを使っていただくのに、地元のコミュニティー団体を歓迎します)

一文にしてはかなり長いですよね。ここでスラッシュを入れると、だいぶ読みやすくなります。

Mooringtown Library is pleased / to invite local community groups / to use the free advertising space / on its new notice board, / located outside the front entrance / of the library.

(ムーリンタウン図書館は光栄に思っています / 地元のコミュニティー団体を招待する / 無料広告スペースを使う / 新しい掲示板の / 正面玄関の外にある / 図書館の)

こま切れになってるので、日本語にしなくても英語のまま意味がとれる方もいるのではないでしょうか。

英語→日本語と声に出すサイトトランスレーションとは違って、スラッシュリーディングには、日本語に訳すべきかという厳密な定義はありません。

日本語に訳さず意味をイメージできるのがベストなんですね。むしろ日本語に訳さないでも理解できるように、スラッシュを入れるという感じ。ですが、初心者の方は日本語に訳してもOKですよ。

そして「スラッシュってどういう基準で入れてるの?」って思った方。これから説明していきます。

どこでスラッシュを入れたらいいの?

基本的に「ここに入れなきゃダメ」、逆に「ここには入れたらダメ」というルールはありません。スラッシュリーディングがテストに出ることはないし、あくまで自分が英語を理解しやすくするためですからね。

ですがだいたいの基準はあります。

  • 接続詞やコンマの前後
  • that節の前
  • 関係代名詞の前後
  • 前置詞や副詞句の前
  • to不定詞や動名詞の前

接続詞やコンマの前後

スラッシュリーディング スラッシュを入れる位置 接続詞やコンマの前後 例文

接続詞には「2つの文章をひとつにまとめる役割」があります。実際の会話でもポーズが入ることが多いので、スラッシュを入れると読みやすくなりますよ。

that節の前

スラッシュリーディング スラッシュを入れる位置 that節の前 例文

thatにも接続詞と同じような役割があります。thatを挟んで2つの独立した文章があると考えると、スラッシュを入れるのも自然なことですね(ちなみに2文目はthatが省略されています)。

関係代名詞の前後

関係代名詞というのは「the girl who won the singing contest(歌のコンテストで勝った女の子)」の「who」の部分ですね。

スラッシュリーディング スラッシュを入れる位置 関係代名詞の前後 例文

関係代名詞が含まれると、英語の文章はいきなり解読が難しくなります。なのでスラッシュで区切って分かりやすくしましょう。

ちなみに、例えば「the event (that) I was talking about(昨日私が話してたイベント)」のように、関係代名詞は省略されることもあります。その場合でもスラッシュを入れましょう。

前置詞や副詞句の前

スラッシュリーディング スラッシュを入れる位置 前置詞や副詞句の前 例文

こちらは慣れている人ならスラッシュを入れる必要はないと思います。ただ「I am flying back to Japan / from New York / with my family / this weekend.」など、副詞句はすごく長くなることがあるんですよね。

その場合は区切ったほうが分かりやすいと思います。

to不定詞や動名詞の前

スラッシュリーディング スラッシュを入れる位置 to不定詞や動名詞の前 例文

こちらも慣れている人はスラッシュを入れなくていいでしょう。

スラッシュを入れたらいけない場所は?

先ほど書いたように、スラッシュリーディングはテストではないので、ここで区切っちゃダメというルールはありません。ですが、例えばこの文章で、

スラッシュリーディング スラッシュを入れる位置 例文

「The / girl」や「in / the U.S.」にスラッシュを入れるのは無意味かと思います。できるだけ少ないスラッシュで意味がとれたほうがいいというのもあるし、「The+girl」でひとつの名詞として成り立っているからです。

スラッシュリーディングのコツとアドバイス

初心者は多めにスラッシュを入れて、徐々に減らそう

英語初心者の方だと、長い文章を読んだり聞いたりすると、文構造が分からずに混乱してしまいますよね。最初は多すぎると感じるくらいスラッシュを入れてもOKです。

慣れてきたら、最初の文章だとこのくらいで意味がとれるようになると思いますよ。

スラッシュリーディング スラッシュを入れる位置 例文

スラッシュが少なくても(各カタマリが長めでも)意味が理解できたほうが、読むスピードは上がりますからね。

音声トレーニングで締めくくろう

スラッシュリーディングは英文を読んで行うトレーニングですが、言語というのはそもそも聞いたり話したりしてコミュニケーションをとるためというのが大きいですよね。

なのでスラッシュリーディングをしたあとは、その文章のお手本の音声を聞いて、意味が取れるか確認しましょう。

そのあとはお手本の音声をスラッシュリーディングと同じところで止めて、リピーティングしてみるといいと思います。そうするとリスニング力もぐっと伸びると思いますよ。

オススメの教材や本

最後にスラッシュリーディングにオススメの教材や本を紹介します。お手本音声が付いているものばかりを選びました。

究極の英語リーディング

究極の英語リーディング テキスト

アルク出版。初心者レベルの1,000単語を使った、各1分ほどで読めるシンプルな英文が収録されています。スラッシュリーディングでどこにスラッシュを入れたらいいかも書かれていますよ。

リーディングが苦手という初心者さんにオススメです!

英語スラッシュリスニングトレーニング

英語スラッシュ・リスニングトレーニング テキスト

テーマは環境だったり政治だったりと難しそうなのですが、意外と分かりやすく書かれています。こちらもスクリプトにはスラッシュがあり、CDにも意味のカタマリごとにポーズが入っています。

スーパーエルマー

スーパーエルマー テキスト

ニュース記事を使ったリスニング教材。まさに英語を語順どおり前から理解するために作られています。

スクリプトにもCDにも、意味のカタマリごとにスラッシュやポーズを入れてくれているんです。口コミ(26件)も参考にしてください。

BBC WORLD英語リスニングサイトトランスレーション

BBC WORLD英語リスニングサイトトランスレーション テキスト

BBC Worldで実際に放送されたニュースがそのまま収録されています。こちらも意味のカタマリごとに、スクリプトにはスラッシュが、音声にはポーズが入っていますよ。ハードルは少し高め。上級者にオススメです。

TOEICや英検の問題集

TOEICテスト公式問題集 テキスト
TOEICの新形式対応の公式問題集
口コミはこちら

TOEICや英検の問題集もスラッシュリーディングに使えます。それぞれの試験を受けるという方はぜひ使ってみてください。TOEICならパート7、英検なら長文問題でスラッシュリーディングにトライしましょう。

ニュース番組やプレゼン動画

あとはスクリプトがいっぺんに見られるものならなんでもあり。CNNBCCなどのニュース番組、色んな分野のエキスパートによるプレゼンが聞けるTED Talksなどが内容も面白いと思いますよ。

スラッシュリーディング+音声トレーニング=効果大

スラッシュリーディングは「英文にスラッシュを入れて、英語を語順どおり前から理解していく」という学習法。これを続けると、

  • 英文を読むスピードが上がる
  • リスニング力が少しアップする

という効果があります。ただリスニング力アップについては、スラッシュリーディングに加えて音声を使ったトレーニングが不可欠。読んで意味が分かるのと聞いて意味が分かるのは、少し異なるスキルですからね。

どんな学習法も、すべてのスキルを完全にカバーするのは難しいんですよね。スラッシュリーディングは、音読シャドーイングリピーティングなどとかしこく組み合わせると、効果が高いと思います。