こちらは「英語ネイティブ、英会話スクールの勤務について本音を語る」の続編です。

私が最初の学校で授業をしていたスタイルと、CELTA後に始めた授業では、大小様々な違いがあります。特にCELTAで学んだ事を教えながら実践したり、自分なりにアレンジしたりしました。

生徒の英語力を高めるために何をすべきで何をしないべきか、自分なりに特に意識した点をまとめたいと思います。

タスクベースの学習に切り替えた

問題を解いている時間や教科書を音読している時間、ペアワークの時間を多く取るようにしました。

個人的には教員が、「はい、~君」と指名するスタイルの授業はあまり意味が無いと思っているので、生徒間で教材を使用してどんどん演習、できなかった点をその場で覚えるという事を目指しました。

例)英日対訳のある例文4個で、片方の生徒は英語だけを見て日本語を言う、もう片方は正解を見ながら確認、など。

I like some Japanese songs. 日本語の歌で好きなのが(何曲か)あります。
I do not like some Japanese songs. 日本語の歌で好きでないのが(何曲か)あります。
I like any Japanese songs. 日本語の歌は全て好きです。
I do not like any Japanese songs. 日本語の歌は全て好きではありません。

また、演習問題を連続して30分やらせると、大体生徒はダレます。でも6分の課題を5個テンポ良くやると、集中力はあまり途切れません

問題は、タスクに割く時間をどこから捻出するかです。

TTT(teacher talk time 先生の話す時間)を減らした

限られた授業の時間を最大限有効に使うためには教員が話す時間を減らし、その分生徒が英語を話す時間(STS student talk time)またはタスクを実行する時間を増やすことです。

特に中学生の場合、集中力が持たない中で新出文法事項の説明をダラダラするのは非効率です。

  1. 新出文法事項の超基礎の説明(教える)
  2. ①のすごく簡単な基礎演習(テスト)
  3. ①より突っ込んだ説明(教える)
  4. ③の内容に関する演習(テスト)

teach →test→ teach→ testという感じで、教えた部分が理解されているか机間巡視をしながら確かめ、テンポ良く授業を進めることを心がけました。

student

一回の説明で分かるのが理想ですが、練習問題をやらせてみたら半分位の生徒しか理解していないという状況もありえます。

その場でどう説明するか... と考えるのは時間のロスなので、2の矢、3の矢として別な例文を用意しておく事も大事です。

あと例文の単語が分からないとその時点で聞く意欲を失う生徒もいますので、常に簡単な単語、かつできるだけ実用性のある例文を用意する必要があります。

新出文法事項の場合、15秒以内を目標に、どんなに長くても30秒以内で一回の説明を終える事を目標にしていました

ちなみにこの15秒という数字はCM一本分で、教えるのが上手な先生が実践的英語教授法をまとめた本に出ていたのがオリジナルです(書籍名は失念しました)。

もちろんこれを毎回の授業で確実に行うには教員の入念な準備が必要です... 常に出来ていた訳ではありませんが... 。

ノートをとる時間を減らし、大事な説明は演習プリントに記載

「説明を15~30秒聞くときは集中する」を徹底するだけでなく、黒板をノートに写す時間も減らしました

しかし「自分の手で書くことで整理でき、覚える」「自分で書いた物のほうが後で思い出しやすい」という生徒もいるので、コアの最低限の説明内容は板書をノートに映させました。

また、黒板に教師が何かを書いている姿を授業中に生徒がボーっと眺めている時間は無駄だと思ったので、授業開始前に教室に行き黒板に例文や必要事項を事前に書いておきました。

するとチャイムと同時に授業がスタートできます。5分あればアクティビティ一個。生徒の時間をムダにしないようにしなくては、と自分に言い聞かせました。

入試での点数に現れた結果

result

こういった点を意識して日々の授業に臨みました。結果、2校目の私立学校では中学3年生の校内進学テスト(いわゆる入試)の結果が、平均点で過去最高点を記録しました。

特に勉強ができる層の生徒の平均点が例年を10点以上上回るという結果を残すこととなりました。生徒の頑張りが一番ですが、それを引き出すには日々の授業が大切です。

といっても、先日私が担当した世代の生徒から成人式の後の飲み会に、当時の担任の先生達と一緒に呼ばれて参加したのですが、「あの時もっと英語をやっていれば...」という声が聞かれました。気持ちとしては結構複雑です。

次回以降は、CELTAを日本の先生が取ろうとした際に、どんな障害が待ち受けているかを元教員の視点から書きたいと思います。