こちらは「英語教師としてネイティブが常にベストではない理由」の続編です。
私が受講したCELTAコースには、日本の英会話学校で何年か英語講師として仕事をしていた人が3人いました。
その人達と話す中で、彼らがCELTAを受けて気がついたこと、日本の英会話学校での仕事について聞いた話をまとめたいと思います。
彼らが働いていた英会話スクール
某大手の、駅前にあるような教室で何年も働いていた人達でした。コース開始前はなんとなく、「教えた経験ありますから、まぁ模擬授業も楽勝ですよ」という空気がありました。
しかし始まって3日経つと彼らが口をそろえて言うのが、
「自分が日本でしていた事は、CELTA基準でみると間違っている事だらけだった」「日本の英会話学校の現状は色々厳しい」でした。理由は、大体以下の4点でした。
TTT(先生の話す時間)が多すぎ、表現が難しすぎた
ネイティブの声「自分が日本でしていた事は、CELTA基準でみると話し過ぎ」
日本で普通のネイティブ講師1対生徒10という感じで英会話を勉強するとどうなるかというと、
話が弾まない
質問を全体に対して投げかけても、返事が無い。指名しても、一言二言で終わり会話にならない。こうなると講師も苦しいわけで、講師の発言が多くなります。
中には自分が話して時間を埋める事に麻薬のように依存してしまう事もあります。生徒も、とりあえず講師がしゃべっているのを聞くとリスニングの勉強になるという言い訳を自分にできるので甘えてしまいがちです。
ネイティブの英語表現が初心者には難解で理解されない
それが本来の英語だから自主検閲すべきでない、という論理もありえますがステップが大事だと思います。また、文法や表現の説明を英語でネイティブがしても生徒はなんとなく分かった気になって終わることが多いです。
結果、STT(生徒が英語を話す時間)が少なくなってしまいます。しかし英語を聞くだけならCDでもいいわけで、英会話教室に通う意味があまりありません。
できる生徒しかしゃべらない
ネイティブの声「英語ができない人が上達するために高いお金を払って英会話学校に来るのに、ろくに英語を話さずに帰る人がいる。なんで?」と聞かれて、言葉に詰まりました。
日本では先生がなんとか生徒に話してもらおうと工夫すると、クラスの中でマシな生徒2〜3人が意見をのべ、ほかの人は、「ふんふん、そうだそうだ」という感じで聞き手にまわり、特定の人しか話をしない事が結構あるそうです。
一方CELTAではタイ人同士でもペアで英語を使って話をさせます。理由は、
- 会話をモニターして、表現や文法に関するフィードバックをするため
- 英語での発言になれるため
- クラスメイトの英語が完璧でなくても、学ぶ物があるから
しかし日本では、日本人同士で英語で話す事を土台から嫌がります。
「なんか恥ずかしい。ミスしたら笑われそう」「日本人の正しくない発音をきいてもねぇ・・・」「間違えが感染る」
嫌がる理由は分からなくもないですが、使わないことには始まりません。
参加者の自主的な勉強時間が少ない
ネイティブの声「ごく少数のやる気がある生徒はみるみる上達していくので、そういう生徒を伸ばす事が楽しみだった。けど、他の人は・・・」
ビジネスマンは仕事が忙しく、やはり宿題をできない事があります。フルタイムの人が時間を取れないのは、私が2年間通った通訳学校でも同様でした。
通訳学校は週に2回で各2時間しかありませんので、講師は、「ここは自分で勉強した結果をパフォーマンスで表現する場所です。ここで勉強することも大切ですが自主勉強が無いと上達しません。」とおっしゃっていましたが、それと同じ状況が英会話学校にもありました。
ある主婦はクラスにお菓子を作ってくるのに、何故か宿題はやってこなかったりしたそうです。これ、どうなの?と聞かれました・・・やらなければ、結局は伸びません。
ネイティブと話せば上手くなると思っている
ネイティブの声「日本人は、ネイティブと話せば、または良い先生と出会ってその先生から習えば、自分に魔法がかかったように英語をしゃべれるようになることを期待している。けど、それは幻想。自分でやらないとできるようにならないんだから、魔法を期待されても困ります。」
だそうです。
ちなみに彼らは皆CELTA取得後に日本に戻らず、日本でのサラリーを使ってバックパッカーをしたり自国に帰って英語教育とは無関係な仕事をしたそうです。その後の連絡等をとっていませんが、日本人としては残念です。
次回は、CELTAで勉強をした内容が私の学校での教師としての授業でどのように役立ったかについてまとめます。