入試

こちらは「英語教師に必要な英語レベルはどのくらいか」の続編です。

CELTAに関する最後の記事ですが、大学入試に関して最近動きがあったのでそれと絡めてまとめにしたいと思います。

4技能のテスト「TEAP」

ほぼ10年前、まだ私が英国に留学して教員を目指していた頃から、私はセンターテストを読・書・話・聴の4技能で各25%にすべきというのを個人的に提唱しています。

その理由は、日本の英語教育が入試を中心に動いているからです。入試が変われば学校も予備校も変わらざるをえなくなります。

以前はIELTS(後にTOEFLも)の導入を提唱していましたが、TEAPという日本人向けのテストが出来たそうなので、これを個人的には推していきたいと思っています。
 
対象が偏差値55以上なので、一定ランク以上の大学に導入すべきと思っています。理想としては一発テストではなく、年に何回か受験可能でどのスコアも使用可能なTOEFL等の形式にすべきです。

と言っても、以下のニュースの様にTOEFLをそのまま資格として導入するという話が出ていますが、問題もあります。

TOEFLは難易度が高すぎる

大学受験資格にTOEFL 国内全大学対象 自民教育再生本部、1次報告へ

そもそも「平成30年頃からの導入を想定」というのが、よくも悪くも日本らしい感じがします。

「TOEFL義務化」は再生か?破壊か?

この記事でも言及しているように、TOEFLは日本の偏差値55の高校生にも難し過ぎだと思います。

センターで高得点が取れない場合、TOEFLで(またTEAPも)もっと惨めな結果が出る事が目に見えています(例:TOEICとTOEIC bridgeの関係)。

テストの目的は正しく力を測ることであり、TEAP以下は今のセンターレベルで十分測れるなので、センター試験も実施すべきと思っています。ただ、問題構成や難易度によってはセンターが不要な可能性もあります。

(参考資料) 横浜市立大学では2年→3年に上がる時点でTOEFL500(昔の形式)が必須らしいですが、TOEIC600で代用可能なので、私が勉強したくない学生ならこっちに逃げます。

http://www.yokohama-cu.ac.jp/academics/common/penew.html

2006年の導入当初は生徒の半数がこの進級要件をクリアできず問題になったという話も聞きました。現行のTOEFLは、多分これより難しいです。

TEAPが導入されたらどうなるか

TOEFLより多少易しい(と思われる)TEAPが導入されるとどうなるかを、予測してみたいと思います。

勉強中

能力の違いが如実に出る

勉強が得意な人が1時間かかる物を苦手な人は倍かけないと吸収できない、というのは悲しいですが事実です。例えば中学3年生を教えると、残酷な位に飲み込みの具合などから入試までの伸びしろが大体わかります。

現在の日本の入試は一発試験で、入試科目として英語を使用する事は変わらないので、ある意味仕方のない事です。

発想を切り替えて英語を本来の語学の勉強として捉えるなら、高校入学後に中学の内容を消化してもいいと思います。

18才の時にTEAPレベルに達していなくても、自分で勉強して30才までの12年間で使えるようになればいいのです。

経済力の違いが如実に出る

スピーキング・ライティングの上達には手間(つまりお金)がかかります。

スピーキングテスト一回いくら、エッセイ添削一本いくらとなったり、スカイプ英会話をやろうとすれば親が月に5000円を払わないといけなかったり、これに対応できるかも問われます。

こういった背景を考えると、適応して英語ができる様になる人も増えてくると思いますが、諦める人も今より増える予感がしています。

こういう言い方をすると「弱者切り捨て」「血も涙もない意見」などと言われるかもしれません。

しかし私は日本の公教育の問題は上層レベルが「吹きこぼれ」、下層レベルは「落ちこぼれ」、中間層は中途半端な学力しかつかない点にもあると思っています。

むしろテストの変更によって評価基準を変え、ポイントを絞ってそれぞれの能力に見合った教育を与える方が効率はいいと思っています。 

現在の「普通の高校の英語教員」への風当たりが強まる

前回書いたように、いまだに高校の授業では教科書の訳を口頭で説明し、生徒がメモする形式の訳読授業が行われているクラスも多いと聞きますが、TEAPが導入された後にもこのやり方でOKとは、私は全く思いません。

「学校の授業は、TEAP対策として役にたたない」「英語を話せない先生が教える授業では、TEAPで点が取れない」と批判が出るのは火を見るより明らかです。

教員自身が更に英語力をつけ、CELTA式授業運営方法を学び、英語運用能力の開発を目指したエッセンスを取り入れる事が解決の第一歩となります。

できれば学校の教師全員がTOEIC900を超えて、CELTAを持ち、高い教科指導力をもつ事が理想です。

しかし現状での適材適所としては、中学レベルの内容なら教科指導力があればTOEIC500でもOKです。将来の更なるレベルアップを図りながら、問題解決方法を探る姿勢が必要でしょう。

学校の英語教育はどう変わるべきか

英国や米国に研修に行くとお金がかかりますが、タイやスカイプ英会話の本場フィリピンへの留学だと生活費は月に4万ほどで、学費も格安です。

学校の9教科平等主義を脱し、世界中に英語教師を一定期間格安で派遣して、修行を積ませるべきではないかと思っています。

指導力も英語力もない先生をCELTAに入れて勉強させ、この基準をクリアできないなら免職もありえる、というリトマス試験紙として活用するのは、ありではないかと思っています。