英語の「リダクション」について、初心者にも分かりやすく説明します。

リダクションは、ネイティブが自然なスピードで話したときに起こる「音声変化」のひとつ。リダクションは、日本語で「削減、減少」などという意味ですよね。

つまりスペルにはある音のはずが、会話になると弱くなる/短くなるのがリダクション。完全に音が無くなるわけではないのですが、聞き手からすれば消えたように感じることもあります。

例えばGood job!は「グッドジョブ」ではなく「グッジョブ」に聞こえるのは、みなさん知っていますよね?これはDの音がリダクションされている例です。

それでは大学で音声学を専攻していた私Kyokoといっしょに、リダクションについて学んでいきましょう!リダクションが分かれば、リスニング力も伸びるし、発音もネイティブっぽくなりますよ。

ちなみに「そもそも音声変化ってなに?」「音声変化が分かれば何に役立つの?」という方は、こちらの記事をまず読んでから、ここにまた戻ってきてくださいね。

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英語のリダクションとは?

前後の音に影響されて、特定の音が弱くなる/短くなる(聞こえなくなる)こと

例えばTake care!というときに「テイク ケア」というふうに「ク」と「ケ」を別々に発音するネイティブはまずいません。「テイッケア」のように発音する人がほとんど。TakeのKが聞こえなくなっていますよね。

これが今回紹介するリダクションの1つ目、「破裂音のリダクション」です。破裂音ってなに?というところから丁寧に説明するので、じっくり読んでくださいね。

さらにandやforなどの接続詞や前置詞も、弱くなったり、特定の音が聞こえなくなったりします。これが2つ目の「機能語のリダクション」。こちらも機能語とは?というところから見ていきますよ。

リダクションでは特定の音が聞こえなくなるので、前後の単語や文脈から予測する必要があることも。これができるようになれば、リスニング力がぐっと伸びると思います。

リエゾンとはどう違うの?

音声変化で音が繋がったり消えたりすることを総じて「リエゾン」と呼ぶ人もいます。ただリエゾンというのはもともとフランス語にある音声変化の一種。

普段は発音されないスペルが、うしろの音によって発音されるようになるという、いわば英語のリダクションとは反対の音声変化です。

英語の音声変化を説明するのにリエゾンという言葉が正式に使われることはあまりないので、みなさんも「リダクション」や「リンキング」で覚えたほうがいいと思います。

リダクションの一覧

語尾の破裂音(例:sit

音声変化では、前やうしろにある単語に影響を受けて特定の音が変化するというケースが多いのですが、実はそれだけではありません。

始めに覚えてほしいリダクションは「単語の最後にある破裂音」。たとえその単語だけを単独で発音したときにも、これらの音は聞こえないことがあります。

リダクションの例

破裂音とは?

破裂音とは、名前のとおり破裂が起こる子音のこと。英語では「stops/plosives」といいます。

Tを発音してみてください。舌先がまずは口の天井に当たることで空気の流れが止まり、それを離すときに音が出ませんでしたか?Pだったら閉じた唇を開いたときに音が出ますよね。つまり、

空気の流れを1回止めて、それをリリースしたときに音が出る

のが破裂音です。具体的に英語の破裂音は6つ(P、B、T、D、K、G)。これらの音が語尾にあるときは「空気の流れを止める」までは起こるのですが、そのあとのリリースが起こらないことがあります。

つまり日本語でいう「ッ」のような音で終わるのです(※破裂音の種類やその前にある音によって聞こえ方は異なります)。

とくにTとKが語尾にくると、この音声変化はかなり顕著。そのためsitとsickなど、語尾のTとK以外が同じ発音である場合、聞き分けが難しくなります。

  • sit ‐ sick
    どちらも「スィッ」のように聞こえます
  • wait ‐ wake
    どちらも「ウェィッ」のように聞こえます
  • fate ‐ fake
    どちらも「フェイッ」のように聞こえます

でも例えば「スィッダウン」と聞こえたら「sit down」だし、「アイムシッ」と聞こえたら「I’m sick」ですよね。逆はありえません。文脈や前後の単語から予想する力が必要というのは、こういうことです。

ちなみに次に「母音」で始まる単語がくるときは、これらの子音は消えないことも。つまり「sit on」の場合は「シッオン(リダクション)」「シトン(リンキング)」「シロン(フラッピング)」のように読む人がいます。

音声変化にも、地域差や個人差があるということですね。

破裂音+子音(例:good day)

もともと語尾の破裂音は聞こえないことがあると書きました。ですが単語を単独で読む場合、ちゃんと語尾の破裂音をはっきり発音する人も多いです。

ですが文章のなかにこれらの単語が入っているとき、そして次の単語が子音で始まるときは、これらの破裂音はほぼ聞こえなくなります。

リダクションの例

ただここでも破裂音は完全に無くなるわけではなく、空気を止める「ッ」のような音になることが多いですよ(「-nd」や「-ng」は「ッ」には聞こえません)。それでは全ての破裂音+子音の例を見てみましょう。

  • Please sit down.
    「スィダウン」のように聞こえます
  • He is a great doctor.
    「グレイドクター」のように聞こえます
  • The post office is just around the corner.
    「アラウンダ」のように聞こえます
  • It was a hard decision.
    「ハーディシジョン」のように聞こえます
  • Your laptop is very cool.
    「ラ」のように聞こえます
  • You should keep believing in yourself.
    「キービリービン」のように聞こえます
  • Are you a club member?
    「クラメンバー」のように聞こえます
  • How is your job hunting going?
    「ジョハンティンゴーイン」のように聞こえます
  • Please take care of yourself.
    「テイケア」のように聞こえます
  • This is a cake called Black Forest.
    「ケイコール」のように聞こえます
  • Who is this bag belong to?
    「バビロントゥー」のように聞こえます
  • Who were you talking to?
    「トーキントゥー」のように聞こえます

機能語(butandforbeen など)

「but」や「and」などの機能語にリダクションが起こります。

リダクションの例

ところで「機能語」とはどんな単語なのでしょうか。簡単に説明しますね。まず英語には大きく分けて「内容語」と「機能語」があります。

  • 内容語:名詞、一般動詞、形容詞、副詞、疑問詞、など
  • 機能語:接続詞、冠詞、前置詞、助動詞、be動詞など

正しい文章を作るにはどちらも欠かせません。違いは、意図を伝えるうえで中心となるのが内容語、それらの内容語を文法的・意味的に正しく繋いでいくのが機能語です。例えば、

It was raining yesterday, but today is such a beautiful day!

この文章を内容語と機能語に分けると、こうなります。

  • 内容語:raining, yesterday, today, such, beautiful, day
  • 機能語:It, was, but, is, a

もしこの文章で接続詞が抜けていても「but」が入ると推測できますが、「raining」が抜けていたら推測は無理ですよね。「rainy」かもしれないし「snowing」かもしれません。

つまり内容語は話し手の意図を伝えるうえで欠かせないのに対し、機能語は推測が可能。そのため発音についても弱くなったり一部の音が消こえなくなったりします。リダクションが起こるということです(=弱化)。

接続詞

  • His idea is great, but not too practical.
    バッノッ」のように聞こえます
  • We met at the station and walked to the restaurant.
    「スティションエンウォークト」のように聞こえます
  • Would you like coffee or tea?
    「カーフィーティー」のように聞こえます

前置詞

  • I'm looking for someone to help me.
    「ルッキンファ」のように聞こえます
  • Could I have fish and chips, please?
    「フィッシュエンチップス」のように聞こえます
  • It’s kind of hard to explain.
    「カイン」のように聞こえます
  • We actually have to head off now.
    「ハフ」のように聞こえます
  • The movie starts at 7pm.
    「スターツァッ
  • How long does it take from here to the airport?
    フラムヒア」のように聞こえます

では具体的になぜこれらの接続詞や前置詞は、弱く短く聞こえるのでしょうか?これには「シュワ」という母音が関係しています。

母音のシュワとは?

機能語は、内容語に比べると重要でない単語でしたよね。つまり文章のなかで強調されることはほぼありません。

機能語でリダクションが起こると、もともとストレスが置かれる母音「from(frɔm)」「at(æt)」が弱化して「シュワ」という母音になります。

シュワはeの反対のような「ə」という発音記号なので、それぞれ「frəm」「ət」になります。シュワの発音は、口を少しだけ開けたまま脱力して、喉の奥で「ア」というイメージ。

つまり「シュワ≒ストレスを置かない母音」というふうに覚えておきましょう。シュワのおかげもあって、英語の文章にはリズムやめりはりが生まれるのです。

him、her、them などの代名詞

こちらは上級者でも聞き取れないことがある音声変化。文中にあるhim、her、them などの「最初のHやTH」がほぼ消えます。ちなみに文頭にあるHis、Her、They はしっかり発音されますよ。

リダクションの例

Hのリダクションのほか、リンキングも起こっています

he、she、they などの人称代名詞は機能語のひとつなので、上の「機能語のリダクション」の一例ではあるのですが、少し特殊なので分けて紹介しますね。

  • Where is she? - She should be in her room.
    「インー」のように聞こえます
  • I think she is on her way here.
    「オンナー」のように聞こえます
  • He can’t come today, I think he is very busy.
    「シンキーイズ」のように聞こえます
  • Have you seen his car key? He said he lost it.
    「シーニズ」のように聞こえます
  • Can you tell him that I will be late?
    「テリム」のように聞こえます
  • All the team members like him a lot.
    「ライキム」のように聞こえます
  • Did they find the key? Yeah, it was in their room.
    「イネアー」のように聞こえます
  • I’m going to my friends’ housewarming. I got them some flowers.
    「ゴッエム」のように聞こえます

これらの英文ではリダクションのほかリンキングも起こっているケースが多いです。「seen his」だと「シーン ヒズ」→「シーン イズ」→「シーニズ」という感じですね。

リダクションをマスターするためのオススメ教材

リダクションを含む「音声変化」をマスターするには、たくさんナチュラルスピードの音声を聞き、自分でもマネしてみて、自分とお手本がどのように違うかを比べるという作業を地道にやっていくことが大切です。

それにはリピーティングやディクテーションといった練習法がオススメですよ。

モゴモゴバスター

こちらは音声変化が起こった「省エネ英語」を聞き取れるようになるための練習に特化できるサイト。音声変化に特化したサイトというのは珍しく、かなりスピードが速い音声が大量にありますよ。サンプルはこちら

モゴモゴバスター

最初に約6,500円を支払うと全42レッスン(計6.5時間の音声)がずっと利用可能です。自分でもマネしてみながら毎日やりこめば、普通のネイティブの会話がゆっくり聞こえてくると思います。

そのほかリピーティングやディクテーションにオススメの教材です。

  • TED Talks
    色んな分野で活躍している人のプレゼンを無料で閲覧できるサイト。興味深い話題が多いです。

音声変化というのは、ネイティブが自然なスピードで話したときに起こるもの。つまり一番いい教材はリアルなネイティブ同士の会話です。

英語学習者用の教材で自信をつけたあとは、英語圏のドラマや映画、トークショーやドキュメンタリーなど、より自然なシチュエーションでのネイティブ同士の会話を聞いてみましょう。

オススメ教材のより詳しい説明や、音声変化のマスター法については、こちらの記事を読んでくださいね。

リダクション以外の音声変化

特定の音が聞こえなくなるリダクション以外にも、音声変化には色んな種類があります。

リンキングフラッピングについては、それぞれ別の記事で詳しくまとめていますよ。

リダクションをマスターすればネイティブ発音に近づく

いかがでしたか?リダクションを大きく4つに分けて紹介してきました。これらをまとめると、

  • 語尾の破裂音はもともと聞こえないことが多い
  • 破裂音+子音だと、その変化がかなり顕著
  • (母音がシュワになるなど)機能語の弱化
  • 機能語のなかでもhis、her、themは要チェック

リダクションを説明するときに「音が消える」ということがありますが、それは聞こえ方であって、発音している本人の口の中ではなにかしらの動きがあることが多いです(「ッ」と息を止めるなど)

自分で発音してみるときも、このあたりを意識してみるといいと思います。リダクションができるようになると、英語らしいリズムで話せるようになりますよ。

またリダクションを含む音声変化が聞き取れれば、リスニング力がアップします。ぜひディクテーションやリピーティングといった学習にチャレンジしてみてくださいね!

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Kyoko

岡山県生まれ広島県育ち。大学では英語音声学を勉強し、卒業後はシンガポールとカナダの語学学校で日本人スタッフとして3年間勤務していました。現在はカナダ東部のトロント在住、好きなこと(もの)はダンスと柴犬。英検1級、TOEFLiBT113点取得。中国語も勉強中!
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