アジアで求められる通訳の英語レベル

始めまして、私は矢野文宏と申します。ほぼ1年前に英語ひろばにて、東南アジアでの就職活動の様子をまとめた記事をアップしました。

採用後勤務を開始して1年が経ちました。海外で通訳・翻訳として勤務をするという選択肢は、本気でこの業界で仕事をしたい人にも悪くない選択肢だと感じたのでその理由や、実際に給料がどれ位なのかをこれから連載で紹介したいと思っています。

日本でも通訳・翻訳を仕事にしたいと考えている人はそれなりにいると思います。しかし、

  • 現場経験が無い
  • 関連職務経歴が無い
  • 英語圏の大学卒や帰国子女のような英語力も無い

といった人がいきなり通訳として稼動することは、普通ではあまりありません。

日本では通常、以下3点の選択肢のいずれかを多くの人が取っているのではないかと思っています。

  • A)通訳学校(翻訳学校)に何年も通い、ひたすら修行僧のように勉強し続ける
  • B)無料ボランティアをしたり、パートの仕事で地道に通訳・翻訳の実績を積む
  • C)国内または海外の通訳・翻訳専攻の大学院で勉強する

これに第4の選択肢として、

  • D)海外就職をして、いきなり実務をできるポジションにつく

というオプションを提示したいと思っています(私の場合は、Aを2年間しながらBを約1年間日本でやって、最終的にDにいきました)。

このDの選択肢を取ると、様々なメリットがあります。

エントリーの語学レベルが日本よりもかなり低い

私が日本で通訳学校に通い始めた時TOEICのスコアは905で、通訳学校の入学テストの結果、5段階の下から2番目に入りました。

英語を実務で使っている人や、外資系の会社で勤務した人なども、同じクラスにはいました。

しかし、その人たちでも下から2番目のクラスで、通訳学校から認められて仕事を紹介されるようになるレベルにはまだまだです。

一方、アジアで通訳翻訳をしている人の話を聞くとこんな感じです。

  • 日本人でTOEIC700程で通訳翻訳未経験でも採用された人がいる
  • インド人は日本語検定2級でも翻訳として稼動している(3級の人もいる)
  • タイで日本人秘書(通訳翻訳あり)の募集条件がタイ語不要、TOEICは最低600だった
  • ある日本人は中国語検定2級でGoogle翻訳を使いながら翻訳をしていた

何故このようにギャップがあるのでしょうか? 理由は主に2点あります。

1点目は、単純にできる人があまりいないため、需給バランスの結果こうなっているというものです。日本での通訳翻訳の募集は未経験可能といってもほぼ経験者のみ、即戦力が採用される印象です。

しかしそういう人材が海外ではいない為、適応に少し時間がかかっても業務経験でカバーする事を期待して採用しているようです。

2点目は、入れ替わりが激しい事です。1つの会社で長期間現地採用として仕事をする人も0ではないですが、基本的にはあまりいません。

多くの人は採用から3年以内に離職します。とりあえず、1ヶ月も待てば大体何個かは通訳・翻訳専属、または職務内容に通訳や翻訳が含まれたポジションで募集がかかります。

東南アジア就職の流動性は高いので紛れ込むチャンスがあるとはいえ、もちろん給料をもらって仕事をする以上、東南アジアだからといって最終的に求められる仕事のレベルが下がることはありません。

力と職場への適応力があれば歓迎されます。ですので、実務経験を積むには大きなチャンスです。

通訳の力とは「語学力×背景知識×スキル」なので、最初はノンネイティブ相手がラク!

駆け出し通訳だと、背景知識も経験値もないため、語学力のみの勝負になります。しかし、そこでいきなりネイティブ相手に通訳となってしまうのは、丸腰で戦車に挑むようなものです。

それなら対戦相手のレベルを下げて経験を積んで、装備を整えてから高いレベルに挑む方が現実的だと思います。

下の図は、英語ネイティブ話者の語彙数表です(Twitterでたまたま見つけた表ですが)。年齢8歳ほどで12,000語位、20台以上になると約25,000万語を使用するようです。

ネイティブスピーカーの語彙数

アンチバベルの塔というサイトでは、単語力に関して以下のように書いています。

ネイティヴの語彙数は6万前後だと書きましたが、この語彙レベルはもちろん派生語なども含んだ数字です。だいたい4万から8万ぐらいで、知識人の場合は12万程度になると思います。

少なくみて成人した英語ネイティブの使用言語が25,000~30,000語だとします。一方、日本で英語ができるといわれるレベルとしてTOEICでAランク(860点以上)があります。

これだと、大体使用言語が1万ちょっとだといわれています。単純に考えるとTOEIC900レベルではネイティブの8歳レベルなので、遠慮せずにネイティブが話す場合は約1~2万語の開きがあります。

更に、ネイティブ独特のイディオムなどもたくさんあります。この状態で通訳することは相当難しいです。

しかし相手がノンネイティブであれば、専門用語などを覚えてしまえばこの約2万語+イディオム等に関してはほぼ無視できます。

実際、マレーシアでは英語が第2言語なため会社ではマレーシア人との会話は英語です。第2言語といっても、やはりノンネイティブなので自然と使用語彙に制限が入ります。

エントリーレベルの通訳が「通訳する」事に慣れる為に、またスキルを磨く為に、あえて低い土俵に立つ事で通訳経験を積みやすくなります。

また、今後、ビジネスの世界では英語ノンネイティブがもっとに力を持ってくるので、それに対する慣れがあるというのは、経験として悪くないと思っています。

次回は東南アジアで通訳翻訳をする副作用についてまとめたいと思います。

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矢野 文宏 (fumihiro yano)

現在は在シンガポール日系メーカーで通訳・翻訳として勤務。以前に印度で2年翻訳、1年半マレーシアで通翻経験もあり。通訳・翻訳者になる第一歩をサポートするやのなのね通翻研究所でSkype相談随時受付中! 他、海外の生活や旅行を書いた電子書籍を6冊出版。日々の海外での生活はブログにて紹介。 ツイッター@yanonanone
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