前回は東南アジアで通訳・翻訳をするプラス面を紹介しました。今回は、私が経験して感じたマイナス面、またはマイナスになりえる要因を克服方法と一緒に紹介したいと思います。
給料の安さ・次への不安
シンガポールでは日本並みの給料を払う会社もありますが、その他の国で現地採用として仕事をすると、契約は年単位、給料は15万円ほどです。
生活するには問題ありませんが、日本基準では安いです(通訳翻訳以外の職種ではもっと低い場合も)。通常は1・2年での契約になりますが、その後の保障はありません。
パフォーマンスがよければ契約継続を会社から求められることもあると思いますが、通訳翻訳は技術を売る仕事なので就業先の都合でポストがなくなれば契約終了で職探しをすることになります。
契約書にサインをする前に、しっかりと考えましょう。
頑張って給料を上げる、会社内で上がらなければ次へ
上記のような問題はありますが、通訳を日本でしても同じといってしまえば条件は同じです。
海外就職全般でそこから先にどのようにキャリアを形成していくかのモデルがほとんどないため、自分で自分の将来を切り開く必要が出てきます。
インドやフィリピンで日本並みの給料を出すことはあまり望めませんのでキャリアを上げるには、
- 最終的に通訳・翻訳で一番給料が高く求人が多い日本に戻る
- 日本並みの給料を出すシンガポールの会社へ行く
- 翻訳→通訳のように業務内容を変える、または製造業→金融という感じで業界を変える
など、より自分のやりたい事にあう仕事を得るために、選択をしていく必要があります。
マレーシア英語で通訳可能=ネイティブ通訳可能ではない
東南アジアでは仕事でネイティブの英語に触れる機会があまりないため、スキルアップ(リスニング力や表現を磨く、等)が一定を超えると頭打ちにもなりえます。
実際、英語圏で製作された英語ネイティブが話す映画やドラマを観ても、私は100%聞き取れません。単純に私の英語力がまだまだ足りないためなのですが、知らない単語もたくさん出ます。
基本、自分で頑張って勉強する
あまり大雑把に言い切ってしまうのも良くない面もありますが、ある意味で映画やドラマのほうが社内会議よりも聞き取りが難しいという面もあるので、気にせず業務で結果を出していけばいいのではないかと思っています。
ただ、次に仕事を請ける際にそこがボトルネックにならないように、自らの努力でリスニング力を含め、総合的に語学力を上げる必要があると思っています。
会社によっては、背景知識が次の業界で役に立たないこともある
例えば今の会社で通訳・翻訳として仕事をしていると、
- 3Dアニメ制作上のクリエーター間のやりとり
- 会社での部門長クラスが出る会議
- 採用活動
- 組織運営全般
- 3Dアニメ制作に関連するサーバーやソフト、ハード関連
などの通訳・翻訳対応が多いです。この中でサーバーやソフト・ハード関連の対応に関しては、以前IT系の会社にいたのでその経験が生きています。
しかし、次にメーカー系企業で仕事をすることになれば、今の会社で培った経験や知識の一部は、もしかすると役に立たないかもしれません。悪く言ってしまえば無駄な知識になる可能性は0ではありません。
入る前に業界を選べるなら選ぶ、どういう仕事がしたいかを決める
過去に見た募集では、以下のような業種がありました。
- ソフトウェア開発などIT系
- 工場管理などのメーカー系
- 会計事務所などでの翻訳
- 病院勤務の医療系
- ゲームやアニメなどエンタメ系
自分が専門にしたい分野の求人があればラッキーです。ただ、狭めすぎても職がなければ意味がないので、労働市場にある求人と自分の要望のすり合わせが必要です。求人に関しては、次回にまとめます。
今回のまとめ)無駄な経験はないと思う、少なくとも経験値にはなる
英語で話すには脳にスタミナが必要なのと同じように、通訳も脳にスタミナが必要です。これだけは現場に入って数をこなさないと伸びません。
ドラゴンボールで、ゴクウがスーパーサイヤ人であることに慣れる修行をした様に、スタミナをつけるには日常的に通訳をする環境が必要です。
また、私自身はいわゆる「現場の裏側」を垣間見れるので知的好奇心が満たされており、今の仕事が面白いと思います。
更に、そこで得た知識を日常生活で活かす事もできます。例えば、少し前に大ヒットしたアナと雪の女王などの3D映画を観て、シーンがどう作られているかが想像ができる事もあります。
このように得た知識は無駄にならないという面もあります・・・が、人の時間も有限なので本当にそれでいいのかどうかは考える必要があるかもしれません。
最後に様々な業種を紹介しましたが、次回は実際に東南アジアで出ている通訳・翻訳の求人をご紹介します。
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