こんにちは。英検1級、TOEIC満点のKyokoです。通訳のトレーニングに欠かせない「サイトトランスレーション(サイトラ)」について解説します。

「トランスレーション」という言葉から「日本語に訳すトレーニングなんだろうな」というのは想像できますよね。その通りです!「じゃあ通訳になる人だけやればいいんじゃない?」と思いましたか?

でも普通の人がサイトラをするのもアリなんです。アリというからには、サイトラには効果があることを、20年間で色んな英語学習法を試してきた私が責任をもって説明します。教材も紹介していきますよ。

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サイトトランスレーション(サイトラ)とは?

英語にすると分かりやすいのですが「sight translation」とは「見て翻訳する」という意味。つまり、

英文を読んで、語順どおり前から日本語に訳していく

というトレーニングです。

サイトトランスレーションのイメージ

このあと詳しく説明しますが「語順どおり」というのがキーワードです。なので「サイトラは、通訳になりたい人のあいだで人気のトレーニング法です」と、自然な日本語にはあえてしないんです。

聞いたはしから英語を訳していかなきゃいけない通訳の方たちにとって重要なトレーニングだということは、イメージしやすいと思います。

サイトトランスレーションの詳しいやり方

サイトトランスレーションのやり方は極めてシンプルです。

  1. 読んだことない英文(スクリプト)を用意する
  2. 意味のカタマリごとにスラッシュを入れる
  3. 前からスラッシュごとに日本語に訳していく

それでは1ステップずつ詳しく見ていきましょう。

読んだことのない英文(スクリプト)を用意する

通訳の方たちは、BBCやCNNなど英語のニュース番組を使うことが多いようです。私もBBCのニュースの一部を切り取ってみました。

留学生に関する英文の記事
「留学生は学費に合った見返りを受けているか」という記事

意味のカタマリごとにスラッシュを入れる

「意味のカタマリ(センスグループ)」ごとにスラッシュを入れていきます。サイトラが初めての方は、3~5語などこま切れにスラッシュを入れてOK。

留学生に関する英文の記事

慣れてきたら、7~8語ぐらいずつにします。

留学生に関する英文の記事

スラッシュをどこに入れるか、最初は迷ってしまいますよね。ですが段々と慣れてくるので大丈夫です。

基本的には動詞と目的語の間(put / himself and his brother)や前置詞と名詞の間(as / a truck driver)などでは区切らないようにしましょう。これらは意味のカタマリとして続いているためです。

前からスラッシュごとに日本語に訳していく

スラッシュを入れたら、サイトトランスレーション本番です。スラッシュごとに英語を音読し、できるだけスピーディーに日本語に訳して声に出しましょう。声に出したほうが、記憶に残りやすいですよ。

サイトトランスレーションのイメージ
※男性というのはその前の文章にありました

ここで気をつけるポイントは「返り読み(文章を戻ること)」をしないこと。スラッシュで区切られたカタマリごとに日本語に訳しながら、前に前に読み進めていきましょう。

ちなみにこの文章、自然な日本語にするならば、

「22歳の男性は、工業技師になるために勉強しながら、トラック運転手としてほぼフルタイムで働きました」

という感じですよね。日本語としてはこのほうが正しいのに、なぜあえて前から訳すのでしょうか。それは、知っている方も多いと思いますが、日本語と英語は語順がまったく違うからなんです。

日本語と英語は語順がまったく違う!

日本語と英語の語順がどれだけ違うのか、それが分かれば、サイトラがどう英語学習に役立つのかが見えてきます。

代表的なのは日本語は「主語+目的語+動詞」だけど、英語は「主語+目的語+動詞」という違い。

英語と日本語の比較

英語は全体的に、動詞が先にくる言語だと覚えておきましょう。副詞句(下の灰色の部分)も、日本語だと動詞より前ですが、英語だと動詞より後にきます。

日本語と英語の比較

そして日本語と英語の語順でもっともやっかいなのは「関係代名詞」です。

日本語と英語の比較

日本語では「何年も会っていなかった友達」といいますが、英語では「友達、何年も会っていなかった」と友達の説明があとにきていますよね。

語順がまったく違う日本語と英語。サイトラで語順どおり英語を前から理解していくスキルが身につけば、色んな嬉しい効果が出てきます。

サイトトランスレーションの効果とは?

速読の力がアップする

中高の授業でやった「自然な日本語訳」を作るには、まず英語を最後まで読まないといけないですよね。すると途中の単語を忘れてしまい、右へ読み進めなきゃいけないのに左に戻ってしまうことも(=返り読み)。

サイトラで英語を前から語順どおり訳す力がつくと、リーディングにかかる時間を減らすことができ、だんだんと読むスピードが上がっていきます。

みなさんはTOEICのリーディングで「時間が足らなかった」と感じたことはありませんか?私はTOEIC満点を取ったのですが、その回でさえ、最後の10秒まで問題を解いていました(笑)。

「自分、リーディングが遅いかも…」と感じる人は、ぜひサイトラをやってみてください。

リスニング力にも少しだけ役立つ

英語を語順どおりに理解することは、リスニングにも役立ちます。

「単語は全部知ってるのに、意味を考えている間に音声がどんどん進んじゃって、結局意味が取れなかった」という方は、サイトラで瞬間的に意味を理解するトレーニングをするのもいいと思いますよ。

ただなぜ「少しだけ」と書いたかというと、リスニングには「英語を語順どおり理解する力」だけでなく「発音や音声変化を聞きとる力」、そもそもの「単語や文法の知識」も欠かせないからです。

またサイトラは文字を見てから日本語に訳すのが主流ですが、負荷を高めたい方は「音声を意味のカタマリごとに聞いて訳す」トレーニングもオススメ。これだとリスニングにより効果がありますよ。

サイトトランスレーションは逆効果!?

通訳トレーニングの定番「サイトラ」。でもよく「英語は英語で理解しましょう!」とか聞きますよね?私も「日本語に訳すなんで逆効果なんじゃないの?」と考えてしまいました。

それも一理あるとは思います。ですが、どんな学習法にもメリットとデメリットがあります(デメリットというか、補い切れない部分ですね)。

例えば日本語をすばやく英語にする「瞬間英作文」。文法を使いこなすために効果的です。また大人の初心者は、日本語を使って英語を学んだほうが効率的ということは、多くの研究者や教授が話していること。

なので通訳を目指す方でなくても、サイトラをやって損ということはないと思いますよ。

同じ文章で音読やシャドーイングもすればOK

ただサイトラのやりすぎには注意です。最終的には「日本語に訳して理解する」のではなく「シーンをイメージすることで理解する」のが目標なので、音読シャドーイングで締めくくりましょう。

でもサイトラは初心者には向いていない

サイトラでは基本的に自分でスラッシュを入れなきゃいけないですよね。また1つの文章が長めの教材を使うことが多いので、そうなると会話文ではなくニュースや記事になってしまい、単語や構文も難しめです。

なので単語や文法にある程度の自信がある、中~上級者に向いていると思います。

サイトラにオススメの教材

スーパーエルマー

スーパーエルマーのテキスト

ニュース記事を使って、リスニングで語順どおりに意味を理解するための教材。そのためCDが「意味のカタマリ」ごとに区切られています。

スクリプトにもスラッシュが入っているので、サイトラにも使えますよ。また負荷をかけたい方は「聞いて訳す」タイプのトレーニングもいいですね。口コミ(16件)も参考にしてください。

英語スラッシュリスニングトレーニング

スラッシュトレーニングのテキスト

テーマは環境だったり政治だったりと難しそうなのですが、意外と分かりやすく書かれています。こちらもCDには意味のカタマリごとにポーズが入っており、スクリプトにもスラッシュがあります。

サイトラのほか、スーパーエルマーと同じように、音声を聞いて即座に訳すトレーニングにもオススメですよ。

BBC WORLD英語リスニングサイトトランスレーション

サイトトランスレーションのテキスト

BBC Worldで実際に放送されたニュースがそのまま収録されています。こちらも意味のカタマリごとに、スクリプトにはスラッシュが、音声にはポーズが入っていますよ。ハードルは少し高め。上級者にオススメです。

TOEICや英検の問題集

TOEICのテキスト
TOEICの新形式対応の公式問題集
口コミはこちら

TOEICや英検の問題集もサイトラに使えます。それぞれの試験を受けるという方はぜひ使ってみてください。

ちなみに文法の穴埋め問題ではなく、TOEICならパート7(メールや資料の読解)、英検なら長文問題でサイトラをしてみましょう!

ニュース番組やプレゼン動画

あとはスクリプトがいっぺんに見られるものならなんでもOK。CNNBCCなどのニュース番組、色んな分野のエキスパートによるプレゼンが聞けるTED Talksなどでサイトラにチャレンジしてみましょう。

サイトラをしたあとは、実際に音声を聞いたり、音読やシャドーイングをしたりしてみましょうね。

サイトラは速読に効果あり。音読でしめくくろう!

サイトラは、英文を読んで、意味のカタマリ(センスグループ)ごとにスラッシュを入れ、前から語順どおりに訳していくトレーニングです。英語も日本語も声に出すことが大切です。

中学や高校では、英語を最後まで読んで完璧な日本語に訳すことが多かったですよね。ですが日本語と英語はもともと語順がまったく違う言語です。

英語を前から語順どおりに理解していくスキルが身につけば、リーディングのスピードが上がり、リスニングの理解力にもわずかながら役立つというわけです。

サイトラは構文や単語の知識がしっかりある中~上級者にオススメ。最終的には、同じ文章を使って、音読やシャドーイングなど「日本語ではなくイメージで捉えながら声を出す」トレーニングも忘れずに!

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Kyoko

岡山県生まれ広島県育ち。大学では英語音声学を勉強し、卒業後はシンガポールとカナダの語学学校で日本人スタッフとして3年間勤務していました。現在はカナダ東部のトロント在住、好きなこと(もの)はダンスと柴犬。英検1級、TOEFLiBT113点取得。中国語も勉強中!
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