英語の「リンキング」について、初心者の方にも分かりやすく説明します!
いきなりですが、パーティー好きの人を指す「パリピ」という言葉、知っていますか?実はこれ、ネイティブが英語を話すときに起こる「音声変化」の影響を受けて生まれた言葉なんです。
学校でpartyは「パーティー」と習いましたよね。イギリスではそれで正解。でもアメリカでは「パーリー」のように発音します。そこから「パーリー ピープル」が短くなって「パリピ」になったそうです(笑)
本来はパーティーと教わった単語が、ネイティブが会話で使うとパーリーになる、これが「音声変化」です。
音声変化にはいろんな種類があるのですが、そのなかでも「リンキング」は一番メジャー。リンキングが聞き取れると、リスニング力はぐっとアップします。自分でも使えれば、ネイティブ発音に近づけますね。
この記事では、大学で音声学を学んだ私Kyokoが、リンキングについて分かりやすく説明します。
「そもそも音声変化ってなに?」「音声変化が分かれば何に役立つの?」という方は、こちらの記事をまず読んでから、ここにまた戻ってきてくださいね。
英語のリンキング(連結)とは?
リンキングというのは「繋がった、連結した」という意味ですよね。つまり簡単にいえば、リンキングは、
2つの音が繋がって1つの音になる音声変化
※2つの音=1つ目の単語の最後の音+2つ目の単語の最初の音
です。日本語では「連結」ということもありますよ。では例を見てみましょう。
- chill out:チル アウト → チラウト
- Nice to meet you.:ミート ユー → ミーチュー
音声変化のなかでもリンキングはアメリカ英語とイギリス英語の両方で起こる変化。しっかりマスターしましょう!
リエゾンとの違いは?
リンキングのかわりに「リエゾン」と習った方もいるかもしれません。音声変化はどんな言語にも起こりうるのですが、リエゾンというのはフランス語で起こる音声変化のひとつを指す言葉だそうです。
それが英語の音声変化「リンキング」と同じような意味で使われることもあるとのこと。
リエゾンでも間違いではないと思うのですが、私が大学で音声学を学んだときはリンキングで習いました。英語の記事でもリンキングが一般的なので、リンキングもしくは連結で覚えておいたほうがよいと思います。
英語のリンキング(連結)一覧
音声変化には色んな分類の仕方があります。でも大切なのは分け方ではなく、音声変化を聞き取れるようになることですよね。今回はリンキングを初心者の方にも分かりやすいよう、
- 『子音+母音』例:chill out → チラウト
- 『破裂音+Y』例:meet you → ミーチュー
- 『母音+新しい音+母音』例:go away → ゴウワウェイ
の3つに分類してみました。
ちなみに、母音とは日本語でいう「あいうえお」。英語には少なくても15つ以上の母音があります。定義は「声が口から出るまでに、舌、唇、喉などで空気の流れが妨げられない音」。子音はそれ以外の音です。
子音+母音
1つ目の単語の最後の子音と、2つ目の単語の最初の母音がくっつきます。
もともとの2つの音が、両方ともある程度保たれているので、聞き取りは比較的簡単。ほぼすべての子音をピックアップしてみましたよ。
- I have a good news. I got a job offer.
「ジョボファー」のように聞こえます - You passed the exam? You did it!
「ディディット」のように聞こえます - It would be nice if all of us could make it.
「イファール」のように聞こえます - That's such an big apple!
「ビッガプル」のように聞こえます - I spend 1 hour putting make-up everyday.
「メイカップ」のように聞こえます - Don’t think too much. Just chill out.
「チラウト」のように聞こえます - Your room is very messy, you should clean up.
「ルーミズ」のように聞こえます - Can you turn on the heater, please?
「ターノン」のように聞こえます - Can I have the bill, please?
「キャナイ」のように聞こえます - Let's keep in touch.
「キーピン」のように聞こえます - This chair is nice. Where did you buy it?
「チェアーリズ」のように聞こえます - I have business in China.
「ビジネシン」のように聞こえます - There was a car accident in my neighbor.
「アクシデンティン」のように聞こえます - All of us really liked that restaurant.
「オバス」のように聞こえます - Why are you always in your room?
「オールウェイジン」のように聞こえます
破裂音+Y
1つ目の単語の最後の子音が、
- 破裂音(T、D、K、G、P、B など)
- 破擦音(CH、J など)
- 摩擦音(F、V、S、Z、SH など)
で、2つ目の単語の最初の子音が「Y」のときによく起こります。2つ目の単語が「you」のことが多いので、日常会話でよく耳にする音声変化ですよ。
ちなみに「同化」と呼ばれることもありますが、基本的にはリンキングの一種。もとの発音からの変化が少し大きいので、難易度は高めです。2つの音が繋がって別の音が生まれるイメージです。
- Nice to meet you.
「ミーチュー」のように聞こえます - How would you like your steak?
「ウッジュー」のように聞こえます - Could you give me a hand?
「クッジュー」のように聞こえます - Thank you for coming today.
「センキュー」のように聞こえます - Can I tag you on Facebook?
「タギュー」のように聞こえます - I hope you enjoyed the meal.
「ホウピュー」のように聞こえます - If you are going, I would go, too.
「イフュー」のように聞こえます - How's your family doing?
「ハウジョアー」のように聞こえます - I miss you a lot.
「ミシュー」のように聞こえます - Finish your homework first.
「フィニッショア」のように聞こえます - Sorry, I didn’t catch your name.
「キャッチョアー」のように聞こえます - Don't worry, I won't judge you.
「ジャッジュー」のように聞こえます
番外編:母音+新しい音+母音
2つの母音が繋がるリンキングなのですが、その間に、新しい音が生まれることがあります。今までの「2つの音が1つになる」タイプとは少し違いますよね。
こちらは少し上級者向けで、違いが分からなくても聞き取りにはあまり影響がないと思います(リンキングに分類するかどうかも意見が分かれるところです)。
まずは母音と母音の間に「W」のような音が入る変化です。
- You should do it.
「ドゥウィット」のように聞こえます - Let's go out.
「ゴウワウト」のように聞こえます
次にイギリス英語にだけ起こる、少し不思議な変化。「idea(アイディア)」のあとに母音で始まる単語がくると、2つの単語の間に「R」のような音が入ります。
- I like the idea of giving it a try.
「アイディラオブ」のように聞こえます - That was her idea and decision.
「アイディラエンド」のように聞こえます。
少しマニアックですね。興味深いので紹介してみましたが、覚える必要はないかもしれません(笑)
リンキングをマスターするためのオススメ教材
リンキングを含む「音声変化」をマスターするには、たくさんナチュラルスピードの音声を聞き、自分でもマネしてみて、自分とお手本がどのように違うかを比べるという作業を地道にやっていくことが大切です。
それにはリピーティングやディクテーションといった練習法がオススメですよ。
モゴモゴバスター
こちらは音声変化が起こった「省エネ英語」を聞き取れるようになるための練習に特化できるサイト。音声変化に特化したサイトというのは珍しく、かなりスピードが速い音声が大量にありますよ。サンプルはこちら。
最初に約6,500円を支払うと全42レッスン(計6.5時間の音声)がずっと利用可能です。自分でもマネしてみながら毎日やりこめば、普通のネイティブの会話がゆっくり聞こえてくると思います。
そのほかリピーティングやディクテーションにオススメの教材です。
- プライムイングリッシュ
リスニング、発音、スピーキングなどを総合的に練習できます。 - イングリッシュセントラル
英語学習者用の動画サイト。単語の穴埋めや発音練習などをゲーム感覚で楽しめます。 - TED Talks
色んな分野で活躍している人のプレゼンを無料で閲覧できるサイト。興味深い話題が多いです。
音声変化というのは、ネイティブが自然なスピードで話したときに起こるもの。つまり一番いい教材はリアルなネイティブ同士の会話です。
英語学習者用の教材で自信をつけたあとは、英語圏のドラマや映画、トークショーやドキュメンタリーなど、より自然なシチュエーションでのネイティブ同士の会話を聞いてみましょう。
オススメ教材のより詳しい説明や、音声変化のマスター法については、こちらの記事を読んでくださいね。
リンキング以外の音声変化
2つの音が繋がるリンキング以外にも、音声変化には色んな種類があります。
- リダクション(脱落):前後の音に影響されて、特定の音が消える(聞こえない)こと
- Good job. グッジョブ(Dが脱落)
- I like him. アイライキム(Hが脱落)
- フラッピング(フラップT):Tの音が「LとDの間のような音」に変わること
- party パーリー
- a lot of アラロブ
リダクションとフラッピングについては、それぞれ別の記事で詳しくまとめていますよ。
リンキングは自分でも発音できるようになろう!
リンキングは「1つ目の単語の最後の音と2つ目の単語の最初の音が繋がる」音声変化です。今回は大きく3つのタイプに分けて紹介しました。
- 『子音+母音』例:chill out → チラウト
- 『破裂音+Y』例:meet you → ミーチュー
- 『母音+新しい音+母音』例:go out → ゴウワウト
音声変化のなかでもリンキングはそこまで難しくありません。同時に、アメリカ英語でもイギリス英語でも起こる、しっかり理解しておくべき音声変化でもあります。
音声変化が理解できると、リスニング力アップに繋がります。リピーティングやディクテーションなどのトレーニングをコツコツ続ければ、すぐに聞き取れるようになると思いますよ。