photo by Deb Stgo

通訳案内士資格試験の再受験にあたって、まずは英検一級をとることを目標にしました。一次試験は科目毎に合否が出て、その翌年度までは合格した科目が免除になります。

ですが、英検一級を取得してしまえば、永久に一次試験の英語は免除になるので、英語以外の3科目に集中することができる、と考えました。

(今ではTOEIC840点およびTOEICSWスピーキングテスト150点もしくはライティングテスト160点以上でも免除が可能。詳細は日本政府観光局の該当ページを参照。)

まずは英検一級合格を目指し、通訳学校の全5回の短期集中講座に

さて、英検一級をとるといっても、「ものすごく難しいらしい」ぐらいの認識しかなかったので、まずは英検一級がどんな試験で、どういう対策をとるべきなのか知る必要がありました。

この時点で英検受験日まで3ヶ月をきっていたこと、次のキャリアとして通訳にも興味を持っていたことから、その視察も兼ね、通訳学校の英検対策短期集中講座(2時間×全5回、受講料3万円前後)を受けることにしました。

と、ここでさっそく学校に頼ったわけですが、以下の理由で、この選択は正解だったと思います。

  • 英検一級の難易度がわかり、勉強モードのスイッチが入った
  • 講師が受講者に求めるレベルおよび他の受講者のレベルが高く、自分の実力が把握できた
  • 特に、語彙力とリスニングが英検一級レベルに達していないことがわかった
  • 語彙力はとにかく覚えるしかないと腹が据わった
  • リスニング力はシャドーイング(*)という通訳者のトレーニングスキルを使うのが有効とわかった

(*シャドーイング:英語の音声を聴きながら、同時にその内容を自分でも発声していく。)

「英語ができる」「英語がぺらぺら」という表現はものすごく曖昧で、実際そこにカテゴライズされている英語力にはかなり大きな差があります。

日本で「英語ができる人」扱いされることは少し危険で、自分でもなんとなく英語ができるような気になってしまい、実力を客観的に見極めるのが非常に難しくなってしまいます。

ちなみに、この時点での私の英語力は主に(1)大学受験時代の猛勉強と(2)英国立バーミンガム大学留学時代によって培われていて、具体的な目安としては英検準一級とTOEIC900点前後のスコア。

私の英語学習歴についてまとめた記事もありますので、よかったらそちらも参考にしてみてください。)

でも、英検準一級と一級のレベルの差は果てしなく大きいし、TOEICは一定レベルを超えた英語力を測るのには適していないので、その時点での自分の実力と、英検一級合格に必要なレベルには、どのくらいの差があるのか、把握できていませんでした。

講座では毎回クラスのなかで実際に過去問題を解き、講師の方が各問題の解説と共に試験の傾向、対策を説明してくださる、というスタイルでした。

クラス前の事前課題も量が多く、こなすのに必死でしたし、クラスの時間中に問題を解いてその場ですぐ答え合わせをするのも、全員の前で自分の出来なさっぷりが露呈してしまうことも、プレッシャーでした。

この繰り返しの中で、自分の実力を直視できたことが、とてもよかったです。

この講座を受けたことで、「今の実力では英検一級合格は難しい。が、語彙力増強とリスニング力アップに集中して取り組めば、なんとかなるかもしれない」という感覚を持つことが出来ました。

また、とても要求度が高い講師の方とレベルが高い他の受講生の方々と共に時間を過ごしたことで、危機感が募り、モチベーションがかなり上がりました。(余談ですが、同時に「プロの通訳への道のりは果てしない」という現実も痛感しました。)

そんなわけで、講座を受け終えたあとの3ヶ月弱は独学で語彙力とリスニングに集中した対策を行い、2009年6月に一次試験、7月に二次試験を受験。

30歳を迎える誕生日の数日前に合格通知を受け取り、一次も二次も合格最低点で、まさにぎりぎり、すれすれの合格でしたが、なんとか20代のうちに英検一級を取得することができました。

短期集中講座を終えたあとの3ヶ月弱は、独学でひたすら語彙力とリスニング力アップに集中

独学での勉強方法はとてもシンプルです。語彙力に関しては、短期集中講座で使ったテキストに加え、英検一級の過去問題集を購入し、ひたすら解いていく。

そして、そこに出てくる知らない単語をすべて書き出し、意味を調べ、単語帳にまとめ、ひたすら暗記。もっと時間があれば他の英語媒体にも目を通し、幅広い分野の英語に触れるのがベターだとは思います。

ただ私は時間がなかったので、この方法をとりました。リスニング力は、通訳学校で学んだシャドーイングをひたすら行いました。

教材はなんでもいいのですが、ただ聴くよりぐっと難易度があがり、最初は音声を追うこと自体が難しいこともあるので、まずはTEDのようにテキストがあるものを選び、テキストを何度か音読してからシャドーイングをする方法がおすすめです。

というわけで、英検一級取得に費やした時間は3ヶ月、金額は3万5千円程度(講座代、過去問題テキスト代)でした。

もちろん、実力把握も含め、すべての対策を自分で行い、独学で成果を出すことが出来たら、それがよりよいかもしれません。肝心なのは、そのときそのときで自分に合った学習方法を自覚的に選んでいくことだと思っています。

20年間どっぷり学校に頼る学習方法を行ってきた私には、徐々に独学の割合をあげていくのが理想ではありますが、ときにはプロに頼るという選択肢もまだ必要なようです。

さて、次回以降は通訳案内士の一次試験および二次試験の対策方法について、書いていきたいと思います。