photo by Andrew Butitta
こんにちは、上田裕美です。前回までは韓国の国際大学院への入学準備についてご紹介しましたが、今回からは実際の学生生活についてお話します。
新学期が始まるまでは、院入学のハードルが低かったことから、正直もっとスムーズにスタートを切れるかなと甘く考えていたところもありました。
が、小心者で生真面目な性格もわざわいし、入学直後にリズムをつかみそこねてしまい、結局、体勢を立て直して学生生活のサイクルをうまく回せるようになるまでには、まるまる最初の学期一杯(9月〜12月の3ヶ月間)はかかってしまいました。
今回は具体的にどういったところに苦労をしたのか、次回以降はそこからどうやって立て直していったのかについて、お話したいと思います。
韓国の学生の英語力の高さにショックを受け、ガチガチに緊張して始まった新学期
さて、いよいよ院へ入学。10年ぶりの学生生活に心躍らせながら、意気揚々とオリエンテーションに参加しました。会場に並ぶ新入生は60人前後で、留学生と韓国の学生は約半々の割合。
留学生の出身国はアメリカ、カナダ、イギリス、中国、台湾、シンガポール、ウズベキスタン、インドネシアなどなど。その顔ぶれを目にし、まずとても驚いたのが、平均年齢の低さ。
次に周りの面々と会話を交わし、さらにショックを受けたのが、みんなの英語力の高さでした。
年齢層は20代半ばが大半。韓国の学生になると20代前半が一番のボリュームゾーンで、20代後半以降は完全にマイノリティ。
英語力は、少なくとも会話の場面では、非ネイティブの留学生も韓国の学生も、ネイティブと比べても遜色ない流暢な英語を話す人ばかり、という印象。
聞いてみると、特に韓国の学生は家族の都合で海外長期滞在の経験があったり、英語圏の大学を卒業したり、という人が少なくなかったよう。
もうひとつ戸惑ったのが、入学後かなり早い段階で、新入生が留学生(と欧米ノリの韓国の学生一部)と韓国の学生にほぼぱっきりと分かれたこと。
私は院生活を、イギリス留学時代と似たような環境になるものとして、無意識に想定していました。
出身国、年齢、バックググラウンド、そして英語力もばらばらな学生が、雑多に混じり合って、お互いを尊重しあって、共に学んでいく、というような。なので、その独特な雰囲気に「あれ?」とびっくり。
私はぶっちぎりの最年長で、唯一の子持ち。ものすご〜く幼く見える周囲(特に韓国の学生)と比較して、あまりに低い自分の英語力。
久しぶりの英語環境にもともと緊張気味だったこともあり、新学期早々「私ってなんて英語ができないの!?」モードに突入。長年忘れていた英語コンプレックスが頭をもたげてきて、ガチガチに緊張して、劣等感ばかり感じる日々を過ごすことに。
授業が始まるとリーディング、スピーキング、ライティングに悪戦苦闘
そんな状況で始まった新学期、私は以下の4コマのクラスを履修していました。これは奨学金を得るため学期で履修すべき最低限のコマ数。
育児とのバランスで、院の勉強にどれくらい時間が割けるか未知数だったので、かかる負担を最小限に抑えておきたいという考えからでした。
コロキウム(必修科目)
毎週異なるスピーカーをゲスト(元対北朝鮮政策担当の政治家、エクアドル大使、国際法専門の他大の教授など)に呼び、国際関係学にまつわる幅広いテーマの1時間半程度の講演を聴く講座。毎回講演のまとめと分析をしたA4、3枚のレポート提出が課題。
国際政治・国際経済(必修科目)
それぞれ毎週教授による3時間の講義があり、学期毎に試験が2回とグループプレゼンが1回。
韓国語(自由選択科目)
1時間の授業を週3回に分けて受講。授業はすべて韓国語。
オリエンテーション当日は、2〜3時間英語の説明を聞いただけで頭が重くなり、ぐったり。
こんなんでこの先大丈夫なんだろうかとますます不安になったものの、授業が始まると、週に7時間半の講義を聴き続けるだけあって、リスニングはすぐに慣れました。
苦労したのはリーディング、スピーキングとライティング。リーディングはこれまで得意だと思っていたものの、読む量と難易度がこれまでと比較にならないくらいだったので、とにかく時間がかかりました。3時間の講義の予習リーディングで、たぶん6時間くらいは費やしていたんじゃないかと。
スピーキングも、そんなに不得意なつもりはなかったのに、なんとなく留学生組に振り分けられた(?)ため、周りはいつもネイティブとネイティブレベルの人たちで、普段の日常会話にさえ、気合を入れて臨まないと入っていけない状況。
もっと難しかったのは、講義の合間にあるディスカッション。主に留学生が中心となってぽんぽんと意見が飛び交うそのスピードに思考がついていけず、発言のタイミングがなかなかつかめませんでした。
意見を考えている間にトピックが次に移ってしまって結局黙ったままで、授業が終わるたびにどんよりと落ち込んだり。
ライティングはもともと得意ではなかったので、コロキウムの毎週の課題で、A4の用紙たった3枚の分量のレポートを書くのに、これまた4〜5時間は費やしていたと思います。
まずは講演のトピックに関する基本的な内容のリサーチをし、講演の内容と照らし合わせて理解に努め、そこから自分の意見をまとめ、問題提起をしていく、というプロセス自体を確立するまでにも3〜4週間はかかったように記憶しています。
と、スタートから大ゴケしてしまい、新学期はなんだかちょっとつらい感じに過ごしてしまいました。
純粋に英語力の問題というよりは、自分の性格による部分が大きかったものの、当時はそれを冷静に判断できず、ひたすら自分の英語力の低さを嘆いてしまい、さらに萎縮して、という悪循環。
次回からは、そこからどうやって立ち直ったかの過程と、「英語力の低さ」のせいにしてしまうと本当の問題を見えずらくしてしまう可能性について、お話する予定です。