「どれくらいの時間をかけると、英語を話せるようになるのか?」というのは、すべての英語学習者が気になるトピックではないでしょうか。
一般的に日本の学校教育では、中・高・大学に属する間、合計で1000時間ほど英語を学習します。それでも学校を卒業し、英語を話せるようになったかというと、そうでもない……。
つまり1000時間足らずの英語学習では、まったく足りていないということ。では、実際どれくらい勉強すればいいの?英語を話せるようになるために必要な学習時間の目安と、それを裏付けるデータをご紹介します。
最低でも計2400時間は必要だった!
アメリカ国務省の優秀な研修生であり、英語が母語のアメリカ人が、外国語を習得するのにどれくらいの時間を要したかを示すデータがあります(ここでの「習得」は、日常生活に困らないレベルを指します)。
外国語の難易度、つまり彼らの母語である英語とどれほど類似性があるかによって、習得にかかる時間に大きな差が出ることが分かりました。
※Foreign Service Institute「外国語の研修成果と学習時間に関する資料(1973年)」より筆者が作成
アメリカ人が、英語とまったく異なる言語である日本語を習得するには、2400~2760時間かかったようです。
このデータをもとに逆のパターンを考えてみましょう。日本人が、日本語とまったく異なる言語である英語を習得するのにも、目安として最低2400時間は必要だということになります。
ちなみにアメリカ人の彼らは1日6時間x週5日の集中トレーニングを受けていました。週30時間という学習時間で集中的に学ぶことで、こま切れに学習するよりも効率は高かったのではと言われています。
しかも彼らは難関を突破したエリートたち。普通の人であれば、さらに長い時間がかかることは明らかですね。
目安は社会人になってから「2000時間」
上の2760時間を繰り上げて、英語習得には目安として計3000時間が必要としてみましょう。そこから中・高・大学で学習した1000時間を差し引いても、残りはその2倍の2000時間にも及びます。
仕事に忙しい社会人が、1日6時間も学習するのは不可能です。そこで、土日も含めて1日2時間として計算してみると、2000時間を達成するのに1,000日(およそ2年9ヶ月)もの期間が必要ということになります。
しかし、近年の社内公用語英語化の動きにもあるように、急遽仕事で英語が必須となった社会人にとって、3年近くもかけられないというのが本音。
実際はどれくらい学習すれば効果を感じられるのでしょうか。筆者の周りでの事例をご紹介します。
1日2時間x1年半(1000時間強)でTOEIC450→850点
会社で英語が必要となって、久しぶりに英語の勉強を始めた男性Tさん。学生時代に約1000時間英語を学んでそれっきりというタイプです。
しかし、1日2時間の勉強を始めてから1年半(英語を再スタートしてからは1090時間の学習)で、TOEICスコアは450点から850点にアップしたそう。
そこに至る過程で、会話スキルにも効果を感じていた様子。Tさんによると「始めて3ヶ月くらいから手ごたえを感じ出した」とのこと。衰えていた英語を聴く力、読む力が復活してきたのが、ちょうどその頃でした。
外国人の同僚とは身ぶり手ぶりをメインに意思疎通を図っていたものの、ようやく会話らしい会話ができるようになったのは開始から半年ほど(360時間の学習)経ってからのこと。
「まだ拙い英語ですが、学習時間が合計で2000時間を超えると、少し余裕を持って話せるようになります」とTさんは言っていました。
まずは1000時間を目指してコツコツ学習しましょう!
日常会話に困らないレベルを目指す方は、社会人になってから「プラス2000時間の学習」を目安にすると良いでしょう。
まずはTさんのように「プラス1000時間の学習時間」を突破することを目標にし、毎日少しずつでも継続してコツコツと取り組んでみることが大切です。