今や英語学習の選択肢は増え、英会話スクールだけでなく、自宅で学べるオンライン英会話などもあります。そして、そこでは様々な講師を自由に選べる時代がやってきました。
しかしそんな時、「どの国の講師を選ぶといいの?」「イギリス英語とアメリカ英語って聞いたことあるけど、どう違うんだっけ?」などと迷ってしまったことはありませんか。
実はこれは英語学習における大切なポイント。特に、留学や転勤前に英語力を磨こうとしている場合、違いをしっかり理解した上で適切な講師を選ぶことをおすすめします。
この記事では、イギリス英語とアメリカ英語の違いを詳しくご紹介し、どちらがおすすめなのかということについてご説明していきます。
ぜひ英語学習を始める時の参考にしてください。
イギリス英語とアメリカ英語はどう違う?
世界の公用語と言われる英語。第一言語として使われている国だけで3億4千万人以上、公用語や準公用語とされている国を合わせると10億人以上が日常的に話す言語です。
その中でも大きくわけて2種類あり、それがイギリスの英語を基にした「イギリス英語」と、アメリカの英語を基にした「アメリカ英語」。
そして、イギリス英語とアメリカ英語には、スペルや単語、発音、文法などさまざまな違いがあります。
たとえば代表的な例をご紹介すると、この通り。
イギリス英語 | アメリカ英語 | |
---|---|---|
スペル | センターはcentre | センターはcenter |
単語 | 焼き菓子は ビスケット |
焼き菓子は クッキー |
発音 | Rは強く発音しない | Rは軽い巻き舌 |
文法 | 文法はしっかり 守る傾向 |
文法がシンプル化 されることも |
それではひとつずつご紹介していきます。
スペルについて
アメリカ人はもともと16-17世紀にイギリスから渡った人々。実はその頃はまだ英語の書き言葉が標準化されていなかったんです。
そこからそれぞれの国で辞書を編纂していったのですが、その時に自由の国に逃れたアメリカ人が意図的にイギリス英語からスペルを変えたと言われています。
スペルの違いとしては、たとえばこのような単語。
イギリス英語 | アメリカ英語 | |
---|---|---|
センター | centre | center |
色 | colour | color |
免許 | licence | license |
センターなどは、地図などを見ていて気づいた人もいるかもしれません。たとえば、ショッピングセンターもイギリス英語だと「shopping centre」となるんですよね。
アメリカ英語を学校で学んできた日本人にとってイギリス英語の綴りの違いは戸惑いやすいところですが、発音は変わりませんのでそこはご安心ください。
単語について
また、単語自体が異なるものもあります。
イギリス英語 | アメリカ英語 | |
---|---|---|
ズボン | trousers (トラウザース) |
pants (パンツ) |
焼き菓子 | biscuit (ビスケット) |
cookie (クッキー) |
サッカー | football (フットボール) |
soccer (サッカー) |
エレベーター | lift (リフト) |
elevator (エレベーター) |
休暇 | holiday (ホリデー) |
vacation (バケーション) |
日本語でもよく使う言葉をいくつかピックアップしましたが、片方がイギリス英語で、片方がアメリカ英語だと知らなかったものもあるのではないでしょうか。
とはいえ、たとえばアメリカでも「アメリカンフットボール」という競技では「フットボール」という単語が使われますし、祝祭日という意味では「ホリデー」も使います。
つまり、単語自体は使うけれども使い方が異なることもあるんです。日本語で、関東と関西で「なおす」の意味が異なるのに少し似ていますね。
発音について
発音については両者には結構大きな違いがあります。片方の英語に慣れている人は、もう片方の英語が聞き取りにくいと感じてしまうかもしれません。
代表的な違いとしては、
- Rの巻き舌
- Tを発声するかどうか
- Aの発音のニュアンス
- Cの発音が変わる時も
などがあります。
少し例をご紹介しますと、
イギリス英語 | アメリカ英語 | |
---|---|---|
store | ストー | ストア (Rは巻き舌) |
water | ウォーター | ウォーラー (Tをしっかり発音) |
apple | アップル | アップル (Aはアとエの間) |
can’t | カーント | キャント |
のようになります。
「R」はアメリカ英語ではしっかり巻き舌で発音しますが、イギリスではあまり強く発音しません。
これはアメリカとの差をつけようと、イギリスの上流階級の人たちが上品にRを発音するようになり、それがいつのまにか一般庶民にも浸透していったというから面白いですよね。
逆にイギリス英語のほうがきちんと発音するのはT。アメリカ英語で「Water」は「ウォーラー」となります。
ほか、「Apple」などのAは発音がかなり違います。イギリス英語では日本語に近い「ア」と発音しますが、アメリカ英語ではちょっと難しい「ア」と「エ」の中間音になります。
アメリカ英語を学校で習ってきた日本人ですが、実は苦手な発音の多くはアメリカ英語のほうが多いんですよね。
「Can’t」のCの発音も特徴的。「カーント」と「キャント」ではだいぶ単語の雰囲気が変わります。
文法について
アメリカ英語は、イギリス英語を簡略化していったという経緯があります。そのため、文法などはイギリス英語よりシンプルに変化しています。
たとえば、アメリカ英語では現在完了形をあまり多用しません。「ノートをなくしてしまいました」と言いたい場合、
イギリス英語:I have lost my notebook.
アメリカ英語:I lost my notebook.
のように、イギリス英語では「現在までなくしている」状態が続いてることを強調するために現在完了形を使いますが、アメリカ英語の特に口語では単に過去形とすることが多いです。
それぞれどの国で使われているの?
それでは、そのイギリス英語とアメリカ英語が、それぞれどのような国で使われているのかというと、
国名 | |
---|---|
イギリス英語 | イギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、インド、シンガポール、マレーシア、香港、南アフリカなど |
アメリカ英語 | アメリカ、カナダ、フィリピンなど |
のようになります。
意外とイギリス英語の使用国が多いと思われたのではないかと思いますが、それはイギリスの植民地国が多くあったことの名残り。人口ではアメリカ英語話者の方が多いです。
太字は母語も公用語・準公用語のどちらもが英語の国。英会話スクールなどの「ネイティブ講師」はこれらの国籍の人が多く、本場の発音などに触れたい人にはおすすめです。
国ごとの差もある
やはりどんな言語もその土地の人たちと一緒に進化していくもの。そのため、同じ「イギリス英語圏」や「アメリカ英語圏」でも国ごとの特徴や違いがあります。
たとえば、オーストラリア英語でAの「エイ」の発音が「アイ」になるのもそのひとつ。
「Today」が「トゥダイ」になるんですが、これはアメリカ英語でもイギリス英語でもない音声変化ですよね。
カナダでは、発音は基本アメリカ英語ですが、スペルはイギリス英語のものも多く、いわばミックスになっています。
どちらの英語を学ぶのがいい?
それでは、どちらの英語を学ぶべきかですが、
- どちらの英語を話す人と多く接する?
- 話したい英語はどちら?
という基準で決めていいと思います。
というのも、違いもありますが共通点の方が圧倒的に多いので、お互いの言葉はほぼ理解できますので。大事なのは、違いを理解しておくことです。
そして、迷ったらアメリカ英語をおすすめします。というのも、ネイティブスピーカーの7割はアメリカ英語ですし、日本ではアメリカと関係が深いビジネスの方が多いからです。
きちんとした英語を習いたい場合はイギリス英語と言う人もいますが、アメリカ英語でもフォーマルフレーズなどもありますので、そこはあまり心配する必要はありません。
講師を選べる場合、まずはアメリカ人、もしくはイギリス人の講師でレッスンを進め、基礎ができたところでほかの国の講師を受講するのがおすすめ。
非ネイティブの英語もそれぞれ個性がありますので、慣れてきたら受講してみるとリスニング力があがりますよ。どの国の人とでも臆せずに会話ができる自信がつくと最強です。
まとめ
イギリス英語とアメリカ英語は、さまざまな違いがありますが根幹のところは共通していますし、どちらを話しても基本的には通じます。
まずは英語を使いたい環境、もしくは将来的に使いたい環境でどちらの英語を学ぶのかを決めて、もう片方の英語は慣れてから触れるのがベストだと思います。
ぜひフレキシブルな英語能力を手にいれて、世界中の人たちと英語で会話ができるようになってください。
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参考文献:
British Council Indonesia Foundation “Differences between British and American English”