さて、これまで日常と離れて英語の勉強をしてきました。いわば、これは出家のようなものだと言えますね。
出家したまま死ねればいいですが、それでは世間が許してくれません。いつか日常に戻る、つまり還俗をする日がやってきます。
私は、たまに山にこもって瞑想修行するからわかるのです。出家して、瞑想修行のみにシンプルな生活をすると、色んなことに気がつきます。
素晴らしい学びが沢山あります。よし、日常に戻ってこれらのことを活かそうと思うのですが、いざ娑婆に戻ってくると綺麗さっぱり忘れてしまいます。3日も持てばいいほうかもしれません。
修行で素晴らしい学びがあるのは当たり前ですし、難しいことではありません。しかし、それをどう日常に溶けこませるかが一番難しく、また価値のあることなのです。
ここでは、日常に学びを取り込む際のヒントをいくつか挙げていこうと思います。
金があるなら金で解決や! 駅前留学やスカイプ英会話をやろう!
お金があるならば、駅前留学やインターネットで毎日話せるスカイプ英会話などを利用するのがてっとり早いでしょう。
かけたお金が多ければ多いほど、その金額を回収しよう、損をしないように勉強しようと思うのが人情です。もちろん、その教室を選ぶ際は、みんなの英語ひろばを参考にしましょうね!
ただしこれらに関しては、すでに多くの方が解説されているので詳細は省きます。この連載は、あえてそれ以外の人たちを対象に書いています。
以下では、お金をかけずにいかに日常生活に英語学習を取り入れるか、私が実際にやっている方法をお教えします。
外国人と住もう!
重ねて言いますが、何よりも大切であり難しいのは、学習のモチベーションを維持すること。英語話者と毎日話す機会があれば、容易にモチベーションを保つことができます。
そのために、外国人と一緒に住むのは良い方法ではないかと思います。とは言え、外国人の恋人を作ったり、ルームメイトを探すのは、結構ハードルが高いですよね。
そんなあなたにオススメなのは、外人ハウスと呼ばれる物件です。これは社員寮などを改装し、キッチン・リビング・トイレなどを共有する、現代版、めぞん一刻システム。
家具や食器なども予め揃っていることが多く、入居にかかる費用も安く済むことが多いです。カバンひとつで新生活が始められるので、身軽な生活を好む人には特におすすめします。
こういった住居形態は、日本在住の外国人に人気があり、外人ハウスと呼ばれてきました。現在は日本人の間にも利用が広がり、名称もゲストハウス、ソーシャルアパートメントと変化してきました。
外国人比率は物件によって様々ですから、電話したり見学したりして確認をしましょう。西洋人が多い物件、学生が多い物件、住人同士の交流が活発な物件など様々です。
物件の情報サイトはいくつかありますが、ひつじ不動産が特に有名でしょうかね。ちなみに私が昔住んでいた物件は、住人の半分くらいが外国人でした。
スウェーデン人の学生が少し多いくらいで、モンゴル人、イスラエル人、アメリカ人など様々な人たちが住んでおり、リビングでのコミュニケーションも活発な所だったので、英語を学びたくなりました。
実はこれが、私が英語修行に出かけた理由のひとつです。またこれは余談になりますが、こういったシェア物件はキッチンが広く、料理をするのが楽しくなるのも利点です。
友人になった外国人たちに、本場の料理を振る舞ってもらうことも度々ありました。こういったことが日常にある生活も、なかなか素敵ではないでしょうか?
外国人を家に招待しよう!
今いる部屋から引っ越したくないから、ゲストハウスには住めないよ!という方にも、良い方法があります。旅行中の外国人を、あなたの部屋に泊めてあげるのです。
外国人を泊めるといってもそんな知り合いはいないし、見知らぬ外国人を泊めても楽しくないのでは?と思われるかもしれません。でも大丈夫、そんな人たちのためにカウチサーフィンがあります。
これは、旅人同士を繋ぐSNS(Facebookやミクシィみたいなもの)。プロフィールを登録しておくと、近くを旅している外国人が、「あなたの部屋に泊めてよ!」とリクエストを送ってきます。
あなたはそのリクエストの文章やプロフィールを見て、「この人なら楽しくコミュニケーションできそうだな」という人だけ受け入れれば良いのです。
また部屋に泊めるのは抵抗がある人でも、地元のコミュニティグループで飲み会をやろうとか、登山に行こうなどというイベントが計画されています。そういったものに参加するのも、新しい出会いがあり楽しめることでしょう。
私は外人ハウスを出たあとは居候しかしていないので、部屋に外国人を呼ぶことはできないのですが、旅行先では何度も利用しています。カナダでは、地元の人の案内で、大自然のアクティビティを満喫することができました。
ボストンでは、憧れのMIT(マサチューセッツ工科大学)の寮に泊まり、毎日メディア研究所に散歩に行くという通常ではできない体験をしました。
カザフスタンでは、ヨガのインストラクターをしているロシア人の女のコの部屋に泊めていただき、なんかドキドキしました。
バングラディシュでは、現地のご家庭に一週間ほどホームステイさせていただき、初日から体調を崩し、ほぼ全てベッドの上で過ごしました。
ホテルに泊まるだけでは体験できないような、現地人ならではの視点が得られる素晴らしい体験ができました。
「ESL Podcast」で移動中も修行!
近年はスマートフォンの普及で、どこでもPodcast(インターネットラジオ)が楽しめる様になりました。毎日の通勤・通学の時間を英語修行の時間にしてみてはいかがでしょうか?
ただし英語のPodcastは無数にあるため、初心者にとってベストな番組を見つけるのは骨が折れるかもしれません。
私が何十というプログラムを聞いたなかで、英語初心者の方に一番お勧めだと思ったのは、ESL Podcastです。
これは、日常会話の中で使われている単語やフレーズを、非常にわかりやすい英語で解説してくれます。慣れてきたら、自分の興味がある分野のポッドキャストに手を出してみましょう。
MacでもiPhoneでも、手元で直ぐに調べよう!
インターネットの発達によって、英語の世界はより身近なものとなってきました。英語のページが読めたらいいなと思うことも、多いのではないでしょうか?
しかし辞書を引く手間が惜しくなり、英語ページを見なくなることは、容易に予想されます。わからない単語に出くわした場合、その場で英英辞書を呼び出せたら便利ですよね。
例として、私が使っているMacとiPhoneで、内蔵している英英辞書を利用する方法をお教えいたします。
Macでは、分からない単語を選択して右クリックすると、”〜"を調べるといった表示が出てきます。これを選択することで英英辞典を引くことができます。
ただし、この方法が使えないアプリケーションもあります。例えばSafariではこの方法を使えますが、Chromeでは使えません。Chromeをお使いの方はGoogle Dictionary Pluginを利用しましょう。
また、iPhoneでWebサイトを見ている場合にも、英英辞書を利用できます。ただし英英辞書を使えるのは、言語設定を英語にしている方のみになります。
英語に慣れる意味でもこの機会に英語環境へと切り替えましょう。使い方は、iPhoneでWebページを見ている時にわからない単語を長押しして選択します。
その後Copy横のDefineを選択すると、内蔵辞書が表示されます。WindowsやAndroidなどでの方法は、残念ながら私は使っていないのでわかりません。
むしろこの機会にMacやiPhoneに乗り換えることをお勧めします。
「簡易英語版Wikipedia」で、あなたも雑学博士に!
ちょっと調べ物、のつもりがついつい情報を辿ってしまうWikipedia。雑学好きなら、読んでいるだけでも楽しいですよね。たまには英語版の記事も読んでみてはいかがでしょうか?
とはいえ、知らないことを英語で解説されるのは敷居が高いですよね。実はその簡易英語(Basic English)版が存在することは、あまり知られていません。
使い方は簡単で、日本語記事の左側に各国版の記事へのリンクが有ります。その中からSimple English版のリンクを見つけましょう。
英語版に比べると記事数は少ないですが、初心者でもスラスラと読めて楽しめる、明朗な英文で説明されています。時間の経ち過ぎにはくれぐれも注意しましょうね。
旅行中のガイドブックも英語に変えてみよう!
国内でも海外でも、旅行に行くときはいつでも英語修行のチャンス。いつものガイドブックから、英語のガイドブックLonely Planetに変えてみましょう。
ちなみにこのLonely Planet、情報量は世界一ですが、細かい文字がビッシリと書かれているので引いてしまうかもしれません。
その場合は、もっと情報量が少ないRough Guidesなど別のガイドブックを選択してもいいでしょう。また有名な観光地では、大抵英語のフリーペーパーが手に入ります。
初心者ならば英語を読むのに時間がかかるでしょうから、ページ数の少ないフリーペーパーをじっくり読むほうが、気楽に楽しめるかもしれません。広告ページを眺めているのも楽しいものですよ!
Kindleで洋書を楽しもう!
複数カ国を旅行した人なら分かると思うのですが、意外と重くてかさばるのは、ガイドブックや暇つぶしに読む本たち。
長期旅行になると、特に大変。荷物の半分以上が本という、冗談みたいな人にも会ったことがあります。幸いiPhoneと電子書籍リーダーのおかげで、そんな人も見かけなくなってきたように思います。
ガイドブック、特に地図などの使いやすさは、いまだ紙に軍配が上がります。しかし、暇つぶしの文庫本たちは電子書籍にしてしまいましょう。そしていつもの文庫本を、洋書にしてみてはいかがでしょうか?
電子書籍リーダーは、AmazonのKindle Paperwhite をおすすめいたします。なぜならKindleは、洋書の数が豊富だからです。
さらにこのpaperwhiteという機種では、電子インク+フロントライトという技術によって目が疲れにくく、バッテリーも一度の充電で1ヶ月は持ちます。
価格も1万円程度ですので、取り出しやすい位置に雑にしまっても気にならないでしょう。これがiPadだと、盗まれた時にショックです。また電子書籍リーダーならば、文字の大きさが変えられます。
紙の洋書、例えば大人向けの小説を買ってくると、文字の細かさに驚きます。電話帳を読んでいるような気分になり、読書を楽しむ気になれないかもしれません。
その点Kindleなど電子書籍リーダーは、文字の大きさを変えられます。最初は目いっぱいに文字を大きくしたほうが、どんどんページをめくれて洋書をスイスイ読んでいる私に浸れるでしょう。
また、続きがスグに表示されるのも嬉しい機能です。スキマ時間でも読書をしよう、という気にさせてくれます。そして洋書を読んでいて一番嬉しいのは、なんといってもポップアップ辞書機能。
分からない単語があった場合、その単語をタッチするだけで辞書が引けます。もちろん、英英辞書を選択することも可能です。
なんならもう、仕事にしよう!
英語を学習するモチベーションを上げる方法として究極なのは、英語を使う仕事をすることでしょう。私が現在行っている輸入の仕事でも、日常的に海外の相手とやりとりしますので、英語の必要性をひしひしと感じます。
この英語ひろばの管理人さんも、自ら英語学習のサイトを運営していることにより、英語学習のモチベーションが維持できているのではないでしょうか。
なにも本業にする必要はありません。お小遣い稼ぎの副業を、英語を使ったものにすればよいのです。私のように輸入をするだけでなく、輸出をしてもいいですし、アイデアは無限に考えられるでしょう。
私で良ければ相談に乗りますので、お気軽にTwitter上で話しかけてくださいね。
さて、これまで4回に渡りバックパッカー流英語初心者脱出術を連載してきました。これまでお付き合い頂いた方々に御礼を申し上げます。
みんなの英語ひろばさんから執筆のお話を頂いたとき、そうそうたる執筆陣を前にして、私のような中途半端な学習者が書くことなんて、正直あるのかいな?と思いました。
しかしよくよく考えてみると、学生でもサラリーマンでもない私だからこそ、様々な工夫をして英語を学んできました。
それを共有することにも一定の価値が有るのではと思い直して書いたのが、このバックパッカー流英語初心者脱出術です。
私もまだまだ英語を身につけたとは言い難く、世の中の多くの方とともに修行を続ける1人です。まだまだ先は長いですが、ぶっちゃけ英語できなくても死にはしないので、楽しくやっていきましょう。
またどこかで仕事やバックパッキングの話など、別のテーマで記事を書けたらなあと思いますので、その際はまたよろしくお願いいたしますね、チャオ☆