社会人の英語留学

前回は、授業内容は、日本の英会話学校と海外の語学学校とではほとんど同じということを解説しました。

当然、高い費用と時間がかかる語学留学ではなく、日本の英会話学校に行けばいいのでは?と考えると思います。

しかし、語学留学をするほうが英語力は格段に高まります。今回はこの秘密を解説します。

(1)語学留学で英語ができるようになる秘密

実は、留学で英語力が高まるのは、語学学校の授業によるものではないのです。

いくら授業の全てが英語で行われ、クラスメートが外国人であっても、1日3時間程度の授業では、日本の英会話学校と効果に大きな違いはありません。

語学留学で最も英語が上達するのは授業そのものではなく、英語を使って世界各国の友人と雑談をし、一緒に遊び、日常生活を送ることを通してなのです。

この経験は日本にいるととても難しいことです。留学すると2週間もすれば概ね授業や生活にも慣れ、友人もできます。

私の場合は、まず他のすでに長期滞在している日本人に話しかけて仲良くなり、そこから韓国人や台湾人、タイ人などに徐々に友達ができていきました。

このあたりは日本の学校と同じで、4~5人程度の仲のよいグループが複数できあがり、学校の休憩時間や授業後遊んだりするのもこのグループ単位となります。

授業でも英語は学ぶのですが、英語力はこの時の雑談の中でメキメキついていくのです。

ネイティブは誰もいない留学生同士なのですが、英語を使うしかない環境なので英語でダラダラと雑談をしていると、自然とあたりまえのように英語を話していることに気がつくようになります。

そして雑談の中で「こう言いたい!」とストレスが溜まることが学習への強いモチベーションになっていくのです。

英語上級者の友人の使う言い回しを聞くと「そういえばいいんだ!」と強く頭に残り、授業よりもむしろ雑談の中で聞いたフレーズをどんどん覚えていきます。

また、学校の授業は1日3時間程度ですが、学校の後にいつも友人たちと過ごすようになれば、一日中英語でのコミュニケーションを続けることになります。

学校の後はカフェや、近くの公園、図書館に行き、夕食も一緒に食べ、土日も家に遊びに行ったりするなどしていれば英語を使う時間はとても長くなります。

また、友人同士、お互い留学生同士なので、「正しい英語を使わないといけない」という気負いがなく、また英語でしかコミュニケーションが取れないので、間違えた英語でも、初歩的なレベルでも、ひたすら英語を「実際に使い続ける」ことになるのです。

「言語」の習得にはとにかく使うしかない、使うようにしていればすぐに上達すると言われますが、語学留学はまさにこれを実践することになるのです。

こうしていると、2か月もすると留学当初とは明らかに英語力が違うと感じるようになります。

語学留学に批判的な方は、「授業内容が日本と変わらない」という点を指摘しますが、それは全く的外れなのです。

留学当初は英語がぜんぜんできなくても、友達を作り、学校の外でも英語でのコミュニケーションをちゃんと続ければ英語力は間違いなく向上していくのです。

社会人の英語留学

(2)語学留学を成功させるポイント

大部分の語学学校での授業は、午前中(もしくは午後)のみ行われるため、残りの自由時間でいかに多くの英語を使うかが、留学を成功させる秘訣となります。

よく学校選びが大切などと言われますが、どの学校も内容は変わりません。自由時間の中でたくさん英語に触れ、語学留学して良かったと言えるようになるポイントは以下になります。

日本人以外の他国の友人と意識的に一緒に行動し、英語でコミュニケーションする

買い物、遊び、雑談と何でもいいので、別の国のクラスメートと一緒に行動し、お互い英語でコミュニケーションをすることで英語を使う機会が一気に増えます。

お互い母国語が分からないので英語を使うしかなく、必然的に英語を使う日常生活を送ることになります。

留学したのだから、現地のネイティブと話さないと英語は上達しないのでは?と思ってしまいますが、これは必要ありません。

自分が英語を使う機会さえあれば同じ留学生同士による英語のコミュニケーションでも思った以上に英語力は上がります。

お互いあまり上手ではない英語でも問題ありません。「なんでもどんなことでもいいので英語を使う機会を意識的に増やす」ことが大切なのです。

授業が終わればそのまま自分の部屋に戻ることは絶対にダメです。頑張って話しかけて友達を作る、今日何かをしようと提案して「一緒にいるようにする」こと、そして「英語で会話をする」ことが重要になります。

語学学校では週末に学校主催のバス旅行などのイベントも開催されるので積極的に参加するのもよい機会になります。

現地のネイティブの人と頑張ってコミュニケーションしようとは思わない

留学していても学校とホストファミリー以外で現地のネイティブの人と関わる機会はほとんどありません。他の国から来たノンネイティブの留学生同士でコミュニケーションをすることがほぼ全てとなります。

また、語学学校がある町は、語学学校が複数あることが多く、留学生がとても多い町となります。

そのため現地の人も留学生はぜんぜん珍しくなく、わざわざ英語でコミュニケーションが十分できない留学生と積極的に関わりを持とうとはしません。

語学留学で現地のネイティブの人と友達になることは極めて難しいのです。しかし語学留学の目的は英語の上達です。

お互い英語がそれほど上手ではない留学生同士でも、「英語を使いコミュニケーションする」こと自体にとても大きな意味があります。

文法や単語がめちゃめちゃでも、「とにかく口から英語を出しコミュニケーションする」ことがまさに英語上達の秘訣です。

むしろネイティブとコミュニケーションしようとすると、「正しい英語を使わなくちゃ」という意識が強くなり、聞き役に回りがちで「自分が話す」機会が減ってしまいます。

次回は「語学留学で実際話せるようになるのか?」を解説します。