学生よりも社会人の方のほうが、仕事で具体的に必要になる機会も多く、英語を話せるようになりたいというニーズは強いと思います。
しかし今の日本では社会人が会社を辞めて語学留学するのは「いかがなものか」、「社会人なら大学に留学しては？」という「空気」があります。
第1回目の留学の種類の所でも書きましたが、「大学への留学は」、「英語がもうできる人が専門知識を学びに行くところ」であり、「英語自体を学ぶ語学留学」とは根本的に目的が異なるものです。
しかし同じ「留学」と名前につくこと、大学院留学でのMBA取得など華々しい話ばかりが宣伝されることから本来目的の異なる2つが混ざってしまい、「語学留学が下」で、「大学留学が上」というような印象が広がってしまっています。
目的が異なるので、本来上も下もないのですが。そして、冷静に比べるべきことは、「今会社を辞めて１年程度語学留学し、英語を武器に帰国後就職し仕事を行うこと」と、「今の仕事をそのまま続けること」なのです。
（1）仕事を辞めて行くリスクと再就職のリスク
社会人が語学留学するとなると、仕事を辞めることになりますが、帰国時は英語を武器に仕事を探せることになります。
帰国後に自分の進みたい仕事が、英語の能力があまり必要ではなく、中途採用が難しい業界であれば、帰国後の就職は難しく、語学留学に行くことを留まる要因になります。
一方、英語の能力が評価され、中途採用の割合も高い仕事をしたいのであれば、非常に容易に再就職先を見つけられ、さらに英語力を武器に大きく活躍できる可能性があります。
社会人が語学留学に行くかを考えるうえでは、事前に自分自身の帰国後の姿を考えることがとても重要になります。
また、帰国後の自分の英語力がどの程度になるのかも冷静に考える必要があります。
１年程度の語学留学では、仕事で必要な基礎的なコミュニケーションはできるようになりますが、ネイティブ並みになることはできません。
帰国後の仕事で求められる英語力に自分が到達できそうなのか冷静に考えることはとても大切です。日本の英会話学校の先生に相談することも有効でしょう。
このように、帰国後の働き方を事前に明確化し、必要な英語力から逆算して留学プランを決めていく必要があります。
英語力をかなり強化する必要があれば、留学期間を長期にすることや、専門学校留学することも選択肢に入ってきます。
考えたプランでは再就職が難しそうであったり、費用の面で上限を超えていれば、語学留学ではなく、日本で仕事を続けながら、英会話学校などで英語力を高める方法を検討してみることになります。
（2）社会人留学のメリット
普通に日本で仕事をしていると、1年は本当にあっという間に過ぎます。
この程度の期間、仕事のキャリアを中断することと、英語でコミュニケーションができるようになることとを比較すれば、留学のメリットは大きいと思います。
しかし社会人にとっては帰国後の再就職の問題がどうしても大きく、客観的な価値判断が歪んでしまうことが多いようです。
短期的に考えると、再就職が難しいというリスクはとても大きなものです。しかし、長期的な視点で考えることも必要です。
これから5年後、10年後を考えた場合、今の仕事を続ける実績と、キャリアは1年程度短くなりますが、それに加えて英語でのコミュニケーション能力があることを比較し、自分の活躍したい分野ではどの程度違いが生じるか客観的に考えてみてはいかがでしょうか。
短期的な、まだ若い時期の一時的な転職のリスクと、長期的な自分自身に残る英語でコミュニケーションができるという能力のメリット、2つの視点から留学の価値を整理してみると、判断が下しやすくなると思います。
（3）社会人留学のまとめ
学生の留学とは異なり、社会人で留学する場合は各個人で大きく状況が異なるため、一概に全員にとってメリットがあるとは言い切れません。
今の仕事を続けたまま、日本の英会話学校に継続して通い続ければ、高い会話能力を身に付けることも可能です。また、フィリピンなどのインターネット英会話教室を利用すれば、費用も安く済ませられます。
社会人は留学するにあたり、客観的に自分の人生にとって本当に英語でコミュニケーションができることが必要なのか、海外で暮らしてみて新しい視野を身に付けることが必要なのかを時間をかけて考える必要があります。
私の場合は実際に留学したのは29歳の時でした。とても長い間考え、最終的に決断し留学しました。
結果、英語力も高まり、非常に充実した経験を得ることができました。しかし、残念ながら留学してみて「よかった」とは言えない方も中にはいます。
行く前に自分の留学がうまくいくか行かないかなんてことはわかりません。
そのため、うまくいかなかったとき、海外での生活に馴染めなかったとき、英語が思ったよりも上達しなかったとき、その後の人生にどういう影響があるのかをじっくり検討しないといけません。
特に社会人の方にとって再就職は大きな問題です。しかし、検討したうえで、行った方がいいと判断された場合は、一刻も早く行くことをオススメします。
やはり若い方が現地で友達も作りやすいですし、帰国後の選択肢の広がり方も大きいからです。
社会人の方で語学留学に興味のある方は、具体的に考えてみてはいかがでしょうか。
