語学留学で「英語」以外での最大の関心事はやはりホームステイです。
暖かい現地の家族の一員に加わり、楽しく外国での暮らしを経験する。夕食はステイ先の家族とその日の出来事を英語で語り合い、週末は一緒に買い物や旅行に行く。
ホームステイについてはそういうイメージを持たれている方も多いと思います。そういうイメージを持った学生が、
- 冷凍食品が温めて配られるだけの食事、
- シャワーの時間が少し長いだけで怒られる、
- 留学生が5人も6人もいてステイ先のファミリーは殺伐とした老人のみ、
現地でそんな過酷な状況に直面すれば、どんなに英語力が高くなっても、留学すべてが「二度といくか!」という評価になってしまいます。
上記の例は、実際に私の周りにあったことです。そしてそれも極端な事例ではなく、ごく普通にあることです。
ここでは、ホームステイの実情をお伝えしたいと思います。ホームステイの問題は、事前の想像と、現実があまりにも違いすぎるため、それにより留学全体の評価が歪んでしまう事です。
前もってホームステイとはそれほど素晴らしいものではないのだと認識しておけば、現実とのギャップも少なくなり、冷静に評価ができると思います。
(1)ホームステイの現実
日本で海外からの留学生を受け入れることは非常に少ないため、日本文化を学ぶ場を提供する善意のボランティアのように考えられていますが、海外では全く異なります。
海外では、留学生が来る町は数多くの語学学校や大学が集中しているため、常に多数の留学生がいる状況であり、ボランティアでホームステイを受け入れてくれるような家庭だけでは、とても受け入れ先数の確保ができません。
そのため、学校側が留学生の受け入れ先となってくれる家庭を、これだけのお金を支払うので受け入れてくれませんかと、あくまでビジネスとして募集します。
受け入れ先の家庭も、それだけのお金が貰えるならと応じます。あくまでドライなビジネスとしての受け入れです。
そのため留学生が払うホームステイ先への費用から収益を出そうと、かなりきつくコストを抑えようとします。
受け入れ先の家庭の中には受け入れ収益だけで暮らしている人もいます。部屋は個室が割り当てられますが、小さく区切られ、1つの家に5~6人の留学生がいるなんてことも珍しくありません。
食事は大人数用に冷凍食品が多く使われ、似たメニューが繰り返し出てくる所も多いです。トイレ、バスは共用となり、バスなどは使用時間や回数の制限などが付けられることもあります。
このような所では、ステイ先のオーナー家族と仲良く会話することもほとんどありません。多くは独身者(かつ高齢者など)で、最低限のサービスを宿泊人に提供する係のようになります。
一般的にイメージされる、温かく楽しい家庭というホームステイ先も中にはありますが、学校でも話題になるくらいに珍しく、そのようなステイ先に当たった学生は皆から羨ましがられていました。
(2)ホームステイの費用
ホームステイの費用は一般的に1週間に1万5千円~2万円が相場のようです。
それなりの費用を払うことになるため、ホームステイへの苦情は世界中のどこから来た留学生にも共通する話題となります(逆に友人を作る話のきっかけにもなりやすいという利点もあります)。
(3)ホームステイ先の変更
ホームステイ先は学校から一方的に空きがあるところを指定されます。
どの国からの留学生でも、多くの人がホームステイ先に不満を持ち、学校にステイ先の変更依頼を行います。外国の留学生は不満があるとすぐに変更していました。
学校側は空きがあれば基本的に応じてくれますが、移った先が前と同じかそれよりも酷くなることが多く、総じてあまり解決にはなっていないようでした。
(4)ホームステイ先はいい環境ではないという意識で留学しよう!
かなりマイナス面を書きましたが、これがホームステイの正直な実情です。私のホームステイ先もあまりよくありませんでした。
ホームステイ先は「いい環境のところではない」という前提で最初から考え、そこへの不満は異国の地で英語を身につける必要なコストと考えたほうがいいでしょう。
(5)ホームステイ以外の宿泊先はあるのか?
ホームステイ先への不満を募らせると、長期の留学生はホームステイをやめ、シェアハウスへ移っていきます。
シェアハウスはシェアフラットなどとも呼ばれ、1軒の家の1部屋を賃貸するものです。
トイレ、バス、キッチンは共用で、カギ付きの自分の部屋だけがプライベートスペースとなります。共用スペースの掃除は借りている人たちの当番制です。
1軒の家に4~5部屋くらい部屋数があり、通常住宅を所有しているオーナーはそこには住んでいません。
住居人は留学生も多いですが、現地のネイティブの独身者も多くいます。男女の区別はありません。
契約は1か月(もしくは1週間単位)にいくら払うというもので、日本の賃貸のように敷金礼金などの細かい話はなく、簡単に借り、簡単に出ていくことができます。
家賃は月に何回か来る住宅のオーナーに直接支払います。費用は非常に大きく幅があり、安い所では週1万円くらいからです。
探し方ですが、街の新聞スタンドなどに貼り紙がしてあり、多くの留学生はそこで探していました。
インターネットでも探すことは可能ですが、インターネットで探す場合は長期契約を求められることが多いようです。
私の場合も最初はホームステイし、その後シェアハウスへ移りました。周りの知り合いも(若い女性も含め)、長期留学になるほど自分でシェアハウスの部屋を借りて住んでいました。
そしてむしろこちらの方が現地のネイティブの人と話したり友達になったりする機会は大きくなります。
部屋探しではそれなりの英語力が必要となりますし学校は一切サポートしてくれないため、最初はホームステイし、その後シェアハウスへ移るのがいいと思います。
次回は「社会人が語学留学することはアリなのか?」について解説します。