このページの目的

・英文をアウトプットする練習を通して、「話す」の回に入るためのマインドセットをする
・英文を作るポイントを確認をする
・「話す」ために必要なのは最低限の英文法プラス、「ルールより自然な英文に慣れる」ことであることを知る

あなた自身のことを表現してみよう

文法の回は、これで最終回です。

では早速ですが、下のa、b、についてそれぞれ、表のように日本語で簡単に文章を書いてみてください。ここでは細かく書かなくてよいので、行動に焦点を絞って書いてください。

a. あなたが「ほぼ毎日のように、日常的に、行っていること」を起きてから寝るまでの間の順番に並べて表に書きだしてください。
※「あなた」という人を他の人と区別して特徴づけるような行動、時間をかけて行うこと、などを中心に、とくに必要であれば手段や時間帯も書いてみましょう。

以下に例を出しておきますね。(キャラクターのオウルンに書いてもらいましょう)

日常的にやっている行動 方法(手段) 時間帯
ヨガをする  
通勤する 電車で  
仕事をする    
ランチは同僚と外食をする    
ジムへ行く 自転車で
好きな音楽を聴く  

b. では、昨日、あるいは今日、ふだんとは少し違うことをした、ということを同じように表に書きだしてください。こちらは時間帯をすべて入れてください。

では、次はこれを全部英語で書いてみてください。

いつもと違った行動 方法(手段) 時間帯
オノハと1時間英語でチャットした   昨夜
時間がなかったのでデスクでランチをした   今日の昼
今度の台湾旅行についてネット検索した   今夜

オウルン17

英文を作る際のヒント

  • 主語はあなたですからすべて”I”ですね。
  • 英文の二つのパターン(①do(一般動詞) / ②be動詞)のうち、どちらになりますか?
  • あなたが何かの行動をする/したのですから・・・すべて①の“I do”(“I did”)の形、ですよね?
  • その際の動詞の活用は?

単語を選ぶ際の注意点

  • できるだけ簡単な単語を使う
  • できるだけよく使われる表現で書く

日本語でいう「現在形」という形・・・実はこの形は「現在」という時間を表しているのではありません。「あなたがふだんしていること=習慣」・・・これを表すのが、「現在形」という形。

ということは、aについてはすべて現在形になるということですね。
では、bは・・・?

英語で書いてみよう

オウルンはこのように書きました。(もちろんこれ以外にも言い方はあります。)

a. ほぼ毎日のように、日常的に、行っていること

日常的にやっている行動 方法(手段) 時間帯
I do yoga   in the morning
I go to my office by train  
I work    
I go out for lunch with my colleagues    
I go to the gym by bike at night
I listen to my favorite music   at night

b. 昨日、あるいは今日、ふだんとは少し違うことをした、ということ

いつもと違った行動 方法(手段) 時間帯
I had a chat with Onoha in English for an hour   last night
I ate lunch at my desk as I had no time   today
I searched for the travel to Taiwan on the web tonight

たとえば、「電車で通勤する」は、I commute by train. ともいいます。
が、ここでは「できるだけ簡単な単語で、よく使われる表現で」書く、こと。ですから、動詞はcommute ではなくgoを使っていますね。

では、書いたものの動詞の活用をみてください。

aは、「あなたがふだんしていること=習慣」を表すのが、「現在形」という形。ですから、ここはすべて「現在形」。

では、bは・・・?

ここはすべて「過去形」です。そして文の最後に「いつ」という時間帯がつく。

ここでは現在進行形や完了形などは一切使いません。

bの一つ目の文の”had”は動詞haveの過去形です。この場合のhaveは(チャットを)交わした、という意味。chatはここでは名詞として使われている。aがついているからわかりますね?ですからここのhadは完了形ではなくただの過去形。

その他、それぞれの言い回しについては辞書やネット検索で調べれば、よく使う表現が出てきますし、この後紹介していく教材をこなしていくことで自然と身についていきます。

・・・あなたはこの英文を作る作業に、どれくらい時間がかかりましたか・・・?

「文法的に正しいか正しくないか」よりも大事なこと

ここではあなたの日常について表現しているので、固い表現は一切使いません。口語、つまり会話かチャットでの表現です。

ここでは「書く」という練習をしたので時間をかけることができました。が、ここで書いたことはごく普通の、日常の会話でも話すことですよね?

会話の場合テンポよく話を展開させていきますから、反射的にここで書いたような文章が口をついて出てこなければなりません。また、ふつうの会話で、ビジネス上の顧客とのやりとりや新聞記事で使われるような固い表現を使う人はいません。

会話では一つ一つの文について、このように「できるだけ簡単な単語でできるだけよく使われる表現で」言う。それが自然な英文であることがほとんどです。

「話す」「書く」いずれの場合でも、生きた英語でコミュニケーションするには「このケースでは英語圏の人たちはどう言うのが普通なのか?」ということがポイントになります。

ことばは、生き物です。時代とともに常に変化しています。「文法的に正しいか正しくないか」、よりも、「このようなケースではどう言うのが自然なのか?」が大事。それが自然な、生きた英語を使うということなのです。

なぜなら、「ことば」というものは ―どこの国の言葉であっても― その土地に住む人々が「習慣」として使っているものであり、「ルール」がはじめにあってそれに沿ってできたものではないから、です。

実は私たちが学校で習う英文法は、数十年前にまとめられたものをずっと使い続けていて、古臭いものもたくさんあります。新しい「現在の」「生きた」文法は学校では残念ながら教えてくれません。
確かに読み物にはたまに出てくるけど、会話では絶対に使わない!というものも多いのです。

あなたの書いた英文が自然な、生きた英文かどうか?Native Speakerが普通に言う表現か?・・・自信がありますか?また、それがすらすらと口からついて出てきますか?

普通に使われる、自然な英文をどうやってすらすらと言えるようになるのでしょうか・・・?その具体的な方法については「話す」の回で詳しく紹介します。

「文法」の回はこれで終了。最低限、必要なことしかここではお話していません。前に紹介したスティーブさんの記事にも書かれていましたが「ルールにとらわれると話せなくなる」から・・・

だって、ことばはルールではないのですから。ルールではなく、習慣です。つまり、「慣れ」です。

どんなにルールを身につけたところで、「慣れる」努力をしなければ、そのことばを話す人々とコミュニケーションすることはできません。

「聴く」「話す」「読む」「書く」、そのすべてにおいて、自然に扱えるようになるには、「慣れる」努力が必要なのです。

「一億人の英文法」はバイブルとして使っていただきたいのですが、だからといって、そこに書かれている内容すべてを身につけてからじゃないと話せない・・・というのはナンセンス。ありえません。

最低限必要なルールというのは、しつこいようですが・・・
「語順」、「基本の時制」、それとともに「簡単な単語で」
これが「使える」英語のための大原則。それさえわかれば、あとはどんどん使っていく!

・・・次のページからはいよいよそのための方法に入っていきます。