「記憶」にはタイプがある

「1か月でスペイン語」というアプリ(「1か月で英語」アプリのスペイン語版)を使ってみてあらためて気づいたのですが・・・

一ヶ月で英語

語彙を覚えたかどうかチェックする画面になったときに、まず左の画面のように、単語なり文章なりが文字で表示され、同時に音声が流れます。
(みなさんにわかるよう英語版をのせていますが、スペイン語版もまったく内容は同じです。)

そして次の画面で選択肢の写真の中から正解を選ぶ、という形なのですが・・・

このとき、きちんと記憶していることばであれば、答えの選択肢を見る前に、文章を見ただけでパッとその画像が頭に浮かびます。
ですが覚えていないものは、このときに頭に画像が浮かびません。

つまり、私は画像=イメージとともに記憶するタイプなのです。私の場合、文字(つづり)と音声だけでは頭には残りにくいということでもあります。

・・・こういった個々の覚え方の特徴は、語彙を覚える上ではとても大きなことです。

オーストラリアに留学していたときに、この覚え方のタイプをテストしたことがありました。
留学生が15人程度いたのですが、その全員の覚え方のタイプをチェックしたのです。

大きく分けて主に視覚(イメージ)とともに覚えるタイプ、聴覚とともに覚えるタイプ、文字情報を見て、書いて覚えるタイプ、体を使って覚えるタイプ、というのがあり、人は誰でもこれらを複合的に使って記憶します。

通常はそのうちのどれか一つをメインに使い、二つ目に使うものがサブ、三つ目と四つ目もいくらかは使う、というような形になります。

私の場合、メインでは視覚を使い、サブが聴覚、文字情報と体を使う割合は少し、という形でした。

自分のタイプを知ることはとても大切なことなので、みなさんも自分がどのタイプなのか、一度自分で一つ一つ試しながら、どれが一番記憶に残りやすいかを確認してみるといいと思います。

「1か月で英語(スペイン語)」のアプリの場合にはこのうちの三つ・・・視覚、聴覚、そして文字情報から、という多角的な手法をとっているため、記憶に残りやすいという特徴があるのです。

ちなみに視覚に頼るのは右脳人間であることが多く、欧米人はこちらのタイプが多い。それに対して日本人は左脳人間のほうが多く、文字情報を見て、書いて覚えるタイプの方が多いといわれています。

ただしこの右脳・左脳というのは、バランスよく使った方が学習効果は高いと言われていて、あとから弱い方を鍛えていくことでバランスよく使うことが、ある程度は可能になります。

石

「カタチ」と記憶

私は、漢字の場合には英語ほどには苦労せずに覚えたように記憶しています。理由は、漢字は表意文字だから、です。形に意味があるものは、視覚的に覚えられるのです。

ですが今でもはっきり覚えているのは、小学生のころ「殺」という字を何度書いても覚えられなかったこと。この字は常用漢字の中では、きわめて特殊な「形」をしています。左上にメが来る文字なんて、ほかにない。「絵」として文字(漢字)を見ていた私のアタマには、何か形もバランスも変でおかしい・・・と、どうしてもしっくり入ってこなかったのです。。

そしてここでもう一つ・・・

冒頭でケーキと映画の話をしましたが、イメージで覚えるタイプならなぜそれらを覚えていなのか?という疑問が・・・

確かに私はイメージと音で覚えるタイプではあるのですが・・・
そもそも記憶が弱いのはどうやら確かなようで、記憶に残すためには、見たり聞いたりした数時間以内に、できるだけ「何度も、ありありと頭の中にそのイメージを描いて思い出す」という作業をしないと、ほとんど記憶に残りません。

そのため、本などは手にしたら一気に最後まで読んでしまわないと、「今日はここまでにしておいて、残りは次の日に読もう」・・・なんてことをしようとした日には、その「次の日」が来たときには、前に読んだ内容をすっかり忘れているので、また全部一から読み直さなければならない、、という面倒なことになってしまいます。

このため、いわゆるドラマ=連続ドラマや、漫画でも週刊誌などは、苦手です。1週間も待ったら前に見た・読んだ内容をまったく覚えていないから、、、

この学習法ページのコラムの最後の回では、私が「英語2」から「中級レベル(日常会話OK)」になった過程について、複数の英語学校でのレベル、進捗、推定語彙レベルなどとともに大まかにまとめたものを紹介しますが、それを見れば、いかに私の語彙力が低いレベルでゆっくりと推移していったかがわかると思います。。

いまでも語彙はもちろん苦手です。新しい重要語彙はPCの壁紙に貼り付けて毎日、一日何回も、見ますし、コロケーションやフレーズとともに口に出してイメージを頭に描きながら覚えようと努力します。

そしてその日の語彙一覧を自分のPCからメールで携帯に送り、帰るときにまたできるだけ口に出して(外では音は出さない、口の形だけ)何度も読みます。それでもたいていは一つの単語を覚えるのに2か月以上、かかります。。

これでもいまは、中級以上の語彙に役立つ「語源」を知っていて、今のレベルで出てくる単語はそこにあてはまるものがほとんどなので、基礎の英単語のときほどには大変ではなくなりました。

「語源」は漢字を覚えるのと似た方法で英単語を覚える方法だからイメージしやすいのです。(これは中級以上の内容となります。)

私ほどひどい記憶力でも、やり続けることとやり方を工夫することで、ものすごくゆっくりのペースではあっても確実に成果は出る・・・それが語彙というものです。どんなに記憶力が弱くても、日本語の語彙は知っているのですから。