「音楽」のように耳に響いていた「英語」
私は学校の英語が大嫌いで中2で放棄したと書きました・・・
その理由の一つが、学校の英語の「音」にショックを受けた、こと。
たとえば、発音の「筋トレ」のところでも書いた「girl」の発音。これはカタカナ語でガールと書きますよね?
ですがこれはアメリカ英語では決して「ガール」ではありません。
あえてgirlという英語をカタカナにするなら、「グールロ」のような感じです。少なくとも私はそのようにずっと感じていました。
というのも、私の家では三つ上の兄が小学校高学年くらいから英語を習っていて、その教材が家にあり、アメリカ英語でアメリカ人の子供たちが生活するようすの音声が流れていたのです。
ということは、私は8歳くらいからそれをきいていたことになります。
そこにはいっさい日本語はなく、英語の音とそのテキスト、英語の文字と絵が描いてある絵本のようなもの、があっただけ。
(←こんな感じの。もっとちゃんとしていたとは思いますが、子供のころなので記憶があいまいです。。)
私は英語を習わされることはなかったので意味はまったくわからなかったのですが、その音だけを耳できいていました。たとえばこんな具合です。
”Good morning Dan.” “Good morning Kate.” ”Kate is a 5 years-old girl.”・・・
このgirlは日本語のカタカナ語のガールとは似ても似つかない音。アメリカ英語のgirlです。
アメリカ英語の音はリズムが良くテンポもあって、音楽のように子供の私の耳に響いていました。
・・・「英語じゃない!」
ところが、中学校に入って英語の授業で日本人の先生が読み、それに続いて音読させられる英語といったら・・・
どうきいても英語には聞こえない!
・・・あきらかに「カタカナ語」の日本語なのです。家でよくきいていたアメリカ英語とはまったく違う言葉・・・
ショックでした。中学校に入って英語を習うことをけっこう楽しみにしていたのに・・・そこで習う音は・・・
「英語じゃない!」
・・・学校の英語には本来の英語の音も、リズムも、まるで感じられなかったのです。
誤解のないように言っておきますが・・・これはけっして先生が悪かったのではありません。
私の学校は公立でしたが、国立大学の教育学部の附属の学校でした。赴任してくる先生たちというのは公立の教師の中から選抜された優秀な方々で、英語の先生なら最低でも2年は留学経験のある方々ばかり。先生のレベルは高かったと思います。
ですが、日本の現状の教育システムでは(公立の場合)英語教育にはかなり限界があり、「生きた」英語を教えることはほとんど不可能です。
どうしても文法と語彙、日本語に訳すこと、に偏ってしまうのは仕方のないことなのです。
ただでさえ私は暗記が苦手(これは語彙のコラムで詳しく。)で単語を毎日毎日何十回も書いて覚えることが苦痛だったので、すっかり英語の勉強のやる気を失ってしまいました。。。
「英語の音とリズム」が好き
もともと私は英語圏の人の言葉や音楽、その「音とリズム」は好きでした。
昔のハリウッド映画の中で渋い俳優さんや美しい女優さんが話す少し低めのトーンの声・・・
そして流れるようになめらかに発音される英語の歌・・・
それらをただ耳で聞いているのが心地よかった。とくに50年代から70年代の古いアメリカの音楽が好きでラジオでよく聞いていました。
中学生のとき、ある英語の曲をラジオで初めて聞いたときにすごく気に入って、覚えたい!と思い、録音しました。インターネットのない時代、歌詞カードはありません。
でもどうしても覚えて歌いたかったので、まずは耳できいたそのままを、カタカナと英語のチャンポンでノートに書いていきました。
ポーズボタンを押しながらワンフレーズずつ、聞き取れた(と思われる)部分は英語、その他はカタカナで。
こんな具合です。
ウェーナイウォズヤーン アーイ リッスン トゥー ダ レイディーオウ, ウェイリン フォー my favorite songs
・・・口に出して言ってみてください。コレ、何の歌かわかりますか・・・?
無意識の発音トレーニング
答えの英文はコチラ。
When I was young, I listen to the radio, waiting for my favorite songs....
ハイ、カーペンターズの有名な”Yesterday Once More”です。
これ、英文の歌詞を読み上げるよりも、私が聞き取って書いた「カタカナ英語」をそのまま読み上げる方がNativeには通じるかも、という人も多いのでは・・・?
実はこの歌、この最初のフレーズだけで、もう、日本人にはかなり難しい発音がてんこもり!
これをきれいに言えるようになるには、初心者の場合、それこそ何十回も、百回以上も練習しなければできません。
でも、好きだから覚えて歌いたい!・・・それだけの理由で毎日毎日、音を聞いて、歌詞ノートを見ながら歌詞を口に出して、何度も何度も曲と一緒に口ずさんで練習したのです。
これはまぎれもなく、「発音トレーニング」です。(発音だけではないのですが、それは語彙の回のときに書きます。)
自分では「トレーニング」を意識していたわけではまったくなかった、でも、とにかく好きな曲を見つけるたびにそうやって毎日毎日耳で聴いて口に出して、練習していました。
ただ、その英語の歌を口ずさむことの難しさといったらもう・・・
なにしろ日本人には発音したことのない、舌がまわらない音だらけ、なのですから・・・
(後半へつづく)