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こんにちは!フリーランスの現役英日翻訳者、ランサムはなです。いつもご覧いただき、ありがとうございます!前回は、北海道富良野市で10年間暮した後、アメリカに戻り、医療保険加入の実績を作るためにアメリカの企業で社内翻訳者として働かせていただいた経験をお話ししました。最終回となる今回は、フリーに戻って日本とアメリカを往復する現在の状況と、これからの時代に求められる翻訳者像についてお話ししたいと思います。

フリーに戻り、新しい挑戦を続ける日々。

さて、2年と2ヶ月、アメリカの企業で社内翻訳者をさせていただいた後、私はフリーに戻りました。会社勤めをしている間、お取引を休んでいた会社は復帰を喜んでくれ、社内翻訳者をする前と同じように仕事を送ってくださるようになりました。社内翻訳者の経験がプラスになって、単価を上げてくれた会社もありました。ですが翻訳者として進化を続けたい私は、元のライフスタイルに戻るだけでは物足りないと感じるようになりました。

フリーランスのいいところは、いつでも好きなときに好きな場所に行けることです。その特権を生かさない手はありません。私は以前のような引きこもり生活には戻らないと決め、さらなるステップアップを目指して、セミナーなどに積極的に顔を出すことにしました。

学会やセミナーなどに積極的に顔を出し、新しい知識を身に着け、人脈を開拓

会社を辞めた年は、社内翻訳者として拘束されていた反動もあったかと思いますが、英国で開催されたIJET(日英翻訳国際会議)に出たり、北海道に「単身赴任」状態で東京のセミナーに月1度通ったり、セミナー講師の資格を取るなど、精力的にいろいろな所へ行きました。またSNSでも積極的に交流するようになり、ブログで発信したり、このように「みんなの英語ひろば」に寄稿したりする機会もいただくことができました。

現在も英語力をキープしつつ日本語力が低下するのを防ぐために、日本とアメリカを往復する日々を送っています。本当に、世界中の会社から仕事をいただきながら、やりたい勉強ができるというのは恵まれていると思います。今後は、翻訳の傍ら、後進の指導や英語学習のお手伝いもしていきたいと思います。また、翻訳の仕事に関して世間的な理解がまだまだ少ないので、今回のように翻訳の仕事についても情報発信を続けて行きたいと思います。

これからの翻訳者像について、翻訳者を目指す方へのメッセージ

最後に、翻訳者を目指している方に、今後求められる翻訳者像についてお話ししたいと思います。先日、グーグル翻訳の精度が上がったというニュースが発表されました。これに伴い翻訳の仕事は将来的になくなるのではないかという噂も巷で囁かれていますが、私はそのようなことはないと思っています。

ちょうど回転寿司屋と高級寿司店が共存しているように、翻訳も二極化が進んでいくと思います。機械翻訳で十分という領域ができる反面、人間翻訳者でなければできない領域が確立され、機械翻訳のスペシャリストとしてソフトの開発を担当したり、機械翻訳された文章を校正したりする業務」と、「細やかなニュアンスの解釈や背景が理解できないと訳せない高度な翻訳をこなす業務」に分かれていくことが予想されます。

機械翻訳の専門家になる場合は、多少エンジニア的な技術知識があると役立つでしょう。また、機械翻訳はスピードが命なので、短納期でボリュームの多い案件に対応できる力が求められるでしょう。高度な訳し分けができる翻訳者を目指す場合は、今まで以上に文化的背景に関する知識やリサーチ力が要求されるようになるでしょう。インターネットの進化に伴い、コンテンツの完成度も高くなっています。

読み手を感動させる美しい文章や、コピーライティング的要素が入ったトランスクリエーションなどが得意な翻訳者が生き残っていくと思われます。特にジョークや風刺などは、日本と英語圏の両方の文化を理解していないと、上手に訳せません。このようなセンスのある翻訳者は重宝されるでしょう。このような時代背景を受けて、これから翻訳者を目指す方は、変化とニーズに柔軟に対応しつつ、翻訳者/語学スペシャリストの腕を磨いていくことが大切ではないかと思います。

おわりに

翻訳の仕事というのは、原作者の傍らに黒子のように寄り添う地味な仕事です。読み手が翻訳だということを意識せずに原作の世界観にどっぷり浸ることができれば、翻訳者はいい仕事をしたことになるため、あまり存在を意識されない方が、翻訳者としては優秀なのです。

しかし、姿の見えない存在とはいえ、翻訳は非常にやり甲斐のある仕事です。著者のメッセージをどのように伝えるかによって、読者の人生が大きく影響を受けることもあります。原作の熱いメッセージを熱々の状態で読者に届けることが私たち翻訳者の望みであり、喜びです。

インターネットの発達に伴い、翻訳者としての働き方もますます多様化しています。子育てをしながら副業として翻訳をコツコツ続ける方もいれば、シングルペアレントとして4人ものお子さんを育てながら大黒柱として翻訳をしている方もいます。田舎で介護をしながら仕事をしている人もいれば、海外を転々とする人もいます。また、男女差が非常に小さいのもこの仕事の大きな特徴です。翻訳は非常に大きな可能性を秘めた仕事だと思います。

今回はケーススタディのようになってしまいましたが、この一連の記事を通じて、一人でも多くの方が英語を知ることで広がる可能性を実感していただければと思います。また、英語の勉強を続けた先に、「翻訳」というすばらしい選択肢があることも、覚えておいていただければ嬉しいです。この連載にお付き合いいただき、どうもありがとうございました。

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ランサムはな

年間100万ワードの実務翻訳をこなす翻訳歴21年目の英日翻訳者。津田塾大学英文科、テキサス大学大学院教育学部(カリキュラム・アンド・インストラクション)を卒業。NYの日系新聞社の翻訳を始め、デル、グーグル、マイクロソフト等、一流企業が日本市場を開拓する際の製品やホームページの日本語化、Eラーニングの教材翻訳に多数参画。ネットで世界中から仕事を受注しながらアラスカなど各地を転々とした後、北海道富良野市で10年間暮す。現在はテキサスと札幌を行き来する生活を送る。英検一級。英検二次面接官。日本語教育能力検定試験合格。米国翻訳者協会(ATA)認定翻訳者。ブログは「日本とアメリカで働く翻訳者のブログ」。 ツイッター: @HanaKRansom
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