新学習指導要項により、2020年には小学3年生から英語の授業が必修となりました。これからは英語を話せることがあたりまえの世の中になっていくのかもしれません。
そんな英語をお子さんにいち早く学ばせたいと思っている親御さんも多いのではないかと思いますが、どこから手をつけたらいいのか悩みますよね。
よく「子供の英語教室」という言葉を聞くと思いますが、それは具体的に大人向けの教室とどう違うのでしょうか。
この記事では、子供向けと大人向けの英語教室の違いやスクールの種類、スクール選びのチェックポイントなどについて詳しくご紹介しします。
ぜひお子さんのスクール選びの参考にしてください。
どう違う?子供向けと大人向けの英語教室
まず、子供と大人では、英語を習得するための過程や気をつけるべきポイントなどが異なります。
最近の研究によると、子供は早い時期から遊びの一環として英語にたくさん触れて、「英語って楽しい」と思わせることが英語上達への近道だと言われています。
一方、大人は、文法などを論理的に身につけて、継続できる学習環境を整えることが大事だということがわかってきています。(詳しくはこちらの記事へ)
そのため、それぞれの特性に合った指導をおこなう「子供向きの英語学校」と「大人向きの英語学校」というものがあるんですよね。
それでは、両者の違いを7つの視点から比べてみます。
子供向き | 大人向き | |
---|---|---|
通う目的 | 将来のため | 仕事、旅行のため |
クラス人数 年齢 |
年齢別クラス グループレッスンが基本 |
目的別クラス グループor マンツーマン |
料金例 | 月6,000〜9,000円 (グループの場合) |
月8,500〜15,000円 (グループの場合) |
立地 |
住宅地や ショッピングセンターの近く |
駅近、繁華街 |
講師 | 日本人講師がメイン | ネイティブ講師が多い |
カリキュラム | 年齢・学年別 | 目的別 |
教材 | カラフル、楽しい | わかりやすさ重視 |
それでは、順番にご説明していきますね。
通う目的
まず、大人と子供では、英語学習を始める目的が大きく異なります。大人が英会話を学ぶ理由として上位にあがるのは「仕事」もしくは「旅行」のため。
仕事で急に英語が必要になったり、昇進や就職、転職のために英語力を伸ばしたいというケース。もしくは、旅行で使える日常会話の習得を目指したい人が多いかと思います。
一方、子供が英会話スクールに通う理由は、子供と親の両方の意見が入り混じります。
子供は「楽しそう」「かっこいい」と好奇心から意欲を示し、親は「グローバル化対応のため」「社会にでてから役立ちそう」と子供の将来を見据えて通わせます。
クラスの人数や年齢について
大人向けの教室では、「ビジネス会話」や「日常英会話」など、目的に合わせたレッスンが用意されています。そして、初級、中級などのように英語レベルでクラス分けされます。
徹底的に学びたい人のためにはマンツーマンクラスがあり、仲間とわいわいやりたい人のためには3名〜8名くらいのグループレッスンがあります。
一方、子供向けの場合、幼児クラス、小学校低学年クラスのように、多くは年齢別でクラス編成がおこなわれます。これは子供の発育段階によって教え方が変わるためです。
レッスンは5〜12名程度のグループで行うのが基本で、幼児クラスは3〜6名くらい。まわりのお友達とコミュニケーションをとりながら英語を自然に習得できる環境が整っています。
年齢でクラス分けがされているため、英語レベルが合わないお子さんもいるかもしれません。その場合はマンツーマンレッスンがあるスクールも検討してみてください。
料金について
大人向け教室の場合、週に1回の60分のグループレッスンで、月8,500〜15,000円くらい。大手英会話教室だと、半年や1年コースの一括払いのところも多いです。
一方、子供向けの教室の多くは、週に1回の60分のレッスンで月6,000〜9,000円ほど。大人のスクールに比べて若干割安です。
また、月謝払いのところが多いのも特徴で、ほかの習い事感覚で始められます。子供の場合は大人よりも合う合わないが事前に判断しにくいので、これはありがたいですよね。
教室の立地
大人向けの英語教室は、駅から近いことが多く、それも仕事帰りの人も通いやすいように主要駅のまわりに集中しています。
子供向けの場合は、住宅街から近い場所に開校する場合が多く、親の送り迎えの利便性なども考えてくれているところが多いです。
たとえば、子供だけでも通いやすいような住宅街にあったり、親がレッスン中に買い物などを済ませられるように大型スーパーに隣接した場所に教室を開くケースもあります。
また、最近話題のオンライン型の英会話でも子供用サービスが多く登場しています。これは送り迎えの心配がないのが便利ですよね。
講師について
大人向けの教室は、ネイティブ講師が担当するケースが多いです。また、会話はネイティブ、文法を日本人講師、というように役割を決めておこなうスクールもあります。
子供向けの英語教室は、日本人講師のレッスンがメインのところが多いです。これは、英語を始めたての子供が自然に英語に親しめるようにという理由から。
そのため、ネイティブ講師のレッスンを考えている場合は、その教室にネイティブ講師がいるかどうかをチェックする必要があります。
カリキュラム
大人向けの教室では目的別のクラスになっているため、それぞれの目的とレベルに合わせたカリキュラムが組まれています。
子供向けの場合、年齢別に、まずは「小学校低学年は英語との接触量を増やし、自発的に発話ができることを目指す」などのような大きな目標がたてられます。
そして、「1月は自分の好きなスポーツについて話せるようにする」などのような短期目標と組み合わせる場合が多いかと思います。
最近の子供向け英会話スクールとしてのトレンドとして、英語4技能「聞く」「話す」「読む」「書く」をバランスよく身につけるカリキュラムとなっています。
また、最近では小学生くらいからTOEICなどの資格試験を目標とするようなコースが開講されるなど、学び方の選択肢が増えています。
教材について
最近の子供向け英語教材はかなり進化しています。
大人向けの教材は、内容のわかりやすさや見やすさが重視された構成となっていることが多いのですが、子供向けの教材はまず手にとってもらうための工夫が随所に見られます。
子供が好きそうなキャラクターを選んでいたり、カラフルで楽しそうなものが多かったり。また、自宅学習のCDやDVDなどもかなり充実しています。
幼児向けのシール本や低年齢の子供たち用の音声ペンなど、楽しく学ぶための仕掛けが散りばめられていて驚きますよ。
どこで学べる?子供の英語教室の種類
そもそも小中高の学校教育以外で、子供が英語教育を受けられる場所としてどんなところがあるのでしょうか。
これは、大きくわけて、
- 英会話スクール
- プリスクール、英語学童
- インターナショナルスクール
という三つの方向に分けられます。
まず、「英会話スクール」とは、一般的な子供向けの英語教室のこと。習い事として保育園や幼稚園、小・中・高校のあとに、週に1、2度通って学ぶ場所です。
そして二つ目の「プリスクールと英語学童」は、それぞれ英語でおこなう保育園・幼稚園、もしくは学童。通常の幼稚園や学童の代替として、日本人の子供が通う場所です。
そして、三つ目の「インターナショナルスクール」は、基本は日本に住む外国人の子供向けの小・中・高校。プリスクールを合わせておこなっているところもあります。
こちらは、帰国子女の日本人のお子さんなどが、英語の能力を維持するために通っている場合も多く、海外在住経験がない日本人でも試験にパスすれば入れる場合もあります。
費用の違い
それでは、授業時間やかかる費用を比べてみましょう。
年齢 | 授業時間例 | 月額費用 目安 |
|
---|---|---|---|
英会話スクール | 0歳〜 | 週1 x1時間 | 8,000円〜1万円 |
プリスクール | 1歳〜5歳 | 週5 x5時間 | 12〜16万円 |
インターナショナルスクール | 3歳〜高校 | 週5 x6.5時間 | 17〜20万円 |
英語学童 | 3歳〜12歳 | 週5 x2〜6時間 | 2〜6万円 |
※英会話スクールは、入学金や教材費などが別途かかることが多いです
※プリスクールやインターナショナルスクールは受験料や施設料などが別途必要です
プリスクールやインターナショナルスクールでは、英語のシャワーを長時間浴びることができます。しかし、費用が高額なのでハードルが高いというのが現状なんですよね。
それでは「英会話スクール」が効果がないのかというと、もちろんそんなことはありません。
脳がやわらかいうちに英語に触れさせることによって英語への抵抗感がなくなりますし、今後の英語学習の基礎をつくることができます。
それではここでは皆さんがよく行く「英会話スクール」を効果的に利用してもらうために、もう少し掘り下げてご説明していきます。
英会話スクールの種類
英会話スクールの中でも提供されているサービスの種類がいくつかあります。そして、それによってレッスン内容が異なります。
具体的には、
- 歌などで英語耳をつくる
- 日常会話などを学ぶ
- 資格取得を目指す
- 学校英語の学習サポート
などがあります。
歌などで英語耳をつくる
これは主に、0歳から5歳くらいまでの、まだ母語の発達段階であるお子さん向けのレッスン。歌やゲームなどを中心として「英語耳」を鍛えます。
こちらの記事でもご紹介しましたが、赤ちゃんや幼児の脳は音を聞き取る能力がとても高いんです。発音などもスポンジのように吸収していきます。
音楽と触れ合いながら、子供がもつ感受性などの潜在能力を引き出す「リトミック・レッスン」を英語と組み合わせておこなっている教室もあります。
日常会話などを学ぶ
多くの英会話スクールはこの分類に当てはまります。日常的なコミュニケーションをとることができるように、単語やフレーズの練習をしていきます。
とはいえ、大人向けのスクールのようにテキストを読むことがメインではなく、多くの場合は歌やゲームなどを取り入れながら、子供に飽きさせない授業を工夫しています。
低年齢のうちは「聞く」「話す」に重点をおいているところが多いのですが、徐々に「読む」「書く」に力を入れていきます。
資格取得を目指す
小学生くらいからは、目標を立てて学習をしたいお子さん向けに「英検対策」のようなコースが増えてきます。特に中高生になると、受験にも関わってくるので人気があります。
多くの場合、「英検3級コース」などのように目標級別のクラス設定で、この場合は幅のある年齢の子供が一緒に授業を受けることが多いです。
学校英語の学習サポート
中学生以降で登場するのは学校英語のサポートクラスです。定期テストや受験対策を中心におこないます。
このタイプのクラスでは、会話よりも、「聞く」「読む」「書く」に重点が置かれます。
子供英会話スクールを選ぶ際のチェックポイント
どのような種類のスクールにしたいかが決まったら、次はいくつかのスクールを比較する段階に入ると思います。
選ぶ際のチェックすべきポイントには、
- 通いやすさ
- お子さんに合うクラスがあるか
- レッスン内容や教材
- 講師は日本人かネイティブか
- 料金
などがあります。
順番にご紹介していきます。
スクールへの通いやすさ
長期で通う必要がでてくるので、ストレスなく通えるかどうかはとても重要です。お子さんが一人で通う場合は、家からのアクセスや教室まわりの環境などは大事ですよね。
送り迎えが必要な場合、車の止めやすさなどもチェックが必要です。住宅街の教室で停めにくいこともあるので、事前にレッスンのある時間帯に行って確認できると安心です。
お子さんに合うクラスがあるかどうか
だいたい2〜3歳の年齢の幅のあるクラスに分かれていますが、小さめの教室の場合、人数が集まらなくて年齢幅が広くなったり、開講されない場合などがあるので要確認です。
また、クラスメンバーの英語レベルがお子さんと合っていると安心ですよね。極端にレベルが違うと、難しくてついていけなくなったり、やさしすぎて飽きちゃったりしますので。
レッスンや教材について
ポイントは、先生がどれくらい生徒を見てくれているのか、そしてお子さんがレッスンや教材に興味をもって楽しく続けられそうか。
とはいえ、どういいのかが最初はわかりにくいと思いますので、複数の教室を体験してお子さんの反応をみることをおすすめします。3校くらいまわるとだいぶ感触がわかってくると思います。
講師は日本人かネイティブか
日本人講師とネイティブ講師では、それぞれこのような特徴があります。
特徴 | |
---|---|
日本人 講師 |
・人見知りしやすいお子さんも馴染みやすい ・質問がしやすく、文法なども理解しながら学べる ・先生に子供のことを相談しやすい |
ネイティブ 講師 |
・本場の発音に触れられる ・異文化のコミュニケーション方法が学べる ・自分の英語が外国人に伝わる喜びを体験できる |
学ぶ目的で選べますが、やはり一番はお子さんの性格やタイプで判断することになるかと思います。
たとえば、年齢が低い場合は、本場の発音を学べるネイティブ講師がおすすめですが、人見知りが強いお子さんの場合は日本人講師から教えてもらうほうが効果的な場合もあります。
英語は一度抵抗をもってしまうと上達は難しいです。「来週もまた先生に会いたい」という気持ちがあるかないかで、上達の差も生まれます。
料金について
月謝制のところが多く、ほかには入学金や教材費、施設管理料などがかかってきます。総合的に計算して検討する必要があります。
また、兄弟がいる場合は、レッスン料の2人目割引や、教材が一緒に使えるかをチェックしておくことをおすすめします。教材費は意外とかかるので、シェアできると助かりますよ。
英語は言語ですので、続けることで効果が徐々にあらわれていくものです。未来への投資だと思いながらも、やはり続けられる料金であるかどうかは重要です。
編集部では、このような評価軸をもとにおすすめの子供教室を厳選して紹介しています。興味のある方は下記記事もチェックしてみてください。
おすすめ記事の紹介
子供が英語を楽しく学ぶために家族ができること
人間はもともと言語習得の能力を生まれた時からもっています。
生まれたての赤ちゃんは、母語であろうとなかろうと発音もどんどん吸収していきます。その能力は少しずつ下がっていくとはいえ、子供の頭はとても柔軟です。
その妨げになるのは英語学習を「勉強」だと思ってしまう行為。「それは英語でなに?」「前レッスンでやったよね?」などと毎日言われたら楽しくなくなっちゃうんですよね。
子供の「好き」は爆発的な力を発揮しますので、とにかく楽しんで英語を学習していくことが大切です。英語が好きになれば、子供はどんどん自分で学ぶようになります。
子供が小さい時は、ご家庭での英語学習の際は、
- 遊びのひとつとして楽しめるように
- 家族も一緒に楽しむように
することをおすすめします。
特に学校で学び始める前は、英語は遊びのひとつとして触れられるといいと思います。
家でレッスンの復習に力をいれるのではなく、一緒にCDを聞いて歌ったりしながら、子供に「英語大好き!」と思ってもらえるような環境づくりをする方が効果的です。
まとめ
現代の子供は様々な習い事で忙しく、なかなか英語にたくさんの時間を使うのは難しいかもしれません。
それも言語なので習得するまでには何年もかかります。すぐに効果が見えにくいんですよね。
しかし、子供が言語の習得能力が優れているというのも隠しようのない事実ですし、継続していかない限り上達はありえません。
また、英語を学ばせることによって、異文化への理解が進み、コミュニケーション能力が向上したという話もよく聞きます。世界へと視野を広げることもできます。
まずは「英語で自己紹介ができたらかっこいいね」などのように近い目標をつくって、ご家族みなさんで楽しく学習できる方法をさがしてみてください。