- この記事は2019年に受講した際の情報です。2021年夏にコースがリニューアルされましたので、最新の情報についてはこちらの体験記事をご覧ください。
ENGLISH COMPANYの上級者コース「人を“説得する”ためのビジネス英語コース」の全12回(2018年当時)を受講しました。
このコースは上級者向けの会話トレーニングクラスですが、一般的な英会話スクールで行われるようなシチュエーション別の会話練習はほとんど行いません。
その代わり、英語で発話するための発想力と型を鍛える約10種類のトレーニングを集中的に行います。
トレーニングの中で、私自身も大きな気づきがたくさんありました。ただし、一般的な英会話スクールで扱う内容とは大きく異なるため、目的を誤って受講すると期待はずれに終わります。
この記事では、上級コースではどのようなことをやるのか、どのような人に向いているかについて詳しくお伝えします。
なお、ENGLISH COMPANYは、第二言語習得研究という科学的な知見に基づいてトレーニングを行なっている英語ジムです。詳しい情報はこちらをご覧ください。
ENGLISH COMPANYの上級者コースとは?
上級者向けコースの目的は、会議や商談をはじめとしたビジネスシーンで「相手を説得」できる英語を身につけることにあります。
相手を説得するとは「自分の意見を述べ、こちらの提案を受け入れてもらう」ことですが、そのためには日本語とは違う頭の使い方と、英語らしいロジックを身につける必要があります。
ENGLISH COMPANYの上級者向けコースでは、このスキルを身につけるために、発話プロセスの「概念化」に焦点を当てます。
発話プロセスにおける「概念化」
「概念化」とは何でしょうか?それを知るためにスピーキングとはどういうプロセスで成り立っているのかを説明します。
第二言語習得研究の立場に立つと、スピーキングのプロセスは以下のように3段階に分けることができます。
- 自分の言いたいことを思いつく(概念化)
- 文法ルールに沿って文を作る(言語化)
- 正しい発音で発話する(調音)
2番目の「言語化」とは文法や単語の知識を使って文を組み立てるプロセスであり、3番目の「調音」は喉や口を通してそれを音にするプロセスです。
そして、その前段階に「概念化」というプロセスがあります。「概念化」とは、自分の言いたいことを思いつくことに当たります。
「概念化」は軽視されがち
通常、一般的な英会話スクールで行うことは、シチュエーション別のフレーズ練習や言い回しの暗記です。
この練習は「概念化→言語化→調音」の中の「言語化」と「調音」に当たります。この練習はもちろん大切なものですが、「概念化」ができないと最終的に自分で会話を組み立てれるようにはなりません。
十分な会話練習をしていて、語彙力も発音力もあるのに、いざネイティブを目の前にすると話せない場合、そのほとんどは「概念化」の力が足りてないからだと言えます。
英語と日本語の「概念化」の違い
「概念化」とは「自分の言いたいことを思いつく」ことですが、やっかいなことに英語と日本語では会話の様式が違うので、「概念化」すべきことも大きく異なっています。
英語と日本語の会話の様式の違いについて、実際に私が受けたレッスンで出てきた例を使って説明をしてみましょう。
例えば、次のような会話は日本人同士でよく見られる会話パターンです。
A:食べ物は何が好き?
B:ラーメン!
A:ラーメンいいよねえ。(共感)
一方、英語ネイティブ同士では、このように話が展開していく方が自然です。
A:食べ物は何が好き?
B:ラーメン!
A:へえ、なんで?(理由を尋ねる)
お分かりでしょうか?日本語では相手に共感を示すのに対して、英語では理由を尋ねています。
もちろん、日本人でも理由を聞くことはありますし、英語圏でも共感を示すことはたくさんあります。ただ、彼らは、日常の会話の中でも頻繁に理由を尋ねてきますし、その頻度は日本人同士よりもはるかに高いです。
つまり何が言いたいかといいますと、日本人が英語で「概念化」できるようになるためには、即座に理由を思いつけるかどうかがポイントになってきます。
概念化を鍛えるトーレニング内容
では、どうやったら英語の「概念化」できるようになるのでしょうか?実際に私が受けたトレーニング内容を元にその一部を紹介します。
理由をたくさん思いつくトレーニング
最初に取り上げるのは「Comparison Game」と呼ばれるものです。あるトピックに対して、たくさんの理由を瞬時に思いつくためのトレーニングです。
これが得意になると英語らしい切り返しができるようになってきます。
具体的に見てみましょう。まずやり方を説明します。
ペアになり、2つの相反するトピックに対して日本語で「意見+理由」を1つずつ交互に言い合います。
「意見+理由」の言い方にはパターンがあり、以下の2つのどちらかを使って単語を当てはめていきます。
パターン1:◯◯の方がいいです。なぜなら〜だからです。
パターン2:◯◯のほうがダメです。なぜなら〜だからです。
では、「アイスクリームとケーキどっちがよいか」というテーマを例にして、トレーニングしてみましょう。
こんな感じになります。(AとBはペア同士です)
A:アイスクリームのほうがいいです。なぜなら冷たいからです。
B:ケーキのほうがいいです。なぜならふわふわだからです。
A:アイスクリームのほうがいいです。なぜなら安いからです。
B:ケーキのほうがいいです。なぜなら特別感があるからです。
A:ケーキのほうがダメです。なぜなら日持ちしないからです。
B:アイスクリームのほうがダメです。なぜなら寒い日には楽しめないからです。
ここでのポイントは、くだらない理由や自分の本心ではないことでも何でもいいので、とにかく口に出すことです。まずは理由を出す反射神経を鍛えるのです。
今度はこれを英語で言います。英語ではこのようになります。
パターン1:◯◯ is better because〜
パターン2:◯◯ is worse because〜
A:Ice cream is better (than cake) because it is cold.
B:Cake is better (than ice cream), because it is soft.
A:Ice cream is better, because it is cheap.
B:Cake is better, because it is special.
A:Cake is worse, because it doesn’t keep for long.
B:Ice cream is worse, because you cannot enjoy it on a cold day.
いかがでしょうか?一度日本語で理由を出しているので、英語にするのは比較的楽に感じるはずです。
これで理由をたくさん思いつくトレーニングは終了です。
上級コースで使ったテキスト - Comparison Game
理由を深めるトレーニング
次に紹介するのは「Why Game」と呼ばれるものです。このトレーニングをすることで、理由を深掘りすることができ、深く考える癖がつきます。
こちらも具体的に見てみましょう。さきほどのトピックを用いて日本語で「意見+理由」を複数回尋ね、深掘りしていきます。
これもパターンが決まっています。以下の文に当てはめて、トピックの理由を考え、最後に全部つなげた文章にします。(AとBはペア同士です)
A:〜だと思います。なぜなら〜だからです。
理由を聞いて深掘りする
B:なぜ〜だと思うのですか?
A:なぜなら〜さらに理由を聞いて深掘りする
B:なぜ〜だと思うのですか?
A:なぜなら〜A:(まとめて文章を作る)
ではこれを先ほどのComparison Gameで出てきた例を使って作ってみましょう。
A:アイスクリームのほうがいいです。なぜなら冷たいからです。
理由を聞いて深掘りする
B:冷たいとなぜいいのですか?
A:なぜなら、体温を下げてくれるからです。さらに理由を聞いて深掘りする
B:なぜ体温を下げてくれるといいのですか?
A:なぜなら、夏の暑いときに汗をたくさんかくと危険ですが、アイスクリームを食べればそれを防げます。まとめて文章を作る
A:ケーキよりアイスクリームのほうがいいと思います。なぜなら冷たいからです。夏の暑いときには汗をたくさんかいて、脱水症状の危険がありますが、アイスクリームを食べれば体温が下がり、それが防げます。
この理由から、わたしはアイスクリームのほうがケーキよりいいと思います。
ここでのポイントも、こじつけでもなんでもいいのでとにかく理由をひねり出すことです。はじめのうちは、理由を発想するための癖をつけるのです。
これを今度は英語で行います。英語版にもパターンがあるので、ここに単語を当てはめていきます。
A:I think〜because〜
理由を聞いて深掘りする
B:If〜, why is it good? (why do you think so?)
A:Because〜さらに理由を聞いて深掘りする
B:If〜, why is it good? (why do you think so?)
A:Because〜A:(まとめて文章を作る)
先ほどの例を使って英語にしてみましょう。
A:I think ice cream is better than cake, because it is cold.
理由を聞いて深掘りする
B:If it is cold, why is it good?
A:Because it lowers your body temperature.さらに理由を聞いて深掘りする
B:If it lowers your body temperature, why is it good?
A:Because when the weather is hot, you sweat a lot, and this is very dangerous for your body.まとめて文章を作る
A:I think ice cream is better than cake because it is cold.When the weather is hot, you are going to sweat a lot, and be dehydrated. This is very dangerous for your body.
It is good to eat ice cream to lower your body temperature.
いかがですか?一旦理由を深掘りし、改めて組み立て直すとぐっと英語らしくなっていると感じないでしょうか?
ちなみに私はコース受講中にこのトレーニングをたくさんやりましたが、最初のころはほとんど思いつけませんでした。
上級者向けコースでは、こういった「概念化」するためのトレーニングが10種類ほど用意されています。
ここで紹介したものは、基礎トレーニングの部類に入りますが、最終的には、ビジネスの現場で相手を説得できるようなレベルまで「概念化」のトレーニングを行います。
上級者コースの詳細
受講対象者
公式サイトには対象者として、TOEIC800点以上あるいは同等の英語力を持っている人とあります。
この基準は妥当なものだと思いますが、個人的に一番重要なスキルは、基本的なアウトプットスキルを持っているかどうかだと思います。
ある程度のアウトプットの力があれば「概念化 → 言語化」のプロセスがスムーズに行くため、上達を実感しやすいと思います。
目安としては中学レベルの英作文がサクサクとこなせるくらいの力があれば十分かと思います。
ちなみにこのコースはグループレッスンですので、ENGLISH COMPANYのパーソナルトレーニングのようなメッセージアプリによる毎日のサポートなどはありません。
毎週課題が出ますが、基本的には添削などもありませんので、かなり自立した学習姿勢が求められます。
向いていない人
しつこいですが、このコースでは「概念化→言語化→調音」のうちの「概念化」のトレーニングを多く取り入れています。
そのため文法の知識や使える英語表現を教えてもらうといった「言語化」のトレーニングは少なめです。「調音」に必要な発音指導はほとんど行われません。
つまり、もともと語彙力や表現力の乏しい人が、このコースだけ受けて、突然流暢に話せるようになる、ということはありません。
逆に、もともとある程度の語彙力や表現力を持っている方は、このコースで飛躍的に会話力が上がるということは十分にあります。
受講できる2つの校舎
上級者向けコースは現在2か所で受講が可能です。
1つはENGLISH COMPANY有楽町第2スタジオで、もう1つはSTRAIL新宿スタジオです。今のところ、東京のみの開催となっています。
受講期間は120分 x 8回の2か月間です。
ちなみに私が受講していた2018年は75分 x 12回の3か月コースでした。
コース名も少し変更されていて、現在は「人を“説得する”ためのビジネス英語インテンシブコース」という名前で開催されています。
価格について
価格は2か月で203,500円(税込)+ 入学金22,000円(税込)です。在籍生や卒業生は入学金は免除されます。
またENGLISH COMPANYの姉妹サービスであるSTRAILでコンサルティングを受講している生徒は、上級コースを半額で受講することができます。
この場合、場所はSTRAIL新宿スタジオになります。
STRAILについての詳しい内容はこちらをご覧ください。
無料体験を受けてみよう
「概念化」は英会話の幹にあたる部分です。この概念化が上手くできないために「基礎的な知識はあるのに英語が話せない」という方が、実は多いといいます。
ENGLISH COMPANYの上級者コースでは、日本語とは違う英語らしい発想と、説得力のある話し方を身につけるためのトレーニングを行います。
基礎が身についている方なら、この概念化のトレーニングを行うことで、発話力がグンと上がると思います。
無料体験レッスンではこのトレーニングを実際に体験できます。問い合わせフォームにメールや電話番号などを記入して送信すると、折り返し担当者から連絡がきて日程を調整してもらえます。
英会話に伸び悩んでいる方は、自分の学習を見直す意味でもぜひ一度無料体験レッスンを受けてみてください。