こんにちは、通訳案内士の上田裕美と申します。2011年度に通訳案内士試験に合格し、2015年度からフリーランスの通訳案内士としてのキャリアをスタートし、ロングツアーを中心に仕事をしています。
みんなの英語ひろばでは、2015年末から7回にわたって、通訳案内士についての記事を執筆しています。資格試験の勉強方法、1年目の稼働実績などを記事にまとめていますので、よかったらそちらもあわせてご覧になってみてくださいね。
さて、2年目にあたる2016年度のシーズンを終えて、また記事を執筆する機会をいただきました。数十年のキャリアを持つ先輩方が沢山いらっしゃる中、わたしはまだまだど新人の部類ですが、十人十色で多様な通訳案内士のキャリアの、1つのサンプルを提示できればと思います。
今回の連載では、以下の事柄について書いていく予定です。
- 2016年度にどんな仕事をしたか
- それらの仕事をどうやって得たか
- 通訳案内士のキャリアに活かせる経験、スキル
- この仕事ならではの出会い
- 現役通訳案内士たちの英語学習方法、キャリアの紹介
さて、今回の記事では、2016年度にどんな仕事をしたかについて、ご紹介します。
2016年度の活動実績
2016年度の活動実績は、以下のとおりです。(初年度にあたる2015年度の稼働実績の詳細は、こちらをご参照ください)
- 年間稼働日数
80日(2015年度は58日)- 研修、トレーニングなどの受講日数
38日(2015年度は52日)
(うち、4日は自費で受けた通訳案内士団体主催の研修、34日は旅行会社主催のトレーニング)- 内訳
ロングツアー:74日(92.5% 2015年度は70%)
ワンデーツアー:5日(6.3% 2015年度は10%)
スポットツアー:1日(1.2% 2015年度は20%)- 仕事を受けた旅行会社の数
5社(2015年度は8社)- 旅行会社ごとの内訳
A社:45日(56.3%)
B社:19日(23.8%)
C社:10日(12.5%)
D社:4日(5%)
E社:2日(2.5%)
用語の使い方が一部独特でわかりにくいかもしれないので、簡単に説明をしておきますね。
年間稼働日数とは仕事をした日数のことで、数時間〜半日の業務でも1日とカウントします。通訳案内士としてどれくらい仕事の経験を積んでいるかを判断するとき、経験年数だけではなく、年間稼働日数も指標とされます。
(参考までにですが、観光庁による2008年の通訳案内士実態調査では、年間稼働日数30日以下が54.5%、31〜50日が11.8%、51〜100日が13.4%、100日以上が16.1%となっています)
研修は主に通訳案内士団体が主催で、自主的に費用を負担して受けるもの、トレーニングは旅行会社主催で、選抜過程の一環として、またツアーアサインの必須条件として受けるもの、とここでは定義しています。
旅行会社とはツアーを企画・運営する旅行会社を指しています。通訳案内士のほとんどはフリーランスで、旅行会社から依頼を受けて、ツアーの仕事をしています。
ロングツアーは宿泊を伴う2日以上の日数で、複数都市をまわるツアーです。都市ごとにガイドを切り替えるツアーもありますが、わたしが受けるツアーの場合、スルーガイドとして、初日から最終日まで、ツアーの全行程に付き添います。
「ガイド」といいつつ、ロングツアーでは、ガイディング業務はほんの一部で、添乗業務が全体の7〜8割をしめます。お客さんがツアーを快適に楽しめるように、何でも屋になります。
2016年度に受けたツアーの日数は、9〜19日間。人数は、最大15名の小規模グループ。お客さんの国籍はアメリカ、オーストラリア、カナダ、イギリス、ニュージーランド、ドイツ、スイス、イタリアなど。
移動手段は、公共交通機関もしくは貸切バス。周遊する先は東京、箱根、河口湖、高山、金沢、京都、奈良、大阪、高野山、広島、瀬戸内海など。
宿泊するのは主にホテルですが、箱根では旅館、高野山ではお寺の宿坊にも泊まります。ツアー行程に食事がどれくらい含まれているかは、ツアーにより異なります。自由食の場合、周辺レストラン情報を押さえておいて、お客さんにお勧めします(かなり重要!)。
ワンデーツアーは1日のみのツアーです。朝ホテルにお迎えに行って、ツアーの最終訪問先で解散する場合が多いです。グループの場合もありますが、主にFIT(Foreign Independent Travelの略で個人旅行をさす)が多いです。
お1人の方もいらっしゃいますが、カップルや夫婦、家族連れ、友人同士が大半で、人数は2〜4人前後です。ワンデーの需要は都内がほとんどですが、今はロングツアーメインと決めているため、自宅からアクセスのよい横浜・鎌倉エリアのワンデーのみ、タイミングが合うときにお引き受けしています。
スポットツアーは特定のスポットのみを訪れるツアーです。2015年度は築地市場の半日ツアーもよく受けましたが、今年受けたのは相撲部屋朝稽古案内の1件のみです。
総括
2016年度は前年と比べ、22日間も稼働日数を伸ばすことができました。旅行会社主催のトレーニングを受ける機会にも恵まれ、初めてのツアーを4本行い、経験値を大きく伸ばせたんじゃないかな、と自負しています。
一方で、風邪の悪化により喉をつぶして声が出なくなり、ツアーを1本途中交代、1本まるまる交代となり、旅行会社にもお客さんにも多大な迷惑をかけてしまいました。
プロとしてあってはならないことで、情けないかぎりです。2017年度はさらに稼働日数を増やせる予定なので、心身の健康管理に努め、万全の態勢で臨みます。次回は、2016年度の仕事をどうやって得たかについて、ご紹介します。
記事に関する質問がありましたら、お気軽にtwitter経由で質問してくださいね。また、記事のご感想、次回以降取り上げて欲しいトピックのリクエストなどもいただけると、とても嬉しいです。