こんにちは。これまで「英語xフィリピン」という軸で、現地で働いている目線での記事を書かせていただきました。
今回は「海外で働きたい」と考えている方へ、フィリピンにかぎらず「海外就職」という観点で気をつけるべきポイントをご紹介します。
「なぜ海外・なぜその国なのか」ということも大事ですが、それはご自身がいちばんよく知っていると思いますのでその話は省きます。
1. 就労ビザ取得の難易度
のっけから厳しい言い方ですが、「アナタのスペックで就労ビザがもらえるのか」をよく確認してください。
就労ビザの発給条件は国によってまちまちですし、法律は常に変わるものです。ネットで見つけた情報が古かったり、数年前に就職した人の経験談が今となってはアテにならない…というケースもあります。
よくある例は…
- 大卒以上の学位
- 現地語レベルが◯◯以上
- 当該業界で◯年以上の経験
- その会社が、外国人一名につき現地スタッフを◯名以上採用している
といったところでしょうか。
私の知る限り、フィリピンは就労ビザのハードルが低いように感じます。社会人経験のなかった20代前半の若い人で「社会人一社目」でフィリピンの日系企業で働いているケースをいくつか知っています。
ただし2015年3月時点の話であって、今後どうなるかはわかりません。個人的な印象ですが「先進国であればあるほど難易度が高い」ような気がします。
チラッと調べてみたところ、とある先進国の日本人向け求人は「無期限に就労可能なビザをすでに持っている」という条件付きが多かったです。"無期限に就労可能なビザ"って、ヨウは永住ビザなんでしょうか。
外国人には厳しいですね。「自国の雇用を確保する」という観点では、外国人に厳しいのは当然と言えば当然ですが。
また、日系企業であれば日本人を採用する理由が何かしらあるでしょうが、そうでない場合、「なんでわざわざ手続きに手間がかかる外国人を…。」と外国人の採用に積極的でない企業があることも心に留めておいてください。
国によっては、「外国人を採用する場合、事前に自国民向けに広告を出して◯日経過しても応募がなかった場合にのみ就労ビザを発給する」など、外国人への就労ビザ発給の手続きがものすごく大変だったりかなりコストがかかったりするんです。
逆に、ある国では最近「日本国籍者は労働許可なく労働ができる」ようになったとかで(詳しくないのであえて国名は記載しません、ご自身でお調べください)、国によってまちまちですね。
何はともあれ、まずはご自身が就労ビザの発給条件を満たしていなかったら元も子もありません。働きたい国の最新の情報を入手することをお勧めします。
2. 雇用する企業の、ビザサポートのスタンス(普通の会社の場合)
就労ビザは「採用する企業がスポンサーとなり、労働許可をしかるべき組織・機関から得る」ものだと思いますが(国によってはここも違うかもしれませんが)、「その会社が、外国人の採用に慣れていない」ケースがあります。
みなさんが、「日本で働く外国人の就労ビザ」について知らないのと同じで、例えばフィリピン人なら「フィリピンで働く外国人の就労ビザ」についてそもそも知りません。
「歴史の長い日系企業であればナレッジが貯まっているだろう」と思いたいところですが、法律が変わることもありますし、担当者が退職してナレッジが引き継がれていないケースもあります。担当者が単にルーズということもあります。
とある日系企業に勤める知人は、フィリピンの就労ビザを入手するまでに1年以上かかっていました。その間は「SWP」という特別な労働許可証で働いていたそうですが…
また、その国への新拠点設立に伴う採用の場合、「ビザの手続きは(コストは会社で負担するが)自分でやってくれ」というケースもありえます。外部に委託すれば話は早いと思いますが、それでも大変そうですよね。
しっかりした会社ならキチンとサポートしてくれるとは思いますが、そうでない会社もあります。何かしらのタイミングで、ビザサポートについて確認することをお勧めします。
付け加えるならば、「なんでもかんでも会社にお任せ」よりは、ある程度ご自身で調べておくことをお勧めします。同じような境遇の人を見つけて、就労ビザ取得までどれくらいの期間がかかったかを聞いてみるのもいいかもしれません。
アナタのビザ取得に異様に時間がかかっている場合、その会社のしかるべき部署か委託先の会社が何かに手間取っているのかもしれませんし。
単にサボっているだけかもしれません。「就労ビザの重要性」を知らない人だったら、「めんどくさいから」と後回しにされかねません。
なお、会社がビザサポートしてくれたとしても、最終的に移民局からビザを発給してもらえないことも無きにしもあらずです。こればかりはどうしようもないので、諦めるしかないです。
3. 雇用する企業の、ビザサポートのスタンス(悪い会社の場合)
あくまで噂レベルですけど、
「◯年働かないとビザサポートしない」
「給料を月に◯◯◯◯ドル以上出すようにしないとビザがおりないらしいから、書面上◯◯◯◯ドル払うことにするが、そのうちの▲▲▲▲ドルは現金で戻してくれ」
というような交渉をする会社があると聞いたことがあります。これ、法律上NGだと思うんですけどね…。
オファーをもらった際、就労ビザについてグレーもしくはブラックな話を持ちかけられたら、よく確認するかしかるべき機関に相談することをお勧めします。海外で危ない橋を渡ることはお勧めしません!
4. やりたい仕事があるか
あなたが素晴らしいキャリアをお持ちだったとしても、そのキャリアが生きる仕事が見つからない可能性も十分にあります。
こればかりはタイミングもありますから…その国の現地語か英語がある程度のレベルに達していない場合、就ける仕事に限りがあるかもしれません。
インターネットのおかげで情報収集がしやすくなりましたが、一人で探すのには限りがあると思うので、現地に根を張っている人材紹介会社に相談するのもいいと思います。その国ならではのアドバイスをもらえるはずです。
国や地域によっては、日本人向けのフリーペーパーに求人欄があったりもします。探し方はいろいろあると思います。また、国によっては「日本人に求められる仕事」にも違いがあるかもしれません。
途上国など現地スタッフの人件費が安い国の日系企業では、現場仕事は現地スタッフに任せて日本人はそのマネジメントの仕事を任されるケースが多く、現場経験を積みたい若い人の場合それが叶わないこともあります。
「住みたい国でやれる仕事を探す」のか、「やりたい仕事ができる国を探す」のか、優先度次第で探し方も変わるでしょう。自分の中で、優先順位をリストアップしてみるといいかもしれません。
5. その給料で生きていけるか
仮に「やりたい」と思える仕事の求人を見つけたとしても、給料の欄をよーーーーーーく確認してください。これはフィリピンの場合ですが、日本人向けの求人で給料が「5万ペソ/月」というのをたまに見かけます。
この場合、所得税で約3割引かれると残るのは3.5万ペソ。3.5万ペソを日本円に換算したら10万円にもなりません。そこから家賃、生活費を払っていたら…私だったら生きていけません。
若いうちなら「経験を買う」という観点でアリなのかもしれませんが…
新卒未経験の場合は買い叩かれても仕方ないとは思いますが、とはいえ5万ペソ…
もちろん、年齢や人生設計にもよると思います。他の国でも同じことが言えると思いますので、じっくり考えてください。可能ならば、日本である程度お金を貯めておいてからの方が無難です。
私はフィリピンでコンドミニアムを契約するのに、家賃を『1年分前払い』でしか受け付けないと言われ、貯金があってよかった…としみじみ実感しました。
ほかにも、「親族の不幸で、急に日本に帰らなきゃいけない」などなど、急に大金が必要になることもあります。お金はある程度貯めておいたほうがいいですよ。
まとめ
海外就職に備えた語学習得やスキルアップも大事ですが、就労ビザ発給の条件をクリアしていないと元も子もありませんので、まず先にここを確認してから就活することをお勧めします。