皆さんこんにちは。ネット界のドクダミの花「めいろま」(@May_Roma)です。
ワタクシを知らない方々に起きましては、「ネット上で下衆な記事をアップして大炎上させている空気の読めない人」としてご理解頂ければ幸いです。
さて、ワタクシは炎上クイーンとしての経歴の方が有名になってしまったわけですが、20代の頃に留学を契機に日本を出まして、以後、アメリカ、日本、イタリア、イギリスと様々な土地で奉公人をやってまいりました(会社や役所に雇われて来たので奉公人です)。
ガイシ系やら国連専門機関やら日本の会社やら、様々な組織で奉公をしきたわけですが、様々な人種がカオス状態で混ざって働いている場所では、仕事も私生活も共通語は英語でありました。
そういうインターナショナルでグローバルで落合信彦で佐藤勝な場においては、英語ができるか否かが、食べて行けるかどうかにおいて大変重要なわけでして、「グローバルなんとか」というフレーズを聞くたびに「ああ、俺も中学英語をやり直さないといけないな...。」と思っておられる方が多いでしょう。
時間と労力の使い方を間違えてはいけない
上記のような方々は、週末には疲れた体を引きずって、地元の本屋にいって「やり直し中学英語!」「一日5分でマスターする英語」「英文法完全マスター」なる本を買って、通勤電車の中でこっそり読みながら、せっせとTOEICのお勉強をしていたりするわけです。
しかし、ワタクシはそのような方々を日本で見かけるたびに「ああ、それやることが間違っているよ」と思うのです。
日本の方々は「俺は英語ができない!」となると、
- 文法をやり直さねば
- もっと熟語を暗記するんだ
- ペーパーバッグを読むぞ
- テープを聞き流してリスニング強化
という「些末なテクニックを磨く」ことに時間と労力を割く傾向があります。確かにメチャクチャな文法では英語は通じませんし、発音が悪けりゃ何をいっているかわかりません。
しかしワタクシは「些末なテクニックを磨く」に走りがちな方は、偉大なる誤解をしていると考えています。
多くの日本人に足りていないもの
ワタクシは様々な現場を渡り歩き、日本人とネイティブ、日本人と非ネイティブがやりあう場面を散々目にしてきました。
残念ながら、多くの場合、日本社会ではいわゆる「エリート」と呼ばれる方でも、留学経験のある方や、ダブルの方、帰国子女の方などごく一部を除いて、英語は「微妙」です。
「英語が微妙」とは、文法がおかしいとか、熟語を知らないとか、そういう意味ではありません。エリートではない方でも何年も学校で英語をやっているので知識は十分です。
実務で使う英語はそれほど複雑ではないので、多くの場合、文法や言い回しに関しては、高校1年生までの英語の知識があればなんとかなってしまいます。
「英後が微妙」な理由は、そういう知識やテクニックの問題ではなく、「相手と意思の疎通ができていない」という意味です。
会話、読み、書き、そのすべての点で微妙なのです。日本人は「英会話」だけが不得手だと思っているかもしれませんが、いえいえ、読みも書きも微妙です。
皆さんの英語が微妙な理由はなぜだと思いますか?日本の教育方法?勉強が足りない?もちろんそれらも理由です。
しかし、最も大きな理由の一つは、「日本語ですら頭が悪すぎるから」です。「頭が悪すぎる」とは「相手に自分の意志を伝えることができてない」という意味です。
今年の1月28日に出した「添削!日本人英語」という本の中でも、詳しく解説していますが、そもそも日本人は、異なる言語、異なる宗教、異なる生活環境の人々に対して、自分の考えや客観的事実を言語化して伝える技術が不得手です。
その理由は、日本人が「ハイコンテクスト文化」の中で育つからです。
ハイコンテクスト文化の影響
文化人類学者のエドワード・T・ホールは、「ハイコンテクスト文化」を「集団主義で情緒的、人間関係が濃く、コミュニティの構成員には共通することが多いので会話は感覚的、言葉で細かい情報を説明しない」と定義しています (『文化を超えて』研究社出版2003年)。
東アジア、南アジア、中東はこの文化圏です。日本というのは島国で、移民国や大陸国に比べると人の移動が限られています。
植民地を持っていたわけでも、移民国でもないので、他民族が集まっているわけでもありません。国境線が変わったこともありません。
同じ言語に同じ文化を共有する人々が集まって近代国家を形成しているという、実は世界的にみると珍しい国なのです。
多くの人は会話の前提となる文化背景や慣習や常識を共有しています。ですから、他者に対して、すべてを言語化して説明する必要がありません。
文章も会話も購読も、「行間を読ませる」「余韻を残した」ものでも通用し、「空気を読むこと」が当たり前です。
しかし、同じ様な文化背景を持たない人々に対して、日本人同士で話したり書いたりする様なやり方をしても意思の疎通ができません。
文法があっていようが、熟語の使い方が正しかろうが、相手に伝わる言い方、相手に伝わる書き方、相手の意見を理解できる読み方をしなければダメなんです。
つまり日本人の英語が微妙な理由は、文法や熟語の「知識」うんぬんではなく、コミュニケーションのやり方自体に問題がある、ということです。
添削! 日本人英語 ―世界で通用する英文スタイルへ 谷本真由美 @May_Roma ポール・ロブソン Paul Robson 朝日出版社 2015-01-28 by G-Tools |