このページの目的

コミュニケーションに必須の「生きた英語」の代表である「句動詞」を身につけることの重要性とその方法を知る

「基本語」+「前置詞」= 句動詞

ボキャブラリー最大の山場に入っていきます。

「使える」英語の語彙は単なる丸暗記では身につかない大きな理由のひとつが「句動詞」にあります。

句動詞を自在に使いこなせている日本人を私はほとんど知りません。(幼少時からの完全バイリンガルを除いて)

ですがNative speakerにとって、この句動詞はほぼ体の一部になっています。英米圏では、会話ではもうしょっちゅう、かなり頻繁に使われますし、新聞の見出しもTVのCMもWEBのキャッチコピーも、ほんとうによく句動詞が使われます。

そういった生きた英語で句動詞が頻繁に使われるのは、同じ意味の単語であっても句動詞の方が「動き」を感じられるから、だと思います。postponeというより put offというほうが、体が実際に後ろに動く「動的な」イメージがあるのです。

この句動詞をセンス良くつかいこなせるレベルというのは、英文コピーライターになれるほどのレベルといってもいいかもしれません。

私がニュージーランドに留学していたときのこと。”take over”が二つの例文の中で出てきて、その二つの”take over”には一見関連がないように感じられたため、生徒全員がイマイチ正確に意味をつかめなかったことがありました。

そのときに先生が「口で説明するのは難しい」といって体を使って一生懸命説明してくれたことを覚えているのですが(先生はニュージーランド人です)。

それが、内容的にはここで紹介する本の18ページ目に書かれている説明と同じようなものでした。

以下、引用です。(ニュージーランド人の先生が体を使って説明している様子を思い浮かべながら読んでみてください)

”take”は「自分のところに取り込む」という移動が関係しています。そして”over”にも「何かを越えて」という移動が関係しますね。この二つのイメージを重ね合わせると、あるところから自分のところに弧を描くように何かを移動させるというイメージになります。これが「引き継ぐ」という”take over”のイメージです。

一方、”take”には「取り込んだ結果(自分のものにする)」という点を焦点化した用法があります。「獲得」の意味合いですね。そして”over”にも「全体を覆う」という側面があり、それは「支配下に置く」という比喩的な用法につながっています。

ニュージーランドでは先生が体を使って一生懸命説明してくれましたが、この本では日本語の説明とともに簡単なイラストでイメージがつかめるように解説しています。

前のページで紹介した1冊目の本で「基本語」つまり基本の動詞のコアイメージをまずつかむ。
そしてそれをつかんだら、この2冊目で「前置詞」についてもコアイメージをつかむ。

そしてその両方のイメージがしっかりと自分の中で消化できたら、その二つの掛け算である句動詞の理解ができる。

句動詞を一つ一つ丸暗記していたのではなかなか実際に使うことはできません。

「基本語」と「前置詞」それぞれのコアイメージをしっかりとつかむことができさえすれば、あとはここの説明を読んで実際の例文を見れば、その句動詞のイメージが感覚的につかめるようになるのです。

②前置詞、句動詞 強化編

【CD Book】音声CD付き

486454008X 英語のパワー基本語[前置詞・句動詞編]CD-ROM付: ネイティブ感覚の英語力アップ (田中茂範先生のなるほど講義録3)
田中 茂範

「約7時間におよぶ講義と例文のネイティブ音声を、MP3形式で付属のCD-ROMに収録」

「日本人に英語学習で何が難しいかと聞くと、トップ3に入ってくるのが前置詞。一方の句動詞は「動詞+副詞」の形である意味を表すものですが、「句動詞ほど英語的な発想のものはない」といわれるように、どれも同じように見えて、put offというよりpostpone 、put outというよりextinguishといってもらった方が余程わかりやすいのにと嘆きたくなります。」

前置詞だけではなく、句動詞に関しても体系的にまとめていて講義も聞けてトレーニングもできる教材、というのはほかにないのではないでしょうか。体系的に、というのは、次のような形でまとめているということ。

「10個の基本動詞と、15個の空間詞(※)の組み合わせからなる句動詞」を解説しています。

10個の基本動詞とは、hold/ keep/ take/ give/ carry/ bring/ put /break/ push/ run
15個の空間詞とは、 about/ across/ around/ away/ back/ down/ (forth/ forward)/ in/ off/ on/ out/ over/ through/ up ( forth/ forward についてはとくに詳しい説明は不要なので取扱いなし)

ここでいう「空間詞」とは、文法用語では副詞として扱われる単語群ですが、句動詞として使うときにはすべて「空間」を表すことからこの本では「空間詞」として解説しています。

オウルン15

前置詞とこの句動詞を自由に使いこなせるようになることは、本当の意味で「英語脳」になり「使える」英語を身につける上で大きなステップだと思って間違いありません。Native Speakerはまさにこれらをうまく使ってコミュニケーションするのです。

これらはさらっと目を通した程度で身に付くものではありません。何度でも説明をよみながら、音声を聴きながら、そしてイメージを頭に生き生きと思い描きながら、例文を口に出して、身につけていくようにしましょう。

そして、このあとの「話す・書く」「聴く・読む」の教材でこれらが出てきたら、その都度これらを消化するように心がけていくといいと思います。