全く英語が話せなかった私のロンドン留学奮闘記 語学学校編

語学学校では、簡単な筆記とスピーキングのテストを受けました。先生の話すはっきりとした英語は聴き取れるものの、なかなか思うように話せません。

”Do you like〜?” や ”I have 〜” など、中学1年生レベルの簡単な一文であればさっと言えるのですが、言いたいことがちょっと複雑になると英語にするのに時間が掛かってしまい、どうしても途中で詰まってしまうのです。

そんな私は日本人に一番多い中級のクラスに振り分けられます。そこで習う文法は基本的なことばかりだったので正直不満でしたが、自分のスピーキングのレベルが高くないことはよくわかっていたので、まずはこのクラスで頑張ろうと決めました。

日本にいた頃、瞬間英作文では正確な英語になるよう意識しながら取り組んでいましたが、その分考える時間があったので、英語にするのに数秒掛かっていました。

けれどロンドンに来て実際に毎日英語を話すうちに、この日本語から英語に訳すまでの時間が、そのまま英語を話すときに掛かる時間だと気がついて、今度はとにかく素早く言う練習を始めました。考える前にぱっと英語で口に出すようにしたのです。

自分が間違っていると思う日本人

この中級レベルの頃、私は会話が上手くいかないと自分が悪いといつも思っていました。

相手にわかってもらえなかったら私の話す英語が下手なんだ、相手の言っていることがわからなかったら私の聴き取り能力が低いんだ、というように。

だいたいどっちも間違っていたりするのですが、謙虚だからなのか何なのか、なぜか日本人は自分が間違っているんだ、と思ってしまうことが多い気がします。

もちろん性格にもよりますが、他国の人たちは自信満々で、通じない場合は相手がいけないと思っていることが多いです。

けれど日本人の場合は通じないと自分が悪いと考えることが多く、話しているうちに自信がなくなり声が小さくなって、ますますわかってもらえない、ということがよくある気がします。

例えばフランス人の友達は、会話の中にフランス語の単語をよく混ぜてきました。何のことを話しているのかよくわからず、その単語どういう意味?と聞いたら、「あ、ごめんこれフランス語だった。」と言われることがしばしば。

でも彼はわかってもらえなかったからと自信をなくしたり、声が小さくなることはありません。気にする様子もなくその後もフランス語を混ぜてぺらぺらと英語を話し続けていました。

他にもパキスタン人のクラスメイトと初めて話したとき、あまりに速く英語を話すので全く聴き取れず、「すみません、私は英語が下手なのであなたの英語がわかりません…。」となぜか謝ってしまいました。

しかし後で気付いたのですが、先生ですら彼の英語は聴き取れていなかったのです。つまりめちゃめちゃな英語をものすごいスピードで自信満々に話していただけ。

これはこれで問題があるかと思いますが、それでもこんな風に下手でも自信を持って話せる日本人はなかなかいないし、彼の姿勢から学ぶことはあるような気がします。

間違えて当然

別に間違えてもいいのです。みんな上手くなるために語学学校へ来ているのですから、間違えて当然です。恥ずかしいことなんて全然ないし、何も悪くないのに、それでも気後れしてしまう。そんな日本人は多いのではないでしょうか?

私はまさにそうで、聞き返されると急に自信がなくなって、さっき言えたことも言えなくなってしまう。二回、三回と聞き返されると、もうそのことについて話すのは諦めてしまっていたのです。

とはいえ、それではいつまでも英語は上手くなりません。そこでまず、小さなことですが学校では必ず先生の隣に座るようにしました。距離が近ければ聴き取ってもらえやすい、という単純な理由からです。

近くだったら質問もしやすく、先生とも仲良くなりやすい。安くない学費も払っているんですから最大限利用しようと積極的に発言し、どんな些細なことでも質問し、とにかく英語を話す機会を増やすようにしました。

自信がなくても大きな声で話すこと。合っていようが間違っていようが、小さな声だと誰も聴き取れません。また正確な英語を話そうと頭の中で考えているとどんどん会話は進んでしまいます。

間違いを恐れずにとりあえず思い切って英語を発してみること。こんな当たり前に思えることが私には難しく、ここを乗り越えることが最初の一歩でした。

でもいつまでも間違えていると上手くならない

皆さんは、留学したら英語が上手くなると思いますか?留学したら英語が上手くなる、海外で暮らせば上手くなる、そんな風に思っている人はとても多いと思います。

けれど実際はそうでもないのです。留学して驚いたことは、何年、何十年と海外に暮らしているのに英語が上手くない人がたくさんいることでした。

暮らしていく上ではそんなに難しい英語は必要ありません。また多少間違っていても、話の流れから伝わることも多いでしょう。

だからといって気を付けなければいつまでも間違え続けます。それでも伝わればいいじゃないかと思うなら、それでいいのかもしれません。

ただ私は嫌でした。英語が上手くなりたかった。英語らしい表現をもっと学びたい、学校の先生のようにユーモアたっぷりに話したい。いつも私に合わせてくれるネイティブの友達とも、いつかは自然に話せるようになりたい。

それが今も英語の勉強を続けている理由です。諦めてしまえばそれ以上は上手くならないとわかっているから、これからも続けていくと思います。

下手でも自信を持って話すことは大切です。けれど間違っていることを気にせずにただ喋っているだけでは上手くなりません。

どのレベルを目指すかは、どうして英語を話せるようになりたいかにもよるでしょうし、下手でも伝わればいいと思うならそれで良いと思います。

ただ上手くなりたいと思うなら、語学学校だけでは足りないし、自分で勉強を続けていかなければならないのではないでしょうか。

どうして英語を話せるようになりたいのか、どれくらいのレベルを目指すのか。これがはっきりしていなければ、高いお金を払って留学しても、得られるものは少ないかもしれません。