全く英語が話せなかった私のロンドン留学奮闘記語学学校編その2

大好きな人に伝えたいことを伝えたい、という気持ちは勉強する上での大きなモチベーションでした。留学したばかりでまだ英語が下手な頃に、すごく仲良くなったイギリス人の友達がいます。

最初の頃は彼女が何を話しているのかなかなか聴き取れず、何回も聞き直していたのですが、それでも嫌な顔をせずに表現を変えたりしながら何度でも話してくれたような、とても優しい友達です。

そうやって合わせてくれることは嬉しかったけれど、やっぱりどこか申し訳なかったし、私が伝えたいこともなかなか伝えられないことが悲しくて、もっと上手くなって彼女と自然に話したいといつも思っていました。

大好きな写真集を作った出版社の人に会ったとき、写真集を色々とおすすめしてもらいました。英語が話せると海外にいる憧れの人たちとも話すチャンスが出来るんだ!と興奮したことをよく覚えています。

でもせっかく憧れの人に会えたのに、なかなか自分の思っていることが上手に言えません。

嬉しい気持ちよりも、悲しい気持ちの方が大きくて、これから先に憧れの人に会うチャンスがあったときのために、絶対にもっと英語が上手くならなくちゃと思いました。

友達や憧れの人が英語しか通じないのであれば、一生懸命英語を勉強するしかありません。相手は語学学校の友達でも、先生でも、ホームステイ先のファミリーでも、近所のスタバの店員さんでも誰でもいいのです。

そうやってどうしても話したい、この人と話せたら嬉しいという人が出来ると、英語力も伸びやすいのではないでしょうか。

悔しいから上手くなる

英語が絶対に上手くなりたいと思うようになったのは、大好きな人と話したいというポジティブな気持ちだけではありませんでした。

ひどい言葉や冷たい態度を取られ、悔しい思いをしたこともまた、上手くなりたいと思うきっかけになりました。

語学学校のクラスに、「日本人と韓国人は発音が下手で何を言っているかわからないから話したくない」と私の前で言った女の子がいました。

実際に彼女はあからさまに日本人と韓国人に対して冷たく、そもそも話を聞くつもりが全然ないのです。

”R”と”L”の発音の区別が出来ないことを笑われたり、何を言っても全然わかんないという顔をして聞き返してくる彼女の態度が本当に悔しくて、絶対にこの子より上手くなってやると誓いました。

そういう悔しい思いをしたことはたくさんあります。機械の調子が悪くてスーパーの店員に助けを求めたら、「あんたが何言ってるのか全然わかんない」と言われてしまい、その帰り道は悔しいのと惨めなのとで泣きながら家に帰りました。

こういう思いをもう二度としたくない、英語が出来ないからという理由で馬鹿にされたくない。そういう強い気持ちがあったからこそ、挫折せずに今まで続けてこれたのだと思います。

泳げなくてもプールに飛び込むこと

語学学校の先生がしてくれた、忘れられない話があります。ある日スピーキングのクラスで、「5分程度のプレゼンをする」という宿題が出ました。

そのクラスは上から2番目のクラスで、みんなとても上手に英語を話し、いつも積極的にどんどん発言します。

話すことにまだまだ苦手意識のあった私は、どうして自分がそのクラスに入れてしまったのかわからず、いつも授業が憂鬱で、プレゼンの宿題もとても気が重いものでした。

翌週の授業の日になって、「誰からやる?」と先生が質問したとき、いつもなら誰かがすぐに手を挙げるのですが、今回は誰も手を挙げなかったのです。

しかも「練習不足だから」「来週にして欲しい」などと、珍しくみんなが自信なさそうに、いかにやりたくないかをアピールする程でした。

ついに誰もやりたがらない様子を見兼ねた先生は、こんなようなことを言います。

みんなにとって英語でプレゼンをするということは、泳げないままプールに飛び込むようなものかもしれない。飛び込む前は怖いだろう。

水をたくさん飲んで苦しい思いをしたらどうしよう?溺れてみっともない姿を晒したらどうしよう?そして実際に飛び込んでみたら、悲しいことにそれはきっと現実になる。

だけど、プールへ飛び込まずにどうやって泳ぎ方を学べると思う?どんなに陸で泳ぎのフォームを勉強したとしても、いくら理論を学んでも、飛び込むことなしに泳ぎ方を学ぶことは出来ないんだよ。

英語もそれと同じ。上手く発音できなくて笑われるだろう。意味不明なことを言って恥をかくだろう。それでも話すことなしに、恥をかくことなしに、英語を話せるようには決してならないんだよ。

それまで失敗したくない、恥ずかしい思いをしたくないという気持ちが強かった私にとって、この言葉はとても心に響くものでした。

何も挑戦せずにぬくぬくと引きこもっているより、ぶつかって失敗して、恥をかいてでも前に進んだ方がよっぽど良い。そんな風に思えるようになったのです。

もしあなたが語学学校へ行かれるのなら、行かなくても英語を話せるようになりたいと思っているのなら、どうぞたくさん失敗して、恥をかいて、悔しい思いをしてきてください。

それは素晴らしいことだし、その度にあなたの英語は上手くなるはずです。だからぜひ、泳げなくてもまずはプールに飛び込んでみてください。