インド人エンジニアと英語

この記事は、「インドにおける英語教育とその現状」の続編です。

インドでは頭がいい子供には、「医者かエンジニアになれ」が合い言葉のように親から子供に伝えられます。ある意味で高度経済成長期の日本のように、その就職に向けた努力は「まっすぐ」です。

一般的にインド人のエンジニアは、「複数言語を操り、技術力もあるスーパーエンジニア」というポジティブなイメージと、「不思議な英語を使う偉そうな態度のめんどくさい人」というイメージがあるかもしれませんが、実際のところ、どちらのタイプもインドにはたくさんいます。

そして今回の記事では、インド人エンジニアが、どのような高等教育を受けた上で仕事をしているか、をまとめてみました。

大学レベルまでの教育

高校レベルの学校を卒業後、エンジニアを目指す場合はカレッジなどの卒業(2年)後にDiplomaをもらうケースと、いわゆるユニバーシティの卒業(4年)後にDegreeをもらうケースがあります。

前者の場合は、日本でいう短大卒の20才からIT企業で仕事をする事になります。

26才のエンジニアで妻と子供が2人いる6年選手なんていうのは結構普通です。そしてそういう話を聞くと32独身の俺って... と悲しくなること間違いなしです(涙)

話を戻します。一概には言えませんが、DegreeとDiplomaで英語力に違いが出る可能性があります。以下は少し極端な例ですが、親の経済背景などが原因で2種類の教育背景のエンジニアが出てきます。

  • 公教育→カレッジ→就職
  • インターナショナルスクール→ユニバーシティ→就職

上記2つを比較すると、やはり英語へのエクスポージャー(英語にさらされる量)や慣れの面で違うのが事実です。

大学などでの授業は英語ですがインド英語なので細かい文法(三単元、単複、冠詞)やワードチョイスなどに関しては、結構適当な事があるようです。大学の教科書が校正不足でミスがあるのは結構普通という話も聞きます。

インド人エンジニアと英語

ソフトウェアエンジニアの採用・出世判断は、基本的に職務遂行能力になりますので、Degree>Diplomaといった感じはほとんどなく、仕事をしてしまえば学歴で優劣はあまりないそうです。

日本の教員が、大卒でも院卒でも現場に立てば扱いがほぼ同じなのと似ています。もちろん採用時の面接は英語でも行うようです。

インドの大手ITだと大体私立の高校等→ユニバーシティ出身の学生で英語も問題がない場合が多いようですが、中には正直あまり英語が得意ではないエンジニアもいるようです(逆にDiplomaでも英語に問題のないエンジニアもたくさんいます)。

この辺の背景があり、簡単にカテゴリ分けはできません。英語力の不足が問題になるのは顧客対応です。使用言語は英語なので、技術面では問題がなくても英語力が原因で出世に影響する例があるようです。

インドのエンジニアもつらいよ

インド人エンジニアと一口にいっても、英語がほぼ母語として育っている人もいれば、第二外国語として勉強をした人もいます

どちらも日本のエンジニアよりも総じて英語のレベルは高いですが、英語力があって当たり前な分、英語が弱いと出世に響く可能性があります。

しかしこの辺りの要求レベルは、インドの現状を考えると仕方ない事でしょう。ですので、インドで「お前は英語が下手だ」というのは日本で 「お前は仕事ができない」という意味に近くなります。

つまり、英語ができないといってしまうのは、対インド人エンジニアでは人格否定に近い侮辱にあたります。

だから「あんたの英語が悪いからわからない」と言えば、本気で怒るか、逆に「この人は自分の英語力がないのを私にせいにしようとしている」と思われます。

日系企業とインドのオフショア活用

日本の企業がオフショアを使う場合、「サービスや製品」を買うのか「英語」を買うのかを考えると前者のために利用するケースが多いかと思います。

契約書なら冠詞のミスも致命的になりますが、現場レベルのQ&Aで三単元が抜けても、特に開発上問題にはなることは少ないと思います。その辺りを重視するかしないかはコストとの天秤です。

マネージャーレベルになる人は、やはりメールや会議での発言でもしっかりした英語をアウトプットする印象です。

なので、IT企業の中にはDiplomaの社員の中でも特に優秀で、長く残したいと思う社員には、更に能力を開発するためにDegree取得の講座を受けさせたり、英語力の底上げをするところもあるようです。

インド人は、よほどの事がない限り、絶対に自分は英語ができないと言いません。マネージャー級の人には実はこっそり努力をしている人、苦手な英語に向き合って努力してきたからマネージャーになれた人などもいます。

英語が苦手な日本人も、やればできるはずですよ!