今回はイングリッシュカンパニーの中級者向けコースのレッスンを受講してきました。
イングリッシュカンパニーは、第二習得研究にもとづいたパーソナルトレーニングが代表的なサービスですが、最近ではさまざまなグループレッスンも展開しています。
その中でも 「中級者向けコース」は、TOEICで500点台から700点台(目安)を対象としたクラスです。
グループレッスンなので、値段は安く抑えられているのですが、その分あまり効果がないんじゃないか心配になりますよね。
この記事では、
- どういったトレーニングをするのか?
- どれくらいの効果があるのか?
- 具体的にどういった人が対象になるのか?
- パーソナルトレーニングとどう違うのか?
などを私が受けたレッスンでの体験を元に詳しく解説していきます。
レッスンを受けてみると、パーソナルトレーニングと変わらない高い効果を実感できるとても良い内容でした。
このコースだけでTOEIC200点〜300点アップすることも十分に可能だと思います。
なお、パーソナルトレーニングについてはこちらの記事もご覧ください。
イングリッシュカンパニー中級者向けコースの特徴
中級者向けコースの特徴を大まかに紹介します。
- 第二言語習得研究にもとづいた中級者専用のグループトレーニング
- 音声フィードバックをはじめとした充実した自習プログラム
- メーリングリストを使ったグループレッスンならではの学習継続システム
- パーソナルトレーニングに比べて安く抑えられた価格設定
それぞれ詳しく説明します。
第二言語習得研究にもとづいた中級者専用のグループトレーニング
第二言語習得研究とは、外国語を習得するメカニズムを科学的に明らかにする学問のことです。
例えば、母語の身に付いた大人が、日本のような日常的に英語が使用されない環境で外国語を学ぶ時には、次のような順番でできるようにしていくと効率がよいという説が有力です。
- 知識(文法や語彙)
- 受容スキル(読む・聞く)
- 産出スキル(書く・話す)
中級者向けコースは、上記のうち「受容スキル(読む・聞く)」がしっかり身に付くようにカリキュラムが組まれています。
というのも、中級レベルの方は、学校の勉強などを通して文法や語彙などの知識については身につけているものの、リスニングが苦手であったり、リーディングについてもスムーズさに欠けていたりする方が多いからです。
ただしこの中級者向けコースでは「読む・聞く」だけではなく、文法や語彙も学び、知識ももちろん増やしていけます。また、コース終盤では、産出スキルであるスピーキングの入門トレーニングも扱います。
詳しいトレーニングの内容は、のちほど説明します。
音声フィードバックをはじめとした充実した自習プログラム
自宅で勉強するための自習プログラム(宿題)も充実しています。
市販の教材とオリジナルの教材を組み合わせて、語彙、文法、リーディング、リスニングをバランス良く鍛えるメニューが毎週提供されます。
ボリュームは他社のパーソナルトレーニングに比べると少なく、毎日1時間半くらいの学習時間で完結する量になっています。
科学的な知識を背景にして、量で押し切ることなく、質重視の学習が行えます。忙しい社会人にとってはありがたいところです。
自習プログラムの進め方はもちろん、学習時間が確保できないといった悩みにも、レッスンやメールを通じてアドバイスしてもらえます。
また、中級者向けコースの独自のサービスとして、音声フィードバックサービスもあります(週2回)。
これは、自分のシャドーイングを録音して、音声知覚(音の聞き取り)の問題点を見つけ、発音面のフィードバックを受けるサービスです。
リスニングの課題は自分ではなかなか分かりにくいので、こちらも嬉しいサービスですね。
メーリングリストを使ったグループレッスンならではの学習継続システム
週2回、トレーナーから生徒全員に向けてメーリングリストにメールが送られてきます。
メールの内容は、レッスンで実施したことのまとめや宿題の内容とその意図や実施ポイントを確認するためのものです。
メーリングリストのよい点は、メール内容が生徒とトレーナーの一対一ではなく、グループ全体で共有されるところです。
一緒に学習している生徒同士の学習進捗がわかるので、ちょっとサボり気味のときでもがんばらなきゃ、と思えるシステムになっています。
パーソナルトレーニングに比べて安く抑えられた価格設定
全レベル対応コース(パーソナルトレーニング)と比べると、値段はだいぶ安く抑えられています。合計金額から計算すると、約4割引きで受講することができます。
中級者向け コース |
全レベル対応 |
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入学金 | 55,000円 | 55,000円 |
コース代金 (3ヶ月分) |
231,000円 | 561,000円 |
合計金額 | 286,000円 | 616,000円 |
※すべて税込です。
中級者向けコースの対象者が共通して持っている課題
コース対象者はTOEICで500点台〜700点台くらいですが、具体的にこのような課題を持っている方が多くいます。
- 文法は一通り知っているけど、理解に抜けがあったり、自分で使えるレベルになっていない。
- リスニングは簡単な英語なら聞き取れるけど、ネイティブと話をしていても何を言っているか分からないことが多い。
- リーディングは時間をかければ読めるけどスピードが遅い。(TOEICの問題が解き終わらない)
実際のクラスでは、受験勉強や独学でそこそこ勉強してきたけど、仕事などで実際に英語を使うとなると自信が持てないといった方が多くいました。
全レベル対応コースとの違い
ここで値段以外の全レベル対応コース(パーソナルトレーニング)との違いをまとめておきます。
中級者向け コース |
全レベル対応 コース |
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対象者 | TOEIC500点〜700点くらいの人 | 全レベル |
トレーニング形式 | グループ (最大5名) |
マンツーマン |
トレーニング時間 | 120分週1回 | 90分週2回 |
遠隔サポート | メーリングリストで週2回 | LINEで毎日 |
期間 | 3か月 | 3か月・6か月 |
大きな違いは、グループレッスンであることと、LINEでの毎日のサポートがつかないことです。トレーニングの内容はほとんど変わりません。
開催スタジオと開催日時
中級者向けコースは6スタジオで開催されています。
中級者向けコース開催スタジオ |
---|
神田、新宿、銀座、梅田、神戸、四条烏丸 |
開催日時は各スタジオで平日昼、夜、週末と、様々なクラスが設けられています。
具体的にいつ開催されているかは、公式サイトで確認できます。
中級者向けコースに参加させてもらいました
六本木スタジオで開催されている実際のレッスンに参加させてもらいました。
中級者向けコース内容は、イングリッシュカンパニーがパーソナルトレーニングで行なっていることをグループ向けにアレンジしたものです。
ほとんどの中級者が持っている共通の学習課題を抽出し、その課題を克服するための効果の高いトレーニングだけを集中して行います。
中級者向けコースは全部で8回あり、8回を通じて必須の学習課題を無理なく克服していきます。
私が参加したのはコース終盤の第7回目。以下のレッスン内容は第7回目についてです。
具体的に扱った内容はこちら。これを2時間かけて行いました。
- 単語テスト
- ウォームアップ音読
- 認知文法とパターンプラクティス
- アウトプットトレーニング
- 速読リーディング
1. 単語テスト
最初に、1週間の自習で覚えてきた単語力を測るための確認テストをします。
私が参加したのは第7回目だったのでテストだけでしたが、第1回目のレッスンでは、効率のよい単語の覚え方を教えてもらえます。
その方法に沿って自習で毎週200〜400の単語を覚え、レッスンの最初の時間に確認テストを行って単語力を定着させていきます。
テストでは、発音や品詞に気をつけながら解答し、最後に自己採点して提出します。
2. ウォームアップ音読
次に、一人一人が個別に英文を音読します。
音読する英文は、大量のインプットを確保するために毎日1題アサインされている副読本から好きなものを選択します。自宅で音読練習してきた英文をどれだけ流暢にそして内容のイメージを思い浮かべながら読めているかの確認です。
「ウォームアップ音読」は、これから2時間英語のトレーニングを行なっていく上で、英語モードにギアを切り替えるための時間でもあります。
音読は、正しく続けているとリーディングのスピードが飛躍的に向上します。TOEICの長文問題が解き終わらない人には大変効果的なトレーニングです。
なお、速読リーディングについては「5. 速読リーディング」でも触れます。
3. 認知文法とパターンプラクティス
ここでは、英文法を認知文法の面から理解し、さらに覚えた知識を使えるようにパターンプラクティスを使ってトレーニングします。
認知文法とは、「ネイティブが英語を捉えるようなイメージで英語を理解する」ための文法のことです。
パターンプラクティスとは、「文法を文の型を通じて身につけ、反射的に口に出せるようにするための練習方法」です。
中級者向けコースでは、関係詞や分詞といったような項目を認知文法の角度から学習します。
そのあとで、学習した内容をパターンプラクティスを使って練習し、瞬時に口に出せるようになるまで体に染み込ませていきます。
認知文法は初級者向けコースで詳しく扱う内容ですが、中級者向けコースはそのダイジェスト版になっています。
中級レベルの人には、文法事項を見直すためのちょうどいい分量になっています。
4. アウトプットトレーニング
次にアウトプットのトレーニングを行います。アウトプットとは、スピーキングとライティングのことです。
中級向けコースはインプット(読む、聞く)のトレーニングが中心ですが、後半ではスピーキングのトレーニングも扱います。
私が参加した第7回目では、”Guessing Game”というスピーキングの導入トレーニングを行いました。英単語の意味を英語で説明するトレーニングです。
例えば、「map(地図)」という言葉を、mapという単語を使わずに簡単な英語を使って相手に伝えるトレーニングです。
実際にやってみると分かりますが、簡単な単語であっても、なかなかうまく説明できません。どうしてもジェスチャーを使ったり、ただ単語を並べて相手に伝えようとしてしまいがちです。
実は、英語らしく説明をするためには、日本語にはない特徴とコツがあります。レッスンではそういったコツを踏まえて、文を作れるようなトレーニングを行います。
アプトプットトレーニングは本格的には上級者向けコースで扱う内容になります。
アウトプットトレーニングの詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。
5. 速読リーディング
速読リーディングとは、ネイティブと同じような感覚で、英文を頭から英語の語順でスラスラ読んでいくスキルを身につけるためのトレーニングです。
このトレーニングでは、一つのまとまった英文を使って、チャンクリーディング、音読、シャドーイングなどを組み合わせ、効果的にリーディング力を高めていきます。
速読リーディングは、英語をネイティブ並みのスピードで読んでいくには欠かせないトレーニングです。
速読リーディングについての詳しい内容は、私が以前受講したこちらの体験レッスンの内容をご覧ください。
個人的には、速読リーディングは中級レベルの人にとってもっとも効果を実感できるトレーニングだと思います。
特に、大学受験や独学などで英語を勉強してきた人には、学んできた知識が実際に使える知識に変わっていくので、楽しくて毎日続けたくなると思います。
以上で第7回のレッスンは終了です。
レッスンの感想
時間は2時間(5分休憩あり)あり、終わったあとはヘトヘトでしたが、満足度はとても高い内容でした。
レッスンは、語彙、文法、リスニング、リーディング、スピーキングのすべてを扱っていて、中級者に必要な学習項目をすべて抑えていると感じました。
講義内容を聞くというよりは、トレーニングを通じて、自分の学習課題に徹底的に向き合っていく時間が中心でした。
レッスン中にもっとも印象に残ったことは、トレーナーさんが頻繁に使っていた「ご自身でどこに課題があるか意識してみてください」という言葉です。
この言葉は生徒が自分の問題点を自力で認識できるようにするための気づきを促すものです。
自分の学習を俯瞰し、自分の課題はどのようなもので、それをどのように克服したらいいか客観的に意識させるのです。
これは専門用語で「メタ認知」と呼ばれるものです。最近の研究ではメタ認知能力が高いと学習や仕事で大きな成果をあげやすいことが知られています。
良かった点と気になった点
レッスンを受けてみて、良かった点と気になる点をまとめました。
良かった点
中級レベルに必要な学習メニューを過不足なくカバー
中級レベルの人に必要な単語、文法、リスニング、リーディングの内容が十分に網羅された内容になっています。
トレーニングの内容は、イングリッシュカンパニーのパーソナルトレーニングで実績のあるものばかりなので、その効果は折り紙つきです。
通っている3か月間は、提供されたトレーニングと自習プログラムだけに集中して取り組めばよく、やることを迷う必要がありません。
同じレベルの仲間がいるので、一緒にがんばれる
パーソナルトレーニングにはない利点として、同じレベルで学習する仲間がいるという点があります。
レッスンではしょっちゅうペアでトレーニングを行いますし、メーリングリストでもお互いの学習進捗がわかるので、一緒にがんばりながら学習できます。
また、スタジオやクラスによって違いはあると思いますが、ペアでのトレーニングが多いせいか、みなさんとても仲が良い印象でした。
パーソナルトレーニングと同じメニューを安く受講できる
値段が4割ほど安く受講できるのは魅力的。
それ以外にも、イングリッシュカンパニーの全スタジオの自習スペースを自由に使うこともできます。
気になった点
パーソナルトレーニングのようなきめの細かさはない
トレーナー1人で、最大5名の生徒の面倒を見るので、パーソナルトレーニングほどのキメ細かさはありません。
とはいえ、決してトレーナーの一方通行ではなく、必要なときには個別に的確なアドバイスをもらえます。
実際、トレーニング中はトレーナーさんがそれぞれの生徒さんの様子を見て回り、生徒全員の課題をよく把握されていると感じました。
対象者がTOEIC500点台〜700点台のため、対象範囲がけっこう広い
対象者はTOEIC500点台〜700点台とありますが、実は300点ほどの開きがあります。
500点台〜700点台のすべての人に効果が出るように設計されているので、500点前後の人は難しく感じるかもしれません。
初回の方は、やさしめの英文を扱いますが、回を重ねるごとに徐々に難しくなっていきます。最終的には、TOEICで言えばもっとも難しいレベルの長文とリスニングを扱います。
500点前後の人は大変な面もあると思いますが、ついていけないことはありません。
実際に500点に満たない人も参加していましたが、その方でも他の方と変わりなくトレーニングメニューをこなしていました。
まとめ
中級者向けコースに限らない話ですが、真剣に英語を身につけたいなら、イングリッシュカンパニーのレッスンを一度は必ず受けてみることをおすすめします。
レッスンのすべてが、科学的に根拠のある方法で組み立てられており、やることに無駄がありません。私にも経験がありますが、独学で学習すると、必ずどこかで遠回りをしていて、そこに気づくだけで時間がかかってしまいます。
それと中級者向けコースの利点として、受講しやすさがあります。
パーソナルトレーニングは人気がありすぎて、なかなか受講ができません。体験レッスンでも1〜2か月待ちで、実際のレッスン受講は3〜4か月先という状況です。
中級者向けコースも満席のクラスが出てきていますが、今ならまだ席に余裕があります。
TOEIC500点〜700点台前後で学習が伸び悩んでいる方は、まずは中級者向けコースの体験レッスンから受講してみるといいと思います。
英語ってこうやって勉強すればいいんだ、ということが本当によく分かると思います。