※幼稚園の各種教育プログラムを説明したパンフレット

こちらは韓国英語レポート「英語で学ぶ、韓国の大学・大学院留学のススメ」の続編です。

私は韓国での生活を始めて二年半になりますが、ソウル市内でも教育熱心な家庭が多いと言われる地域に住んでいます。

たとえるのがちょっと難しいのですが、あえていうと東京の世田谷区や田園調布あたりに少し似ているかもしれません。

ソウル市の中央を流れる漢江沿いに位置しており、比較的裕福な韓国人や各国の駐在員家族が多く住む、落ち着いた雰囲気のある住宅街になります(といっても一戸建ては皆無で、高層マンションがびっしりと立ち並んでいます)。

韓国の英語教育熱の高さは日本でも広く知られていることだと思いますが、今住んでいるエリアの地域性もあるのか、日常生活の中でもそのことを実感する機会が多々あります。

ピアノや数学も、英語で習うのが人気

たとえば、家の近所では外見はまったくの韓国人なのにネイティブなみの流暢な英語で会話をする親子や、小中高生を時折見かけます。

また、住んでいるマンションの掲示板には、英語関係の学習塾や家庭教師、習い事(英語で太極拳、英語でピアノレッスン、英語で数学など)の張り紙がしばしば貼られており、学校から帰るなり習い事に出かける韓国人の子供たちを日常的に目にしています。

米国籍のため、アメリカでの出産を選ぶ韓国の富裕層

では、韓国の英語教育はいつ始まるのかといえば、幼稚園です。韓国の幼稚園には、大まかにわけて、以下の3種類があります。

  1. インターナショナルスクール付属の幼稚園
  2. 英語幼稚園
  3. 韓国幼稚園
    (ソウル市内には日本人学校付属の幼稚園もあります)

韓国の1)では、基本的に外国籍の児童のみに入園・入学資格があります(国によって条件は異なります)。

そのため、子供をインターナショナルスクールに入れたい韓国の富裕層は、米国籍取得のためにアメリカで出産を行うケースも多いと聞きます。

実際、近所にあるインターナショナルスクールのスクールバス停留所を見ていると、外見から韓国系と思われる生徒の割合はかなり高いという印象があります。

2)の英語幼稚園というのは、日本でも最近増えてきていると聞きますが、すべての環境が英語で準備されている幼稚園のことです。

そして3)の韓国幼稚園というのがいわゆる一般的な幼稚園なのですが、もちろんここでもしっかりと英語の教育は行われます。

一般幼稚園でも、毎日1時間の、英語ネイティブ教師とのレッスン

私の息子(現在3歳)は今年の三月から近所の韓国幼稚園に入園予定なのですが(韓国の学校は新学期が3月から始まります)、息子が入る4歳児クラスでは、毎日1〜1.5時間の英語ネイティブ教師による英語レッスンがあります(3歳児クラスだと週に2回、20分ずつ)。

さらに、学期末には英語の台詞を覚えて、英語劇の発表会があるそうです。教育熱心なエリアだからかもしれませんが、この近所ではその幼稚園だけが特別というわけでもなく、他の幼稚園でも同じような英語教育プログラムが用意されています。

幼稚園の先生から聞いた話では、他の幼稚園と同じ程度の英語教育を行わないと、園児の親たちからクレームが入るため、必然的にどこも同じような内容になる、とのことです。

朝9時半から15時まで、英語をはじめとする各種教育プログラムがびっしり


※幼稚園の一日のスケジュール表

ちなみに韓国の幼稚園では、英語以外にも多様な教育プログラムが用意されています。

息子が入る4歳児クラスでは、登園後の9時半より、帰宅時間となる15時まで、昼食とおやつの時間を除き、30分から1時間単位のプログラムがびっしり詰まっています。

英語のように全員が同じように受けるプログラムもあれば、好きな科目を選んで受けるプログラムもあります。

用意されているのは、フードアート、ハングル(韓国語の文字を覚えるクラス)、音楽、体操、体験学習、読書、遊び数学(数字を使った遊び)、美術など様々な内容があります。

それぞれの実際の内容やレベルまではまだわかりませんが、一日のスケジュール表だけを見ていると、そのあまりの詰め込みぶりに、息子がついていけるのかどうか、少々不安になってしまうのが正直なところです。

実際、韓国内でも過熱する早期教育(小学校就学前の子供に対する教育のこと)を懸念する声も上がっており、行政側が早期教育の弊害をまとめた冊子を配布したり、著名な小児精神科医が「児童の脳の発達にあわせた教育が大事」と提唱する本がベストセラーになったりもしています。

韓国では人口の3分の1がソウルに集中しており、ソウルは他の地方都市と比べてかなり特殊なので、今回の記事についてはソウル市内のみにあてはまる状況かもしれません。ソウルの地方都市の状況については、また別の機会に書いてみたいと思います。