グローバルで活躍する人材を育てようと、社内公用語を英語化したり、英語に力を入れる企業が増えています。
楽天やユニクロ、ソフトバンク、サイバーエージェントなどがその一例でしょう。みんなの英語ひろばでは、そんな企業を追った「英語化する企業ウォッチ」を不定期で連載します。
第2回目は、TOEICで900点以上を獲得した社員へ、報奨金を支給する制度を始めると発表したソフトバンク。
TOEIC900点以上の人には100万円支給
2013年1月11日、ソフトバンクはTOEICで900点以上を取った社員に対し、100万円の報奨金を支給する制度をスタートすると発表して話題になりました。
800点以上の人も、30万円の報奨金が支給されることが決まっています。また、800点に満たない場合であっても、600点以上のスコアを獲得すれば、社外の英語研修の受講料を補助してもらえる制度も。
TOEICは990点満点。すなわち900点以上といえば、英語を武器にしたり、英語を用いた仕事に就けるレベルです。
一般的にスコア860以上で、ノンネイティブとして十分なコミュニケーションが可能で、専門外の分野の話題に関しても十分に理解でき、語彙・文法・構文のいずれに関しても、正確に使いこなせるといわれています。
現状では、グループ主要5社の社員およそ17,000人中、800点以上のスコアを獲得できているのは、わずか800人程度。
この数字を3年程度で3,000人にまで増やしていきたいそう。海外展開を加速していくにあたり、社員の語学力を向上させたいという目的があります。
会社単位で社員の英語学習ツールとして「iKnow!」を契約
ちなみにTOEICの高得点者への報奨金制度は、大和ハウス工業などでも導入されています。大和ハウス工業では全社員を対象に、TOEIC600点以上で3万円、700点以上で5万円の報奨金を支給。
600点以上からというのは比較的ゆるめな基準。社員がTOEICを受験するモチベーションはアップしそうです。
さらに、800点以上になると、語学習得の実費として上限10万円、900点以上になると、海外旅行費として会社が20万円を負担してくれます。
最高峰クラスともいえる950点以上になると、社費負担の海外留学も検討できます。
英語学習環境を会社が用意してくれるのは、社員にとってありがたい制度です。ソフトバンクでも、昨年から全社員を対象に、オンライン語学学習サービス「iKnow!」を契約しています。
ソフトバンクグループに勤める男性は「iKnow!を毎日利用している」と話しています。しかし、楽天のように、英語の成績が給与などと直接的に関係してくるわけではありません。
英語学習に訴求力・強制力はないにしても、社内の雰囲気は大きく変わったようです。
「英語に強制力はないですが、通勤中にスマホの英語アプリを活用して、時間を見つけては勉強するようになりました。報奨金はモチベーションになっています」(29歳/男性)
「これを機にスクールに通い始めました。英語を学べるいい機会だなと思ったので」(33歳/女性)
「毎日iKnow!を使って学習しています。海外に行くチャンスがあると思うと、自発的に勉強する気になります」(31歳/男性)
社内の空気は確実に、英語学習に対して良い方向へと向いている、と語る人が多かったです。
米国企業を買収、増え続けるビジネス英語のシーン
ソフトバンクは2012年10月に、米携帯通信大手のスプリント・ネクステルの買収を発表して以来、着々とその準備を進めていました。
来期には買収完了を予定しています。このほか、アジアなどのIT企業への出資も盛んに進めていて、業務で英語を使う機会が急増しています。
英語が必要になっていくとはいえ、英語学習を強制するかたちではなく、報奨金というインセンティブを提示することで、社員に自発的に英語学習を促したソフトバンク。
海外進出の行方はもちろん、社員と英語を今後どう向き合わせていくのか、またソフトバンク社内でのTOEICスコアの動きについても、引き続き注目していきたいものです。