こんにちは!フリーランスの現役英日翻訳者、ランサムはなです。「みんなの英語ひろば」の愛読者の方々は、これまで英語習得・英会話に多くの時間とお金を注ぎ込んで来られた方が多いと思います。

これだけ多くの教材・メソッドが溢れているので、何を買えばよいのかわからない、あるいは買ってはみたもののさほど役に立たなかった・・・という苦い経験をしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか

そこで今回は、良心的な教材と気をつけた方がよい教材をざっくりと見分ける方法をご紹介します。

対象者と目標がはっきりしているかどうかを考える

ピアノでもバレエでもそうですが、ほとんどの習い事は初心者から上級者まで、段階を経て習得していくと考えられています。外国語としての英語学習も同じで、習熟度レベルが上がると難易度が高くなっていきます。

このような習熟度レベルを意識して作成された教材の場合、たとえば初心者なら「最低限の用事がこなせるレベル」、中級者であれば「日常生活に支障のないレベル」、上級者であれば「ネイティブスピーカーと議論できるレベル」など、英語の流暢さを測るための明確な基準が設けられています。

そして「この教材を学習すると、どのようなレベルに到達できることになっているのか」という目標、および「この教材はどのレベルの学習者を対象としているのか」という対象者がはっきりしています。

「初心者を対象とし、海外旅行ができることを目標としている」「海外出張の多いビジネスマンを対象とし、会議で自分の意見が言えるようになることを目標としている」など、修了したときの学習者のあるべき姿を明確に思い浮かべることが出来れば、その教材は学習者のレベルを引き上げ、上達させることを念頭に置いて作成されていると判断できます。

教材開発者の青写真のようなものを思い浮かべることができる教材は良心的です。一方で、レベル分けがはっきりしていない教材は、喩えて言うなら「XXを飲めばガンが治る!」という宣伝文句に通じる危うさが伴います。

「XXを飲めばガンが治る!」がどうして怪しいのかというと、ガンの病状は進行度に応じてステージ分けされていますよね。ステージ1とステージ4で同じ治療をしても、同じ成果は得られないはずです。

それなのに何にでも同じアプローチが効果的だと言ってしまうことに無理が伴うことは、冷静に考えてみれば明らかなことです。英語学習もこの喩えと同じで、初心者と上級者に同じメソッドを適用しようとすることには、相当な無理があると言えます。

教材を手にしたら、その教材がどのようなレベルの学習者を対象としており、何を目標としているかを頭の隅に置きながらページをめくってみましょう。

上記と同じ理由で、「ペラペラ」という宣伝文句にも注意が必要です。なぜかというと、「ペラペラ」という概念自体が、雲を掴むような捉え所のないものだからです。実際、習熟度レベルを判断する際の診断基準にも「ペラペラ」という言葉が含まれているのを見たことがありません。

「ペラペラ」という言葉はあくまでも第三者の目から見た雰囲気を伝える表現であって、診断基準としては成り立たないものです。(そのせいか、上級学習者になればなるほど、自分がペラペラかどうかということよりも話の中身を気にする傾向が強くなります。)

ですので、実際には何も約束されていないことにご注意ください。

以上、ご自身で教材を選ぶ際に、気をつけるポイントをいくつか挙げてみました。最後に改めてお断りしておきますが、今回の記事は、特定の教材を批判したり推薦したりするものではありません。繰り返すようですが、あくまでも「大まかな目安」として、教材を購入する際の参考にしていただければと思います。

そしてもう1つ忘れてはならないのは、現在の学習レベルとその教材が提供しようとしている学習レベルがマッチしないと、どんなに良質な教材であっても宝の持ち腐れになってしまうということです。ですからご自身のレベルを正確に把握し、現在のレベルに合った教材を選ぶことが大切です。

ランサムはな

年間100万ワードの実務翻訳をこなす翻訳歴21年目の英日翻訳者。津田塾大学英文科、テキサス大学大学院教育学部(カリキュラム・アンド・インストラクション)を卒業。NYの日系新聞社の翻訳を始め、デル、グーグル、マイクロソフト等、一流企業が日本市場を開拓する際の製品やホームページの日本語化、Eラーニングの教材翻訳に多数参画。ネットで世界中から仕事を受注しながらアラスカなど各地を転々とした後、北海道富良野市で10年間暮す。現在はテキサスと札幌を行き来する生活を送る。英検一級。英検二次面接官。日本語教育能力検定試験合格。米国翻訳者協会(ATA)認定翻訳者。ブログは「日本とアメリカで働く翻訳者のブログ」。 ツイッター: @HanaKRansom
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