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突然ですが、筆者は習慣的にストレッチと筋トレをします。自宅で簡単に行うものではあるものの、わずかに柔軟性や筋肉量が増すだけで、体を動かすことが楽になります。
同様に、英語を話すときに使う口の筋肉が慣れてくると、なめらかに単語が出てくるようになります。そういった「英語の口」を作ることで、練習もより効率的になり、実践の場で伝わりやすくなりますよね。
みなさんがそれぞれ英語に出会ってから、今までに覚えた単語や文法、言い回しは数えきれないほどたくさんあるはずです。
でもせっかく話す機会があるときに思い出せなかったり、噛んだりしてはもったいないですし、仕事の場面だとなおさらですよね。
上手く話せなかったことなどから苦手意識が生まれ、学習意欲が低下してしまった方もいるかもしれません。
だから今までなんとなく避けてきたけれど、いよいよ英語が必要になってきた……。「分かっちゃいるけど苦手」「英会話の勉強法が分からない」「一人でやると続かない」。こんな風に悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は「自習」と「音読」で英会話の上達を導くパン屋の英会話教室LEONを紹介します。校長の横山礼恩先生は「英語は一人のときに98%上達する」と言います。
筆者も自習はほぼ毎日していますし、音読の重要性も実感しているので、具体的にお話を聴いてきました。
パン屋の英会話教室LEONはどんなところ?
秋葉原駅から徒歩6分、末広町駅からすぐのところにあります。
入ってみると、シンプルな内装でした。スクリーン、スピーカー、ホワイトボードが置いてあります。
校長の横山先生は塾講師として10年間、受験英語を教えた経験があります。ご自身のTOEICスコアも900点近くあったそうです。
しかし、そのころに初めて訪れたニューヨークで「英語が全く通じない」という苦い経験をしました。それから1年間、ニューヨークの語学学校に通い「英会話」を勉強します。
その後、英語を教えたり英語が通じなかったりした経験などを生かすためにご自身でLEONを開校しました。
「英語は一人のときに98%上達する」。英会話力を自分で上達させる方法、それが「音読」なのです。
したがってLEONでは一人で出来る「自習」と「音読」に重点を置いてレッスンを行います。以下で詳しく説明していきます。
パン屋の英会話教室LEONの特徴
自習
英語を自習する習慣がない生徒のために、まずは1日15分の自習メニューから提示します。それをアプリで生徒から報告してもらい、フィードバックをしっかり行います。
自習が管理され、さらにフィードバックがあるのは特徴的ですね(※自習管理は個別レッスンの生徒と、グループレッスンの生徒のうち、希望者が対象です)。
音読
英会話力を伸ばすために音読を重視しています。自分が経験した出来事やテキストの英文を何度も読みます。
頭で覚えている単語や文章を何度も言うことで、口の形や発音の仕方を記憶していくと同時に、内容の理解も深めていきます。
コース内容と料金について
LEONでは、グループレッスンと個別レッスンを行っています。グループレッスンには「Beginner class」「Upper Intermmediate class」があります。
- Beginner:初心者向け。英語の基礎を学ぶ
- Upper Intermediate:中上級者向け。授業はほとんど英語で、ディスカッションなどを積極的に行う
グループレッスン (60分) |
個別レッスン (60分) |
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月4回 | 17,600円 | 44,000円 |
月8回 | 33,000円 | 88,000円 |
短期集中コース (個別レッスン、60分) |
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4ヶ月36回 | 330,000円 |
6ヶ月72回 | 550,000円 |
12ヶ月144回 | 1,100,000円 |
※いずれも税込、月謝制です。
グループレッスンは1時間4,400円、個別レッスンは1時間11,000円で一見すると安くはないようです。が、LEONは週1回通うだけのスクールではありません。
先述したように、希望者に向けてではあるものの生徒さんの自習を管理するためにオンラインでやりとりを行う、いわば「コーチング」を行うスクールです。そう考えるとかなり良心的な価格だと思います。
自習の管理方法などはインタビュー部分で詳しく聞いています。
まずは体験レッスンを受けさせていただきました!
さて、自宅で音読することはあっても、音読に特化したレッスンはあまり耳にしなかったのでどのようなものか気になっていました。
実際のところシンプルな内容でしたし、音読したのは15~20分ほどだと思いますが、頭と口を同時にフル回転させる「大仕事」でした。
お題は「small talk(世間話)」。この日はほとんど英語で行われましたが、一部日本語訳でお伝えします。また、今回は自分用のスクリプトを作りましたが、テキストを用いて音読することもあります。
横山先生:Do you know some kinds of topics are not suitable for small talk?
(世間話にはふさわしくない話題があるのですが、知っていますか?)Yuki:Yes, I think I do.
(はい、知ってると思います)先生:Mainly there are three topics. They’re not good for small talk.
(おもに3つあります。世間話としては良くない話題です)先生:What do you think they are? For example, politics. It’s very controversial. For example, about Donald Trump in the United States. And? What do you think?
(何か分かりますか?例えば政治についてですね。物議を醸すからです。アメリカではドナルド・トランプ氏などが挙げられますね。では<他の2つの話題は>何だと思いますか?)Yuki:Religion?
(宗教ですか?)先生:Yes, we can’t make fun of it. And? It starts from “R”.
(そうです、宗教をからかったりはできませんね。じゃあ次は?Rで始まります)Yuki:Race?
(人種ですか?)先生:Yes, it’s race.
(そうです、人種についてです)Yuki:That’s sensitive, right?
(デリケートな話題ですよね)先生:Exactly. So, what is a good topic for small talk, do you think?
(その通りです。では、世間話には何が良いのでしょう?)Yuki:“How are you doing?”
(「元気ですか?」とか?)先生:Yes, for example, “how have you been?”
(そうですね、例えば「元気ですか」)
- A:How have you been?
- B:Good.
- A:How was your weekend? Did you go anywhere?
- B:Shibuya.
横山先生は、上のようなやりとりは外国人と日本人で交わされるsmall talkだとし、「でもあまりフレンドリーではない」と言います。なぜなら「相手が一つの単語で答えているから」。
良い世間話にするにはより長く話す必要があるそうです。今回は良い世間話のtips(コツ)を教えてもらいます。「世間話では3Eを意識して話しましょう」と横山先生。3Eとは、
- Explain(説明する)
- Example(例)
- Episode(出来事)
です。Explainでは情報だけでなく感情も伝えます。Exampleでは例を挙げて話題を深めます。Episodeでは自己開示をして自分の好きなことを話します。
3Eを教えてもらったところで、制限時間を設けてHow have you been?に続くsmall talkを日本語で書きました。そしてその後、横山先生が英語に訳しながら自ら英文を書いてくれました。
英語に訳す際はネイティブ話者らしい言い回しなどのアドバイスがありました。
<Yukiの日本語文>
元気だよ!この前の土曜日に伊勢神宮に行ってきたよ。ひどい雨でさ、寒かったんだけど、森の中は静かで癒されたよ。伊勢神宮は三重県にあって、高速バスと電車で行ってきたよ、1人で。雨だったから人も少なくて、落ち着いてお参りができたよ。
そして横山先生と相談しながら英語のスクリプトを作っていきます。
先生:英語にするときはSVOC(主語、動詞、目的語、補語)がありますが、シンプルにSとVが大事ですよね。あとは、A(additional Information、追加情報)を入れていきます。
まず「元気?」にもいろいろ言い方がありますよね。「How have you been?」「How’s it going?」とか。何と聞かれても通じるのは「Good, good!」ですね。「Fine, thank you. And you?」ってあまり言わないんですよね。
「(この前伊勢神宮に)行ってきた」はネイティブっぽく言うと、(日常会話の中では)「hit up」がありますね。「連絡して」と言うときも「Hit me up.」になります。もちろん「went to」でもいいですよ。
Yuki:「お参りする」って自分で書いててどう訳すのか考えてたんですが、どうしましょうか?
先生:シンプルに「pray」でもいいですよね。あと「神と対話ができた」みたいな言い方もあると思います。「I could see and talk with God there, who created Japan.」とか。でもここは「pray」としておきましょう。
そして最後は「素晴らしかった」として、感情や感想も加えましょう。
<横山先生の英語文>
Good, good! I hit up Ise Shrine last Saturday. It was heavy rain and chilly but in the forest it was calm and quiet, very relaxing. Ise Shrine is located in Mie Prefecture, and I went there by bus and trains, by myself. Because of the rain, there were few people and I could pray quietly and it was fantastic!
先生:これで音読用スクリプトの完成です。音読の方法はシンプルです。手順が3つあります。
- Reading aloud(声に出して読むこと)
- Overlapping(音声と一緒に読むこと)
- Shadowing(音声を追いかけて読むこと)
まず、音読に必要なのはスピードです。knowledge(知識)とspeed(速さ)はかけ算です。知識がいくらあっても話すスピードがなければ「英会話力」はなかなか伸びません。
Reading aloudでは、このスクリプトを1分間で何周できるかやります。全部で5回行います。ここですごい大事なのが、文章の内容をちゃんとイメージすることです。
スピードが大事と言いましたが、これは頭の中で英文を速く処理する練習です。素早く処理できるようになると英語が早く出てくるようになります。
英文を目で追うスピードも速くするということです。では何周読めるかやってみましょう。スタート!
<Reading aloudの結果>
1回目の3.8周から、4.1周、4.3周、4.8周、5.0周としっかり伸びました。3回目以降は声量を上げるようにアドバイスを受けました。4回目でぐんと伸びたのは、スクリプトを数単語のかたまりで目で追い、口に出せるようになったからです。
Reading aloudでは発音やリエゾンの仕方などを直しながら読むスピードを上げていきます。
音読をしている間、横山先生が毎回あいづちを打ってくれたことが印象的でした。機械的な「作業」にならず実際の会話をイメージして音読できました。
次にOverlappingです。先生が原稿を録音し、その音声に合わせて読みました。これは問題なくできました。
最後にShadowingです。スクリプトを見ながら、録音した音声を遅くしながら、速くしながら、スクリプトを見ずに、など何パターンかのやり方で繰り返し読みました。横山先生は「自分の限界を越えてみましょう!」と励ましてくれました。
先生:もっと難しい練習は、シャドーイングのときにスクリプトの音声を2~3秒待ってから言い始めるんです。前の文を思い出しながらその文を頭の中で作って、それと同時に今流れている音声を聴く必要があるんです。
すっごく負荷がかかるんですよ。でもこれだけやれば、言葉が出てくるようになりますよ。
横山先生にインタビュー
ーー ウェブサイトを拝見しましたが「1日15分の自習」という言葉が印象的でした。
横山先生:英語の学習は長期間で見なければなりません。英語を好きになってもらい、学習を習慣化するには毎日の自習が絶対に必要で、まずは「1日15分」と提案します。
15分は短いようで、意外とハードルが高いんですよ。「チャットワーク」という仕事用のSNSがあるのですが、それを使って生徒一人一人の自習内容を送ってもらい、僕がしっかりフィードバックしています。
授業でやりきれなかったことや授業の音声もチャットワークを使ってデータを送り、自習に役立ててもらいます。
ーー 自習のやり方を教えてフィードバックまである英会話教室というのは珍しいように思います。
横山先生:英会話教室は、この辺は「四面楚歌」のような感じです。なのでこういう教え方をしてます。
結局、みんな何をしたらいいか分からないんです。生徒さんに繰り返し伝えているのは「外国人と話しても上手くならない。英語は一人の時に98%上達する」ということです。
習ったことを定着させるためには、自習が必要なんです。その自習のやり方を教えると同時に、短期集中で基礎を作り、自習が習慣として長く続けられるようにしています。
ちなみに、生徒は短期集中コースを選ぶ方が多いです。
ーー なるほど。ウェブサイトには「音読」が大事ともありましたが。
横山先生:はい、音読を大事にしています。というのも、自分が10年間塾で受験英語を教えていたとき、英語にはそこそこ自信があり、TOEICも悪くなかったんですよ、875点くらいで。
英語を話せると思ってたんですよ。でもそのころにニューヨークに行ったら全く話せなくて、本当にびっくりしました。
日本で勉強していた英語とニューヨーカーの言ってる内容が全然違うんですよ。言ってることがよく聞こえないし、みんな優しくないし(笑)。それで「英会話」を一から勉強しようとニューヨークの語学学校に丸1年通いました。
そこで気づいたのが、音読の重要性です。
そもそも、話す力を伸ばすには「knowledge(知識)xspeed(速さ)」「accruacy(正確さ)xfluency(流暢さ)」が必要です。
ポイントは、ここはかけ算だということです。どちらかの項がゼロだと、話す力がゼロになってしまいます。
つまり、ひたすら外国人と英語でしゃべって「速さ」「流暢さ」を磨いても「知識」「正確さ」がなければ英会話力は伸びないということです。
僕は、英語を話すにはもっとしゃべらないといけないと思っていたんですが、実は話せるようになりたかったら、まずインプットを増やさなければならないということです。これが自習と音読が必要な理由です。
そして音読は、要は精読なんですよ。繰り返し読むことでより深く理解し、内容や言い回し、単語などを自分の中に定着させることができます。
これはつまりインプットを確実に増やすということです。だから音読が重要なんです。
ただ、それだけだと量が確保できないので、たくさん聴く「多聴」も重要です。また、聴くときに大事なのが「comprehensible input」です。
comprehensibleは「理解可能な」という意味がありますが、全部でなくても7~8割ぐらいわかる音声や動画をたくさん聴くことがポイントですね。
―― 多聴は自習や空き時間にもできて良いですよね。教室でも音読が中心ですか?
横山先生:はい、雑談などもしますが中心は音読で、ひたすら読みます。筋トレのイメージに近いですね。会話もしつつ、ひたすら音読します。
日ごろから自習や音読をしっかりできている人はやはり、授業で日常会話が多くなっても、スキルが伸びていくように感じますね。
あと週2回(月8回)来ている人のほうが、週1回の人よりもわずかですがより伸びているように思います。
レッスンでは、音読や会話を通して「こうやれば英会話力が伸びるよ」と勇気づける時間に近いですね、特に僕の授業では。
ちなみに僕の授業は1時間みっちりと感じると思います。なぜなら限界を超えていってほしいからです。
ーー さて、ここまで授業について詳しく聞かせていただきましたが、スクールを運営するうえで横山先生が思うLEONのこだわりや特徴は何ですか?
横山先生:当校は先生というよりコーチに近いですね。伴走者みたいな。
英語を話すだけのところとかが多いと思いますし、文法を丁寧に教えるところとかもあると思うんですけど、うちは会話や文法をどうやったら「分かる」ではなく「出来る」ようになるかに一番フォーカスしています。
また、うちでは宿題をやってくることが前提です。英語は続けないと意味がないので「自習を習慣化させる」ことが特徴だと思います。
また、大事にしているのは「なぜこの練習が必要なのか」を伝えることです。音読は大事だけど、それがなぜ必要かを何回も説明しています。
ーー 「なぜそれが必要か」の説明などは塾講師の経験が長い横山先生だからこその視点だと思います。納得できますもんね。ではそんなLEONにはどんな人が向いているでしょうか?
横山先生:自習を習慣化させるのが当校の特徴の一つなので、英語学習を他人に頼らず「自分がやらなきゃ」という自覚がある人。
あとは、やる気はあるけど続かない人、自分でやり遂げたい人、切羽詰まっている人、目標が分かっている人、などですね。
ーー カリキュラムはどのように作っているのでしょうか?
横山先生:基本的には、レベルを見て教科書を選びます。パン屋の英会話教室LEONでは音読アプリも出しているのでそれをすすめたりもしますよ。生徒さんの要望次第でテキストは随時そろえます。
動詞と前置詞、すなわち「phrasal verbs(句動詞)」を集めた表は自作しています。アプリでも見られます。オリジナルのテキストは今はこれだけですね。
僕のようなネイティブじゃない先生の強みは、いまも勉強を続けていることだと思います。自分の失敗談も話せますし。
ーー 確かに生徒の要望や課題を発見しやすいですよね。ところで、受験英語ではなく英会話の教室を始めようと思ったきっかけはニューヨークに行ったことですか?
横山先生:10年の塾講師を経てニューヨークを訪れたときはミュージシャンになりたいと思っていたんですが、1年の留学ではデビューは難しいと思い、プロにこだわらず音楽は一生やっていこうと思ったんです。
それで留学を終えて日本に戻ったら受験英語を教えないといけなくなるので、英会話を教えるとしたら自分でやってみようかな、と思い立ったんです。
ニューヨークではたくさんの人が自分でビジネスをしているので影響を受けたと思います。
社会人に英会話を教えようという基本的な考えがあって、宿題ができる人には宿題をどんどんやってもらって伸ばすという塾のスタイルを英会話教室にも生かせるんじゃないかなと思いました。
ーー あの、実は始めから気になっていたのですが、教室名に「パン屋」とあるのは何か思い入れがあるんですか?
横山先生:父がパン屋さんで、父のその会社の一部門として英会話を始めたんです。
カフェなどで教えていたのですが、ちゃんとした場所を確保しようということで、父の会社から抜けて独立し、ここに移りました。
ーー そうだったんですね!最後に最大の謎が解けてすっきりしました。本日はたくさんお話を聞かせていただきありがとうございました。
訪問を終えて
音読の効果は筆者も実感していたのですが、LEONさんを訪れるまで音読は一人でひそかにやるものでした。
音読のレッスンは、自分でやるよりもとてもハードな内容で、音読だけで何通りもの練習方法があるなと気づきとても興味深かったです。
横山先生は「自習を習慣化すること」が目的の一つとおっしゃっていました。そのためにレッスン日以外にも先生とやりとりができて、常にフィードバックがもらえる「コーチング」という仕組みは素晴らしいと思います。
一人でコツコツ自習するのが苦手な方はもちろん、すでに自習ができている人も新たな自習方法を見つけられると思います。
「英語は嫌いじゃないけど、一人では学習が継続できない」「時間がないけど英会話をしないといけない」など、一気に現状打破したい方は、検討してみてはいかがでしょうか。
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