translation machine

インターネット環境さえ整っていれば、誰でも手軽に使えて、瞬時に結果を見られる機械翻訳(自動翻訳)。

Google翻訳やエキサイト翻訳、@nifty翻訳などをはじめとする、オンライン上で使える機械翻訳サービスは、かなり充実しているように思われます。

一方、機械翻訳の不正確さを指摘する声は後を絶ちません。機械翻訳の現状と課題をウォッチするとともに、定番・最新ソフトをご紹介します。

機械翻訳の現状

機械翻訳とは、コンピュータプログラムを使って、翻訳作業を自動化したシステムのこと。機械翻訳を使って、ある文章を英語から日本語へ訳すとき、まずは文章の構文を解析します。

主語や動詞、目的語、前置詞などを、単語ごとに分析していくのです。それから、単語ごとに意味を日本語へ置き換えます。その後は一定の文法規則に従って、語順と助詞を整理して、翻訳文を生成します。

これをほぼ一瞬で行うのですから、およそ50年前に機械翻訳が登場したのは、非常に画期的なことだったに違いありません。

90年代以降は統計的な手法での機械翻訳が行われるようになり、より適切な文章へと翻訳できるようになりました。

文章を翻訳する度に適切な翻訳文を学習させたり、計算式を使うことでより正確な翻訳ができるようになったのです。

現在では、多くの無料翻訳サイトや無料翻訳ソフトを使い、多くの人々が何らかの機械翻訳を使うようになりました。

株式会社myGengoがインターネット利用者に対して行った調査によると、翻訳サービスに対する見方や日常的な利用状況に関して、562人の回答者数のうち、94%が機械翻訳ツールを使ったことがあると回答していました。

Webページや文書、電子メールを読むための利用がメインです。頻度にも着目してみましょう。

なんと74%が月1回以上で利用し、うち45%は週1回以上、7%は1日1回以上も使っているという結果に。一方で、翻訳業者にお金を払って翻訳してもらうと答えた人は26%と少なめでした。

機械翻訳の課題

しかし、機械翻訳ではどうしても不自然な日本語になってしまうため、使えないと判断をする人も少なくありません。

確かに機械翻訳では、細かいニュアンスが通じず、小説や詩はもちろん、ちょっとした比喩やジョークなども上手く訳すことができません。大意を把握する目的で使用し、細かい翻訳は自分で行うという人が大半です。

莫大な金額が開発に投資されてきたにも関わらず、機械翻訳は依然として正確さと信頼性に欠けたままなのです。ただ、無料ですぐに翻訳結果を見られるため、個人かつ趣味での利用には手軽な選択肢だといえるでしょう。

外国語で書かれた文章の概要を把握したいという人にはぴったりですが、まだまだ改善の余地があります。また、言語によって、使える翻訳と使いものにならない翻訳とに分かれます。

2つの言語が類似しているかどうかで、機械翻訳の質は良くも悪くもなります。たとえば英語とスペイン語は密接な関係を持っているため、英語ー日本語間よりも良質な翻訳が行われます。

その逆も然りで、2つの言語が遠い存在であればあるほど「ギャップ」が生じるため、機械翻訳は使いものにならなくなるのです。

意外!? プロ翻訳家も機械翻訳ユーザーだった

ここまでは一般の人を対象にしたお話でしたが、実はプロの翻訳家も機械翻訳を使用しているそうです。

株式会社myGengoが、プロの翻訳家に対して機械翻訳を使っているか調査したところ、46%が仕事をする上で、何らかの形で機械翻訳を使っているという結果に。

もっと細かい調査では、業界経験3年以上の翻訳家に限定すると、うち40%が機械翻訳を使用していました。

とはいえ、機械翻訳の精度は100%とは言い難いですから、彼らにとって機械翻訳は「大意をざっくりと把握するためのツール」として用いられているのでしょう。

定番・最新ソフトまとめ

最後に定番・最新ソフトを5本ご紹介します。

ソースネクスト 本格翻訳8

2011年販売本数No.1(Gfk Japanの調査による)を誇る定番翻訳ソフト「本格翻訳7」のバージョンアップ版。NEC製の最新エンジンをベースに、338万語もの基本辞書を搭載しています。

LogoVista コリャ英和!一発翻訳 2013 for Win

言語学の世界的権威である、ハーバード大学の久野名誉教授の理論に基づいて開発された「高精度 LogoVista翻訳エンジン」を搭載しています。また、自身で辞書に単語を登録してカスタマイズすると、より適切な翻訳結果を得ることも可能に。

東芝 The翻訳プロフェッショナル V15

用例がない文を翻訳する場合でも、The翻訳の訳文が候補として表示されるため、翻訳作業効率がアップ。

「用例ベース自動翻訳」を使うと、The翻訳プロフェッショナル V15の翻訳エンジンで翻訳するだけでなく、過去に使用された表現や言い回しなどを有効活用した、自然で読みやすい文章に翻訳できます。

富士通 ATLAS 翻訳スーパーパック

富士通が長年に渡って改善を重ねてきた翻訳エンジンと基本辞書で、使い始めから精度の高い翻訳を導き出すことに定評があります。

文章の意味を把握しながら翻訳する「意味処理方式」、日本語と英語の違いに着目して自然な訳を行う「概念変形」が採用されています。

「基本辞書」は翻訳シーンで必ず使用される辞書で、基本的な単語や使用頻度の高い単語を286万語(英日143万語、日英143万語)も収録しています。

PC-Transer 翻訳スタジオ V20

昨年12月に出されたばかり。最新の翻訳エンジンと辞書による高品質の翻訳はもちろん、実務翻訳での利用を想定した翻訳作業環境「翻訳エディタ」の搭載で、翻訳作業の効率化を最大限にサポートしてくれます。

また、業界初のオフィスドキュメント翻訳機能「Office Open XML 翻訳」を搭載し、DOCX / XLSX / PPTX ファイルのダイレクト編集機能が使えます。

オフィスドキュメントの原文を翻訳エディタに直接読み込み、翻訳、オフィスドキュメント形式での直接保存が可能に。

 

まだまだ進化を遂げてほしいと感じてならない機械翻訳。

ただ50年前に登場し、多くの予算を投下して改良が進められているにも関わらず、平成の現在でも微妙な精度のまま……という現実を考えると、言語を機械で完璧に訳すのは難しいことなのだなと思います。

現状はあくまでも「ひとつのツール」「ひとつの手段」として用いるのが、スマートなやり方なのではないでしょうか。