photo by Jirka Matousek

こちらは「英語の教え方を学ぶ! CELTAコースの準備とその内容」の続編です。

今回は、CELTAの授業でクラスメイトとして一緒に勉強した人たちや教育実習の話などを取り上げます。特にCELTAコースで新任のネイティブ英語講師が注意をされていた点をピックアップしていきたいと思います。
 
ちなみに私が担当した生徒はintermediateレベルで、一応なんとかしゃべれるけどまだまだ力不足、といった感じのレベルでした。 

最初は生徒のレベルをつかめない・何が問題か分からない

授業テーマは現在完了で、ある受講生は、「基本に忠実」な以下の様な問題を作成しました。

例文) Have you ever been to Bangkok?
( )を適当な形で埋めなさい

(        ) you ever (           ) to U.S?
(        ) you ever (           ) to Malaysia?
(        ) you ever (           ) to Japan?
(        ) you ever (           ) to Singapore?

これを見ての生徒の表情は、

びっくり

でした。機械的に埋めるだけじゃん……。授業が終わったあとのフィードバックでは他の受講生から、「いい授業だった」「ほとんど合っていたみたいだし、生徒もよく理解していた」などのヌルい反応があったので、以下のように発言しました。

「このレベルの生徒なら、基本の形は分かっているはずです。もう少し難易度の高い実践的例文にすべきではないでしょうか」コースの先生は「その通り!」とサポートしてくれました。

授業に手一杯で生徒視点が無い

授業の最初には、テキストやリスニングの導入として、ペアを作って英語でフリーカンバセーションの時間を1-3分とったりします。

あるコース参加者は、その会話のトピックに、「好きな色はなんですか?」というテーマで時間を3分とりました。…好きな色で3分?

「何色好き?」「青」「あんたは?」「赤」

確実に10秒で終わる。そして後に話が膨らまない。私の予想通り、30秒で生徒は母語で話し出し、空気が若干悪くなりました。

でも、その人は次の活動での準備をしていて、生徒に目が届かず……。その3分後の授業内容自体はいいものだったので、反省会では好意的な意見が。

しかし私は、「授業自体は素晴らしかったですが、導入に問題が。色で3分は長い。話す事がなくなるし、英会話に来ているのにタイ語でしゃべってました。」と言いました。

コースの先生は、「その通り。導入は、正直問題。最初不安だったけどそれ以外はよかった」とコメント。 

ABCから……?

CELTAでは、模擬授業での使用はありませんでしたが、一応ABCを知らない人用の授業で使う教材(アルファベットの書きとり練習プリント)なども使いました。

その教材を見て、「え、俺がコレ教えるんですか・・・?」と何人かがドン引きしていました。

日本では普通な「アルファベットを知らない人に英語を教える」というのが想定外だったようで、逆にそういう態度が私には新鮮でした。ただ、そこまでイヤそうな顔をしなくても……とは思いました。

だからといってノンネイティブもベストでもない

授業見学でお手本として紹介されたのはノンネイティブの現役イタリア人講師でした、しかし、正直この先生の授業が酷かったのです。理由は以下3点。

1)TTT(Teacher talk time:講師がしゃべる時間)が多すぎる

CELTAではTTTをできるだけ減らしてSTT(Student Talk Time:生徒が(英語を)話す時間)を増やすのが基本だと教わります。

なので、授業中に長くしゃべると指示がwordyだ、 redundantだ、と後でお叱りを受けます。しかしこの先生はその原則を無視。STTが少なかったのです。
 
「これ、ダメなんじゃ?」「・・・うん。」とクラスメイトと話していました。

2)教科書一辺倒でメリハリが無い

テキスト自体はよく考えてあるのでそれをなぞるのも大事ですが、生徒がダレないように授業を組み立たり、声かけをしたりするのも大事なのですが、工夫が見られませんでした。

3)リスニング活動で時間稼ぎ

授業終了まで5分位余ったので、生徒の8割が1回聞いて理解できたリスニングテープを「勉強のためもう一度かける」といって、頭から再生。

開始10秒で早く終わらないかなオーラが教室を覆いました。時間潰しという魂胆が見えてしまい、残念でした。逆にスキマ時間を上手に使う活動が大事だなぁと思いました。 

時代を先取り?フィリピン人もCELTA受講

コース受講者に、もと看護婦のフィリピン人の女性教師がいました。ちなみに彼女は非常に優秀で、最終成績もPassではなくAでした。

しかし授業中に一回だけ「母語の影響を受けた自然な英語でない表現」を使用し、注意されたらしいです(どんなものかは忘れましたが)。私も同様な理由で以下の文を注意されました。

Please exchange the information about the story and answer the questions.

今ならexchangeではなくshareを動詞として使います。

ノンネイティブの弱点は、こういった連語やワードチョイスなどの経験値の違いだと思います。ネイティブだといわゆる英語学習経験がないので、逆に超初心者の気持ちが分からないのが弱点だと思います。