データから見る日本人の留学先

近年、日本国内で高まり続ける「英語熱」。しかし、留学へ行く人は実際に増えているの? ちなみにいまはどの国・エリアが人気なの? 気になる日本人の留学事情に関して、最新データをもとに留学先推移や傾向をご紹介します。

日本から留学に出る人は減少気味

日本から海外への留学車数の推移

OECDやユネスコ統計局、中国教育部、台湾教育部などの統計をもとに、文部科学省が集計した「日本人の海外留学状況」によると、留学者数は1986年(14,297人)から右肩上がりに増えています。

過去に著しかった変化は、1992年(39,258人)から1993年(51,295人)の大幅な人数増加ですが、2004年(82,945人)をピークに、留学者数は減少の一途を辿っています。

特に、2007年(75,156人)から2008年(66,833人)の間には、1年でおよそ10,000人もの減少が見られ、2010年(58,060人)は60,000人台を割り込む結果に。

企業で「英語推進」「公用語英語化」が叫ばれ始めたのは、2010年前後のこと。しかし、この数字が伸びていないということは、一体何を意味しているのでしょうか。

一方、アメリカのIIE「PPEN DOORS」によると、世界全体での留学生数は拡大し続けています。2000年には210万人だったのが、2005年には300万人、2009年には370万人へと母数は増えているのです。

とはいえ、日本の労働環境を見てみると、仕事に就いている社会人が会社を休んで海外留学するのは、決して容易なことではありません。

その分、会社帰りに通える英会話スクールや、自宅で取り組めるSkypeを利用したオンライン英会話など、より身近な英語学習法を選択する人が増えています。

たとえば、楽天が社内公用語英語化を唱え始めた頃、本社周辺の英会話スクールが軒並み楽天社員で埋まった、という話もあったほどです。

また、各英会話スクールでは、短期集中型でみっちりと詰め込むスタイルのレッスンも多く登場し、人気を集めています。

アジア各国が人気を伸ばしている

とはいえ、いまだ一定数の留学者がいるのは事実。留学先として人気の国はどこなのでしょうか。

同調査によると、日本からの留学者数が多い国は、1位から順にアメリカ合衆国(21,290人)、中華人民共和国(16,808人)、イギリス(3,851人)、オーストラリア(2,413人)、台湾(2,302人)でした。

6位以降はドイツ、カナダ、フランス、韓国、ニュージーランドの順。注目すべきはアメリカが対前年比14.3%減で、3,552人と大きく数を減らしていること。

逆に躍進しているのは中国(1,399人増)、台湾(160人増)、韓国(158人増)とやはりアジア各国でした。

たとえば香港では、広東語や北京語のほか、英語留学のできる学校もあります。また、台湾にも大学に留学すると、英語も中国語も学べるといったプログラムがあります。

今後さらに進んでいくグローバル社会に対応できるよう、英語以外にも学べる語学が用意されていること、また比較的安価な旅費、生活費で留学生活を送ることができる、といった理由でアジアを留学先に選ぶ人が増えているのでしょう。

世界的には増え続けている留学者数。しかし、日本だけで見てみると、意外にも減少しているという事実がありました。

海外へ行かなくとも、英語を身につけられる環境ができている、ということの現れでもあります。

さらに英語業界が加熱していくにつれて、この数字がどう変化していくのか、またどのような新しい学習サービスができてくるのか、今後も見て行きたいと思います。

【参考】