英語を勉強した経験がある方なら、一度はバイリンガル講師から学んでみたいと思った経験があるのではないでしょうか?
ハラケンイングリッシュの原先生は、日本生まれアメリカ育ちの完全なバイリンガル。
どのように英語を指導しているのか、一般的な日本の英会話スクールとはどう違うのか取材してきました。
ハラケンイングリッシュってどんなスクール?
ハラケンイングリッシュの設立は2002年。場所は横浜港北ニュータウンのセンター北駅すぐの所にあります。現在は原先生お一人で指導されています。
講師の原先生は英語も日本語も完璧なバイリンガル
原先生は日本で生まれて9歳のときに家族とアメリカのサンフランシスコに移住しました。19歳のときに日本に戻ってこられ、総合商社に9年間勤めたあと、英会話スクールを始められました。
原先生の詳しい経歴はインタビューもご覧ください。
実際の経験に基づく教授法。100%生徒に合わせたレッスンを展開
ハラケンイングリッシュでは通常の英会話スクールで行われているような体験レッスンを設けていません。その代わりオリエンテーションを受けて、ハラケンイングリッシュの指導方針を理解します。
学校でやるような「丸暗記」は禁止、ヒアリングではなくまず発音から始める、など原先生が編み出された独特の教授法で指導します。
単語や文法を学ぶ初心者だけでなく、ビジネス、通訳、翻訳を学ぶ上級者まで、どのような方にも100%生徒に合わせてレッスンを展開しています。
コースも個性豊か。発音クラスは発音以外も扱う全方位英語基礎講座
発音をもっとも根幹にある英語の基礎力と考えているため、多くの方が発音集中コースを受講されています。
100%生徒に合わせてレッスン内容を組んでいるため、必ずしも発音集中コースを受講する必要はありませんが、この発音集中コースは単に発音を扱うコースではありません。
発音集中コースは、まずはアルファベットの正確な発音から始まりますが、単語、文法、歴史、会話など、発音から派生したすべての内容を扱います。本当の意味で英語の基礎的な土台を作るための内容です。
「ELEMENTARY」「BASICS」「ADVANCE」に分かれていて、すべてのコースを終えるには平均で3年ほどかかります。
発音集中コースは、自分に合った内容を扱っている固定のクラスに月4回出席します。ところがそれだけではなく、その他の生徒さん用に設定している発音集中コースにも自由に無制限で参加することができます。
例えば自分が発音主体の発音集中コースに参加していたとしても、他の文法主体の発音集中コースにも自由に参加ができるわけです。
発音集中コースは実質「総合英語基礎講座」なので、発音集中コースを一つ取ることで、ほとんど全ての基礎的な内容を網羅することができます。
発音集中コース以外では、ビジネスクラス、原先生が選定した洋書を同時通訳していくクラス、日本語禁止のクラスなど、とても個性豊かです。
遠方の方はスカイプによるマンツーマンレッスンを受講することも可能です。
またすべての生徒さんに、追加料金なしで日記の添削をしています。正しくてもネイティブの表現として不自然であれば、指摘、添削してもらえます。原先生が完璧なバイリンガルだからこその嬉しいポイントですね。
代表的なクラスの料金表はこちらです。
コース名 | 月額料金 |
---|---|
Pronunciation Clinic (発音クリニック) |
22,000円 |
Conversation (会話) |
15,000円 |
Reading (読解力) |
15,000円 |
Business (ビジネス) |
32,000円 |
HK Five (日本語禁止) |
12,000円/12枚 (チケット制) |
※HK Fiveは自由参加の会話レッスンです。
※会話、読解力、ビジネスコースは複数受講で大幅割引があります。
上記は基本的に複数人数での受講料金です。その他にも数多くのユニークな講座が設置されています。詳しくはホームページをご覧ください。
ハラケンイングリッシュを訪問してきました
ハラケンイングリッシュは横浜市営地下鉄・ブルーラインとグリーンラインのセンター北駅から歩いて1分のところにあるフォーレスト・ノースビルの3階にあります。
レッスンを通じてハラケンイングリッシュのメソッドを知る
ハラケンイングリッシュでは通常、体験レッスンを実施せず、代わりにオリエンテーションを行なっています。
今回は、オリエンテーションや普段のレッスンでお話している内容の一部を、講義形式でレクチャーしていただきました。
単語の理解について
ハラケンイングリッシュでは、試験のためのいわゆる「暗記による記憶」を禁止しています。まずは単語の覚え方を教えていただきました。
ここでは「moon」という単語について。
原先生:日本語に「月」という単語があります。これに形容詞をつけてみてください。どんなものがありますか?
それで私が出した答えがこちら。
「まんまるの、きれいな、ぴかぴかの」
原先生:そうですね。それから日本語では「15夜のお月さん」とか言いますね。つまり日本語の「月」にはきれいで神聖なイメージがあります。
ところが、西洋では月に神聖という概念はありません。むしろ真逆なイメージを持っています。まず真っ先に連想するのは魔女です。それから、男は狼に変身します。あとは吸血鬼です。
つまり月は悪魔(evil)の象徴なんです。これが、英語「moon」の持っているイメージです。
こういったことが理解できていると、例えば日本語で「月のように(白く綺麗な)肌」という表現があった場合「skin like a moon」などとは訳せないことが分かります。
この場合「skin like milk」とか「skin like silk」のように意訳する必要があります。
一つひとつの単語の「日本語訳」だけでなく、その単語のイメージや背景を知っておくことは、自然な英語を話すために欠かせないと感じました。
英語の直接的な表現と間接的な表現
次に教えていただいたのは、直接的な表現(directive)と間接的な表現(indirective)について。
原先生:よく言われることですが、英語圏の人は言いたいことははっきりしています。ただし、言い方は間接的です。これが非常に重要です。
それに対して日本語は、言いたいことは曖昧で、言いたいことをかきあつめて文を組み立てるというようなところがあります。では具体例を挙げてみましょう。
「ここで質問。相手に名前を聞きたいとき、何と尋ねますか?」と原先生。
一般的に連想する答えはこちらではないでしょうか?「What is your name?」
原先生:英語圏で生活をしていて、こんな表現を使うことはまずありません。実はこの表現、直接的で非常に乱暴なんです。こういう尋ね方をするのは裁判官か警察官だけです。
では、英語圏では一般的にどうするかというと、自分から先に名前を名乗ってしまうのです。「I'm Ken」とかいうふうに。
そうすると、相手としては名乗らざる負えないですよね。もし答えなければ、第三者からみてその人は悪者になりますから。つまりそういう状況に追い込むのです。
この感覚に慣れることは非常に重要です。そうすると、英語圏の人は絶対に直接的に物事を言っていないことに気づくはずです。
また、日本人がよくやる間違いとして、なんでも敬語表現にするというのがあるそうです。例えば、こんな表現。
「Could you lend me your hand?(手を貸してもらえませんか?)」
敬語とはいくら丁寧にいったところで直接的な表現です。これを友達にでも言ったら「なんでそんな聞き方するんだ。お前友達だろ。」と感じる聞き方とのこと。これでは友達も作れません。
原先生:つまり、ただ文法や単語を勉強するんではなくて、英語を学ぶにはそのコミュニケーション方法も学ばなければいけないわけです。
日本語と英語の両方を自由に操れる原先生だからこその視点。それを日本語で分かりやすく説明してもらえるのは、バイリンガル講師の強みだと感じます。
今回、限られた時間の中での短いレッスンでしたが、話の切り口が非常に新鮮で、初めて聞くような話ばかりでした。私自身も大変勉強になり、もっと話を聞いてみたいというような内容でした!
原先生にインタビュー
ーー 最初に原先生の経歴について伺いたいのですが、日本で産まれて9歳のときにアメリカに移住されたそうですね。
原先生:はい、9歳のときにアメリカのサンフランシスコに家族と一緒に引っ越ししました。周りには日本人が一人もいない環境で、日本語を使える環境ではありませんでした。とにかく英語を覚えるのに必死でした。
というのも引っ越し先はサンフランシスコの中でも、ものすごく治安の悪い地域でした。暴力や殺人が日常的に起こっていたんです。
日本の小学校と違い、とにかく過酷な環境でしたね。英語を話せるかどうかは文字通りの死活問題だったわけです。
そんな環境だったので、私の母は家の中でも日本語を禁止して、強制的に英語を身につけさせようとしました。その結果、日本語を使う機会がなく、日本語は完全に忘れてしまいました。
ーー それは日本では想像しにくい相当に過酷な環境ですね。日本にはいつごろ帰ってこられたのですか?
原先生:19歳のときですね。帰ってきた当初は日本語はまったく忘れていたので、習得には非常に苦労しましたね。当時はカタコトの日本語で生活していました。
そのあと総合商社に入って、そこで日本語の猛特訓を受けました。毎日、新聞を書き写したりといったことをしましたね。
その甲斐もあって、日本語も不自由なく使えるようになりました。総合商社には9年勤めて、そのあとで英会話スクールを始めたんです。
ーー 英語を身につけるために大切なことはどういったことでしょうか?
原先生:言語に限らず、スポーツでも楽器でも何でもそうですが、万人が完璧に身につけられるという方法はありません。
ただし「主旨と原点」さえしっかり守っていれば、どんなことでもどんな人でもある程度は絶対に上達します。では言語学習における主旨と原点とはなんなのかというと、次のようなことです。
例えば英語では「大きい」ということを表す単語に数多くの表現があります。
「tremendous、humongous、gigantic、huge、large、big」
これは同義語(synonym)と言われるものですね。では日本語には、これに相当する単語がいくつ、どれだけあるのでしょうか?それともないのでしょうか?そして、その理由は何なんでしょうか?
単語という点に関していえば、どうしてこれだけの表現があるの?ということが言語習得の「主旨と原点」です。
「necessity is the mother of invention(必要は発明の母)」という言葉がありますが、単語一つとってみても、それにはすべて存在する理由があるわけです。
英語を本当に身につけたいなら「主旨と原点」に返って、この違いをすべて抑えなくてはいけません。
逆に言えば、この違いを知らないと痛い目に合うわけです。つまりネイティブがある単語を使うのは、その単語を使った表面的以上の理由があるわけで、それは嫌味だったり皮肉だったりするわけです。
ーー 多くの日本人が英語に自信を持てないのは、なぜなんでしょうか?
原先生:日本で行われている英語学習法は、少し独特であると考えています。
例えばハラケンイングリッシュでは、英語を教えると同時に、英語が持つ「歴史」や「背景」についても教えています。
言語を身につけることは、みなさんが考えるほど難しいことではありません。要はその言語の「感性」を身につければよいわけです。それには言葉そのものだけでなく歴史や背景を知ることも大切です。
ーー 確かに歴史や文化を知ることは、その言葉をより深く知ることに繋がると思います。他に日本の英語教育で変わっていると感じる部分はありますか?
原先生:日本では極端に難しいことを、英語学習の初期段階で教えていると思います。普通のアメリカ人が滅多に使わないような表現、例えば「複雑な関係代名詞」などですね。
つまり何が言いたいかといいますと、まだ日常会話に自信を持てない中高生が、最後に取り組むべき内容を最初から習わなければいけないというのが現状なのです。
英語は先に話せるようになってしまった方が圧倒的に楽です。話せるようになってから分かる文法もたくさんあります。まず実際に話して、楽しみましょう。
ーー 最後に英語を身につけるのに一番大切なことを教えてください。
原先生:勉強という姿勢でくるから、英語は身につけられない。楽しむことが大切です。学校の試験の対象だから難しく感じるのであって、本当はもっともっと簡単なんです。
私は、顔立ちは完全な日本人ですが、親戚も家族も皆アメリカに住んでいます。感覚としては今もアメリカ人ですし、なによりも家族が一番という気持ちが強いです。
総合商社には9年間いましたが、仕事は本当に忙しくてね。家族との時間が取れませんでした。
そういった理由で英会話スクールを始めたということももちろんあるのですが、日本人に英語を教えたいという想いはアメリカにいるころからありました。
高校は治安のよい地域に通っていたのですが、そこは観光地でもあったので多くの日本人がいました。ところが、そこにいた日本人の英語はあまりにも酷くてね。すごいバカにされていました。
私は完全にアメリカ人として育ちましたが、誰よりも日本人としての誇りは持っていたし、今も誰よりも強いと思います。ですのでこの状況はなんとかならないか、少しでも役に立てないかと思いました。
そこにいた日本人はいわゆる通じるだけの英語を話していた人が多かったのですが、そういう英語を英語圏で使うと、現地の人間は差別をしてくる場合があります。簡単に言えば舐められてしまうわけです。
でももし、日本人でも現地と同じ表現の英語を話すのであれば、真剣に取り合ってくれます。だから私は、ネイティブの表現にこだわって学ぶ必要があると信じて指導しています。
ここでは「とりあえず通じればよくない?」という英語の指導はしていません。歯の浮かない、自然なネイティブ英語を身につけたい、英語圏で通用するコミュニケーション力を身につけたい方は大歓迎です。
これからも本物を勉強したい方のお手伝いができればと思っています。
感想とまとめ
原先生から伺ったお話はどの内容も新鮮で、目から鱗が落ちるような内容でした。
「それぞれの単語やフレーズをネイティブがどんな感覚で使っているか」を日本語で知れることは、ハラケンイングリッシュの大きな特徴だと思います。
そして英語のレッスン内容は当然として、日本を取り巻く英語教育の現状の説明まで「なるほど」と思わせる話ばかりで、時間が過ぎるのもあっという間でした。
原先生はご自身のことをアメリカ人とお考えだということですが、お話させていただいたごく短い時間の中でも、誰よりも深い日本への愛情と日本を取り巻く環境に対しての憂いを感じました。
海外旅行や映画を楽しみたいという方から、ビジネスでバリバリ英語を使いたいという方まで、十分に満足いくレッスンを受けられるはずです。
本気で「ネイティブらしい、本場の」英語を身につけたい方はぜひ訪ねてみてください。