日本人が英語を学ぶには、ネイティブスピーカーから学ぶ場合も日本人講師から学ぶ場合もメリットとデメリットがあると思います。
横浜の大倉山にあるコーン・イングリッシュ・アカデミーは日豪のご夫婦で経営されていてるスクールです。
そんなネイティブ・イングリッシュ・スピーカーと日本人のお二人はどのようなスクールを運営されているのでしょうか?取材してお伺いしてきました。
コーン・イングリッシュ・アカデミーってどんなスクール?
コーン・イングリッシュ・アカデミーの設立は2017年5月で、非常に新しいスクールです。
経営者のお名前はエイドリアン・コーン先生と、くにこ・コーン先生。コーン・イングリッシュ・アカデミーはご夫婦の苗字から名付けられました。
経験や専門を活かしてレッスンを担当
エイドリアン先生はオーストラリア出身の元大手英会話スクール講師で、くにこ先生は学生時代から英語を専門的に学ばれてきて、長い間、企業で社内通訳と翻訳業に従事されていた英語の専門家です。
お二人の役割はきっちり分担されていて、エイドリアン先生は英会話を、くにこ先生は主に文法や読解を担当されています。
また中高生が多く受講している英検対策コースでは、くにこ先生が一次試験の対策を、エイドリアン先生が二次面接の対策を担当しています。
一次試験の対策では、得点を伸ばすためのコツやアドバイスをしっかりと日本語で理解することができ、二次面接のためには本番さながらに練習ができる。まさに良いとこどりのシステムだと思います。
大人クラスは最大3名と少人数制
コーン・イングリッシュ・アカデミーでは、多くの学生さんやお子さんも学ばれていますが、ここでは一般向けのクラスを紹介します。
月の料金は以下の通り。
グループ (1回50分) |
マンツーマン (1回50分) |
|
---|---|---|
日常英会話 | 15,400円 | 24,200円 |
ビジネス英会話 | ー | 24,200円 |
大人の英文法 | ー | 24,200円 |
グループレッスンは最大3名と非常に少人数です。3名であれば一人ひとりの発話機会も多そうですね。
レッスン代以外には入会金と年間管理費がそれぞれ11,000円かかります。コースによってはテキスト代が必要になります。
コーン・イングリッシュ・アカデミーに行ってきました
場所は東横線の大倉山駅から徒歩5分。駅西側のオリーブ通り商店街にあります。大倉山駅までは横浜駅からは約15分、渋谷駅からは約30分の距離です。
教室はひとつ。光が差し込んでいる、温かい雰囲気です。
教室の壁を見ると、エイドリアン先生の手作りの英語教材が、所狭しと貼られています。
主には子供向けに使うための教材だそうですが、こういったところにお二人の英語教育に対する情熱とこだわりが伝わってきます。
体験レッスンを受講
到着して、さっそくマンツーマンの体験レッスンを受けました。一般英会話レッスンで、先生はエイドリアン先生。
テキストはNATIONAL GEOGRAHIC社が出版している「Keynote」を使用しました。
KeynoteはTED talksを材料に作成されています。一般英会話クラスでは、このKeynoteシリーズを使用します。私のレッスンではIntermediate level(中級レベル)を使用しました。
扱った課題は「Protectors」。動物保護に関するTED talksを集めた内容です。
レッスンでは一本のTED Talkを丸々扱うのではなく、動画の一部(1分〜3分程度)を観て、理解を深める形になっています。
まずテキストを開き、レッスンのトピックにあたる「UNIT GOALS」を生徒が読み上げます。ここでの「UNIT GOALS」はこのような内容。
In this unit, you will.....
・talk about endangered and threatened animals.
・read about why vulture numbers are declining.
・watch a TED talk about the importance of saving vultures.
(※)vulture=ハゲワシ
簡単に言うと「絶滅の危険があるハゲワシの保護について」。これらの英文を口に出すことで、何を意識してDVDを観ればよいかが、予め頭に入ります。
観た内容は生物学者で野生動物写真家のMunir Virani氏のTED Talkの冒頭1分程度の動画でした。
標準的な聴き取りやすい英語でした。あとで確認したところ、Virani氏はケニアのナイロビ出身者とのこと。ケニアはスワヒリ語以外に英語も公用語の国です。
DVDが終わったあとで、先生と会話をしてスピーキングの練習をします。例えば、このような質問。
先生:What’s your impression of vultures? Do you agree with Virani?
(ハゲワシに対するあなたの印象は?Virani氏に同意しますか?)
ここでVirani氏はなんと言っていたかというと「These are disgusting, ugly, greedy creatures.(ハゲワシは醜くて強欲な生き物)」と言っていました。
これを使って私は次のように答えました。
私:They look like hawks. I don’t think they are ugly, but I feel scared of these animals.
(タカに似ています。醜いとは思いませんが、怖そうに見えます。)
エイドリアン先生:I agree. I think they are scary animals, but they do have a reason for living, so we get to learn about that as we go through each unit.
(そうですね、怖く見えますね。でも彼らの存在には大きな意義があります。それについては次回からのレッスンで学びます。)
スピーキングに続いて、次は語彙の練習。今回は1レッスンのなかで、内容が関連している複数のTED talksを使いました。
Joel Sartore's Ark projectという別のTED Talksを読み上げたのですが、その文章の中に次の一文がありました。
Sartore heard about other species in trouble - mammals, reptiles, birds, fish, insects.
この中の「mammals, reptiles, birds, fish, insects」は、生物のカテゴリーを表す単語です。これらの単語の理解を深めます。これを表の黄色の中に入れて、表を完成させます。
amphibians | ||
---|---|---|
frogs toads |
turtles crocodiles |
butterflies ants |
owls flamingos |
sharks tuna |
tigers pandas |
正解はこちら。
amphibians (両生類) |
reptiles (爬虫類) |
insects (昆虫類) |
---|---|---|
frogs toads |
turtles crocodiles |
butterflies ants |
birds (鳥類) |
fish (魚類) |
mammals (哺乳類) |
owls flamingos |
sharks tuna |
tigers pandas |
これが終わると、エイドリアン先生から次のような質問をされました。
先生:Can you add one more animal to each of the categories in the table?
(各カテゴリにもう1種類ずつ、生き物の名前を加えてみましょう)
私はamphibiansが答えられず、エイドリアン先生に答えをもらい、それぞれに1つずつ生き物を加えてみました。
両生類:newts(イモリ)、爬虫類:snakes(ヘビ)、昆虫類:beetles(カブトムシ)、鳥類:swallows(ツバメ)、魚類:cods(タラ)、哺乳類:kangaroos(カンガルー)
テキストの内容(動画)はネット上でも確認することができるため、予習復習がしやすいのもこの教材の良さだと思います。
世界的に有名なTED Talks。正確で自然な英語が使われているプレゼンを聞いたうえで、それに沿って自分の意見を伝えたり新しい単語を学んだりできる、充実のレッスンでした。
なお上級クラスになると、プレゼンテーションの練習もするそうです。
エイドリアン先生とくにこ先生にインタビュー
体験レッスン後は、エイドリアン先生とくにこ先生のお二人にインタビューしました。
ーー ネイティブ講師と英語の専門家の日本人のお二人で経営されているとのことですが、どういった経緯で始められたんですか?
くにこ先生:彼(エイドリアン先生)は日本に来て大手の英会話スクールで6~7年くらい教えていました。私は日本育ちですが、学生時代から英語が好きでずっと勉強してきました。
このスクールを立ち上げる前は、企業で長い間、社内翻訳をしており、通訳の経験もあります。2度の留学経験があり、オーストラリアの大学院で応用言語学を勉強していました。
ネイティブスピーカーの英会話講師と、英語を一生懸命勉強してきた日本人が一緒にやれば、お互いの強みを活かせるのではないかと思って始めました。それが2017年の5月のことです。
彼(エイドリアン先生)が日本に来たのも6~7年前ですが、当初からいずれは2人で英会話スクールをやりたいね、と話していました。
ーー どういった生徒さんが学ばれていますか?
くにこ先生:全体で見れば、幼児、子供さんや中高生が多いですね。もちろん、大人の方にも通っていただいています。
成人の方は、海外旅行などの趣味目的で通われている方が4割ほど、残りの方はビジネスや仕事で必要といった理由です。経営者の方や、海外で毎月英語での交渉があるといった方も学ばれています。
ーー 本当に色々な目的を持つ方たちが通われていますね。二人で同時に教えることもあるのですか?
くにこ先生:いいえ、私たちは完全に分業体制でやっています。それぞれの専門を活かし、彼(エイドリアン先生)は英会話担当で、私は文法や読解をメインで担当しています。
うちのよいところは、総合病院みたいなところだと思っています。同じ病院の中に内科や外科があるようなイメージです。
ーー 英検も一次対策はくにこ先生、面接対策はエイドリアン先生が担当と伺いました。これは心強いですよね。ところで中学英語もおぼつかないくらいのレベルの方が、エイドリアン先生の英会話レッスンに入ると大変なのではないでしょうか?
くにこ先生:もちろん、その人のレベルに合わせてレッスンを進めますので、やる気があれば大丈夫です。
それでも不安があれば、まずは最初に私のところに来てもらって、みっちり文法を勉強し、いずれは彼(エイドリアン先生)のところに行ってもらう、という風にしてもらうこともあります。
ーー テキストについて教えてください。TED Talksを素材にしたテキストを使用しているのは何か理由があってのことでしょうか?
エイドリアン先生:以前、六本木のスクールで教えていたときに、多くの生徒からTED Talksについての質問を受けました。TED Talksを見たんだけど、この表現はどういう意味なの?とかそういったことです。
それで、どのテキストを使おうか探していたときにKeynoteが目に止まりました。
調べてみると、KeynoteはTED Talksを素材とし、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキング、語彙、プレゼンなど英語に必要なすべてのスキルをカバーしている大変優れたテキストでした。
それでKeynoteを採用したのです。TED Talksではネイティブらしい自然な英語を聞けるし、ネイティブがどのようにコミュニケーションするのかも分かります。英語学習には大変有効な教材だと思います。
ーー 多くの日本人学習者に接してきたと思いますが、多くの人がよくつまずいている点はどういったことでしょうか?
くにこ先生:一般的に日本人は、英語の勉強はしてきているので、基礎力はついている方が多いですね。けれどアウトプットが苦手です。そのうちの理由の一つに恥ずかしがり屋というのがあると思います。
ーー そうですね。それは一般的にもよく言われていますね。
くにこ先生:はい、それでコーンイングリッシュでは恥ずかしがらずにどんどん喋ってもらうような工夫をしています。例えばグループレッスンは最大3名にしています。
3名だと他の人のことが気になりすぎず、間違いを恐れないで話せる人数だと思います。
ーー 定員3名だと一人ひとりがしっかり発言できそうですね。他に英語を身につけるコツとかはありますか?
エイドリアン先生:とにかく自信を持つこと。あとは英語を身につけるんだというコミットをすることです。
くにこ先生:私は本気で身につけるには、やはり基礎が大切だと思います。基礎とは文法力と語彙力です。そういうところに不安がある方は私のところにきて欲しいですね。
ーー どういった方に向いているスクールだと思いますか?
くにこ先生:趣味で英会話をしているという方ももちろんウェルカムで、あとはモチベーションの高い方に来ていただきたいですね。
私たち2人はとても情熱的で、ビジネスライクじゃなくて本当に一人ひとりに向き合ったレッスンをしています。本気で身につけたい人にぜひ来て欲しいです。
まとめ
一般英会話コースで扱うKeynoteはTED Talksを素材として扱っているので、自然な英語が身につけられます。
エイドリアン先生は日本での指導経験が長く、金融業界でのビジネス経験もあります。一般英会話でもビジネス英会話でも、多くの方に満足いくレッスンをしてもらえるはずです。
文法や単語力に自信がない方は、まだ英会話のレッスンは早いかもしれません。その場合は、くにこ先生の英文法のレッスンから始めるとよいと思います。
英会話担当のエイドリアン先生と文法や読解担当のくにこ先生。英語が初めてのお子さん、文法も会話も強化したい中高生、会話の前に文法をやり直したい大人の方、それぞれのニーズに応えるスクールだと思います。
近くに住んでいる方は一度立ち寄って、自分に合ったレッスンをアレンジしてみてもらってください。