今や日本人の「必須スキル」となりつつある英語。大人になったときに苦労しないだけの英語力を、小さい頃から子どもに身につけさせたいと願うご両親も多いのでは?
幼い時期から英語にふれることで、英語力が伸びることは確か。子どもをバイリンガルに育てる方法についてご紹介します。
バイリンガルの形態もいろいろ
一口にバイリンガルといっても、さまざまなタイプのバイリンガルがいます。細かく整理・分類してみましょう。
国際結婚などで両親の母国語が異なり、生後間もない時期から2つの言語を同時に吸収する「同時バイリンガル」が一般的なイメージなのではないでしょうか。
一方、両親とも日本人であるものの、3〜4歳頃からプリスクールで英語環境に入っていくのが「早期継起バイリンガル」。5歳以降から第2言語が入ってくるのが「後期継起バイリンガル」といわれています。
今回は、ともに日本人の両親がどのようにして、バイリンガル教育を進めていくかについてご紹介します。
2〜3歳がベストなスタート時期
語学の習得に関しては「まだ早い」といった時期はありません。早ければ早いほどいいくらいです。
英語を正確に聴き取れる子どもに育てたいなら、妊娠後期頃から英語の子守歌や乳幼児向けの英語の歌、乳幼児向けの英語絵本を開きながら付属のCDをお母さんと体内の赤ちゃんで聴くのが良いと話す専門家もいます。
特に2〜3歳頃から12歳までの時期の子どもは、大人の何倍もの言語吸収能力を持っています。英語耳を作りやすい期間です。
しかし、この能力は13歳頃から衰えていく一方です。ちょうど学校で英語を学び始める時期ですから、なんとももったいない話です。つまり、中学で英語を始めることは遅すぎるといっても過言ではありません。
2〜3歳頃から英語にふれていると、ネイティブと同じ発音をマスターでき、カタカナ英語とは無縁の流暢な英語を身につけることができるのです。発音に関しても同様です。
外国人は口を大きくあけて、口と舌の筋肉をフルに使って英語を話しますが、日本人は口をあまり大きくあけず、舌もほとんど使わずに日本語を話します。
この独特な感覚は幼い頃から身につけるべきもの。遅くなってからのスタートではバイリンガルになるのはかなり難しい。早期英語教育を意識してください。
英語を聴かせ、読み、話しかける
実際に家庭ではどんな英語教育ができるのでしょうか。日本語の教育と同様に、聴かせる・読む・話しかけるの3つが重要です。
聴かせる
英語を聴かせて耳に慣らせましょう。たとえ英語があまり得意ではないお母さんでも、英語の歌や物語、短文中心の学習用テープを聞かせたり、短いビデオを見せたりすることはできるはず。
内容が魅力的かつ平易で、聞いていて情景が浮かぶものがベストです。最初は理解できなくても、英語の音声を流しておくだけで英語耳が育ちます。
読む
英語の絵本を読んであげましょう。最近では紙芝居のような「DVD絵本」が人気を集めています。読み聞かせをしたくても、共働きで忙しく時間が取れないというお母さんの代わりに、絵本を読んでくれるものです。
楽しくて明るい内容のものを、何度も読み聞かせるうちに、覚えて音読ができるようになる子どもは多いです。良い内容のものを繰り返し読み聞かせてあげてください。
話しかける
今回のテーマとは少し外れますが、両親の母国語が異なる場合、親は子どもに対してそれぞれの母国語で話しかけてあげましょう。
生後半年ほどで言語特有の音の聞き分けの基礎ができるといわれています。絵本の読み聞かせも各々の母国語のものを担当してください。
一方、両親ともに日本人の場合、かつ英語が得意でない場合は、中途半端に英語で話しかけない方がいいでしょう。子どもが間違った英語を覚えてしまうと逆効果です。
基本的には、子育てをする上で欠かせない「絵本を読む」「歌を歌う・聴かせる」「DVDを見せる」というところに、日本語版だけではなく、英語版も取り入れれば良いのです。
これを毎日続けることがポイントです。やはり「継続は力なり」は確かです。また、英語教育も大切ですが、母国語の日本語教育も大切にしてください。
英語だけでなく、日本語での読み聞かせもたくさんしてあげること。日本語の言語能力が高い子どもは、第二外国語の習得も早いそうですよ。
英語に力を入れたスクールも検討してみよう
外部のスクールに通わせることも視野に入れてみてはいかがでしょうか。代表的な教育施設をピックアップしました。
プリスクール
プリスクールとは英語を使って保育を行う施設のこと。多くは2歳から入学でき、英語中心の保育を受けられます。
プログラム内容は朗読や音楽、読み書き、野外活動、ランチ、おやつなどで、朝の9時頃から13〜14時までのスクールが大半です。
主に2つのパターンがあります。2〜4歳まで通った後は日本の幼稚園に通う場合、プリスクールは保育園のような位置づけです。
3歳から5歳まで通った後は系列のインターナショナルスクールに通う場合、プリスクールは幼稚園としての位置づけです。
気になる費用は、入学金で平均1〜3万円、月額で2〜8万円ほど。ちなみに月額費用は週に何度通うかによって変動し、ランチ代やイベント参加費は別途かかります。普通の幼稚園や保育園よりも高めな費用感に設定されているのが特徴です。
英会話学校
英会話学校も多種多様なタイプがあります。大手有名英会話学校の子ども向けクラスから、子どもに特化した英会話学校まで選択肢はいろいろ。グループレッスンやマンツーマンレッスンも選べます。
気になる費用は大手英会話学校の場合、週1回のグループレッスン(4〜8人程度)で入学金は約2万円、月謝は約1万円、マンツーマンレッスンで40分4,000円〜17,000円とスクールによって幅広い。
インターナショナルスクール
インターナショナルスクールとは、日本に在住する外国籍の児童のための幼稚園・小中高校といった教育施設でした。
しかし現在は国際化の影響で、日本人が入学できるスクールも増えています。とはいえ、入学要件が厳しいことが特徴です。
一般的には英語力の高さが第一条件で、英語での面接で合否が決まります。大抵のスクールでは、保護者がネイティブ並みの英語力を持っていないと、入学を許可されません。
子ども自身に英語力がないと授業についていけないこと、スクールからの連絡を親が正しく理解できないと困ることが理由です。
伝統的なスクールはさらに厳しく、日本国籍者を受け入れていないか、帰国子女でも海外在住歴3〜5年未満は不可など、条件が厳しくなっているようです。
気になる費用は、各スクールによって差はあるものの、一般的には学費だけで年間200万円以上が目安とされています(その他別途費用がかかります)。
両親がともに日本人でもバイリンガル教育は可能です。ただ、スクールに通わせるとなると、それなりに費用がかかることは否定できません。
まずは、家での英語教育を「聴かせる」「読み聞かせる」ことを意識して、日本語教育と同様に、みっちりと取り組んでみてはいかがでしょうか。