英語ドラマを使い倒せ!
正直に告白すると英語ドラマを見始めたのは最近2〜3年の話なので、私よりも視聴履歴が長い人も多くいる事と思います。
しかしドラマが非常に良質な教材だと実感しているので、私なりの使い方を紹介したいと思います。
上級レベルの方が対象ですが、中級の方にもこのレベルに上がって楽しめる事を目標に、努力を重ねる事をお勧めしたいと思います。以下、私が良いと思う理由を挙げていきます。
同じスピーカーの英語を継続して聞き、慣れる事ができる
ネイティブでも英語の発音は、人それぞれ微妙に違います。
特定の人がしゃべっているのを継続して聞くとその人の発音になれてきて、ネイティブの発音への免疫強化になり、聞き取りやすくなる気がします(私だけかもしれませんが気持ちが大事です)。
「いわゆる英語教材」と「初見のネイティブ英語」の橋渡しとして、ドラマは最適です。ヒットしたドラマなら、完成度も高く面白いものが数シーズン分あるわけです。
各シーズンが10時間だと四シーズンあれば、40時間分になります。練習にもってこいですね。
「こういう時ネイティブはこういう」の宝石箱
ネイティブの言う英語の中には、簡単に見えるけど日本語にしてください、と言われると「うーん」となってしまうものがあります。
こういった表現は、自分からはどんなにひねり出しても出てこないのですが、使っているのを聞くと「ほー、こういう言い方もアリか。」となります。例えば、
make a difference
という表現があります。直訳すれば「違いを作る」ですが、
- (ほかの人は失敗したけど)あなたはできる
- あなたならほかの人ができなかった(やらなかった)結果を出せる
- 世の中に変化を生むことができる
コンテクスト次第で上記の全部が、この中学で習う英単語の組み合わせで表現出来ます。
レンタルDVDのコスパは高い(はず)
DVD一本借りるのに昔は350円位でしたが、ゲオでは旧作が一枚80円です。ツタヤでもワンシーズンボックスでいくらという感じで借りることができます。(シーズンワンが格安で、残りは通常料金とかもありますが・・)
ただし、ガッツリ借りて延滞させると地獄が待っていますのでご注意ください。延滞料金は、一枚につきいくらという設定なので、私は2シーズン分位まとめて借りたのを延滞して、5,000円近く払った事があります(涙)
英語字幕で見てリスニング強化
英語の発音はご存知の通り、母音を中心に発音が変化します。
- like it は「ライクイット」よりも「ライキッ(ト)」
- did youは「ディドゥユー」よりも「ディジュ」
- about itは「アバウトイット」よりも「アバウディッ(ト)(アメリカ式)」
といった感じです。こういった発音変化に対して、
- どういう条件で音の変化が発生するかの原理を理解
- 実際に発音変化をしているサンプルを聴き、スクリプトで確認
- 実際に自分が英語を話す時に使ってみる
というプロセスを経る上で、ドラマを字幕で見ると「2」をする大きな助けになります。英語字幕で見ると、もちろんですが俳優が字幕を発音してくれます。
これが英文を黙読しただけでは分からない、音の変化への気づきのきっかけになります。その発音のサンプルに触れるのに、英語ドラマ+英語字幕は良いという訳です。
「それ、普通の英語教材CD+スクリプトでもいいんじゃない?」といわれれば、確かにそうです。
もっというとオバマ大統領のスピーチなどはホワイトハウスのウェブサイトにアクセスすれば、無料でスクリプトと一緒に見ることも可能な物があります。
でも、飽きませんか?私もオバマ大統領の演説を一年間以上こまめにダウンロードしてスクリプトもコピペして、ワードで保存しました。
確実に飽きます。いや、結構刺激的なスピーチも時にはあります。でも、やはり「継続して」「楽しんで」できるのはドラマです。良いスピーチは別枠で、単品で楽しむものだと思ってます。
私が気がついた主な点はこの位です。ドラマ好きの皆さんも他にも色々メリットがあると感じていることと思います。もしよければツイッター等で教えていただけると幸いです。
注意:多読・多聴の活動なので語彙はあまり増えない
知らない単語の意味を前後から推測することは可能ですが、ドラマで鍛えられるのは今脳内にある単語の組み合わせや引き出しから取り出すのが早くなるだけで、あまり新出単語を覚えるという活動ではないという事も併せて書いておきます。
ボキャビルは別の活動で頑張りましょう。次回は私が観て面白かった物を紹介したいと思います。
追記
この記事に関して色々なコメントをいただきました。ここでは以下の4点を取り上げたいと思います。
- 一様な「アメリカ」は存在しない
- 「ディドゥユー」よりも「ディジュ」になることは多いですが、単にみんな滑舌が悪いだけ
- 社会的背景無しに崩れた英語を正しいと思って使うのはお勧めできない
- ドラマは友人と喋る口調での会話が多いので、やはり日本語で言う丁寧語、無難なビジネス口調を練習して、状況に合ったバリエーションを後から学ぶのが良いと思います。
の4点でした。これに関して、記事作成者としての見解を書きたいと思います。
一様な「アメリカ」は存在しない
確かにそうだと思います。インド生まれのインドで教育を受け、シリコンバレーで仕事をするインド人は、グリーンカードを持っていてもインド英語を喋ります。
メキシコからの移民はやはり母語の影響をうけるでしょうし、アメリカ内でも方言や人種によって英語の発音は変わります。ただ、文中で私が書いているように、ネイティブでも英語の発音は、人それぞれ微妙に違います。
特定の人がしゃべっているのを継続して聞くとその人の発音になれてきて、ネイティブの発音への免疫強化になり、聞き取りやすくなる気がします(私だけかもしれませんが気持ちが大事です)。
これが最大の目標です。それと、人によって話す英語は違いますが、大まかに英英語・米英語といった一般的くくりはあります。ケンブリッジ大の出す発音テキストでも、米英語・英英語のくくりで一般的説明を展開しています。
「ディドゥユー」よりも「ディジュ」になることは多いですが、単にみんな滑舌が悪いだけ
これはあくまでも音変化の一つの例ですが、こういった音の同化や消失に慣れてストレスなく聞けるには回数をこなす必要があります。
非母語話者がリスニングで難しいと感じるのがこういった音変化です。そのためにドラマが有効だと思っています。
社会的背景無しに崩れた英語を正しいと思って使うのはお勧めできない
自分が同じ様に話す必要はありませんので、指摘していただいて気がつきました、そう思います。
ドラマは友人と喋る口調での会話が多いので、やはり日本語で言う丁寧語、無難なビジネス口調を練習して、状況に合ったバリエーションを後から学ぶのが良いと思います。
ビジネスするならビジネス口調がベストだとは私も思いますが、用途とドラマのチョイス次第だと思います。
しかし正直、日本で長時間固定メンバーでの良質なビジネス英語を聞けるものが無いと思っているので、次善策という側面もあります。
TOEIC900を超えた日本人視点で見て、上級レベルのノンネイティブが抱える永遠にして最大の課題は、適切な教材を適切な量確保する事だと思っています。
ネイティブに囲まれて仕事をする環境があれば別ですが、日本にいてそれに近い事をするのはなかなか難しいと思っています。
それとこういったコメントをいただいた方々はアメリカに長期在住して仕事をいらっしゃるようです。私から見ると議論のレベルが若干高いと思います。
目標としてはいいし、とても大事な視点だと思います。しかし同時に、日本人の英語レベルが高くない事もあり、その前にやらないといけないことが山ほどあると思っています。
その一つとして、ネイティブの話す英語を一発でしっかりと理解できるリスニング力を付ける事が優先、というのが私の感想です。
最後に英語の多様性(シンガポール人の英語、南アフリカの英語、中東の人の英語等)に関してですが、結局は慣れの問題です。英語にさらされる時間が多ければ適応は可能です。
インドに就職する前、通訳学校の先生に、「インド人の英語に特化した通訳って必要ですか?発音に癖などがあるので、ある意味でそれを専門にするのも選択肢としてはありかと思っていますが・・」と聞いたところ、
「インド人の英語は慣れるまでクセがあるので大変だと思うけど、教育をしっかり受けている人は文法の逸脱などもないしロジックに基づいて話をするから、別にインド英語通訳が特殊技能とはならない。結局聞けてるかどうかは英語へのエクスポージャーとリスニング力の問題。発音が・・・と言う人はリスニング力が無いだけ」
と手厳しいお話をいただきました。私もこれに賛成です。大事なのは基礎のリスニング力をしっかりと養成することにあり、そこがあれば応用はいくらでもききます。なのでリスニングの基礎としてこの活動が大事だと私は理解しています。