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前回の記事で、フィリピンで働いている日本人の英語力に関するアンケート結果とそのサマリーをご紹介しました。今回は「採用する側」の視点で、フィリピンで就職を考えている人に求める英語力について書きます。

私の前職での体験談がベースなので、「日系企業&やりとりするお客様の大半は日本人だがフィリピン人もいる&仕事の同僚はフィリピン人」という前提でご覧ください。フィリピンで日本人向けの求人を出している会社はこういう環境が多いと思うので、あながちはずしてはいないと思います。

フィリピン人と仕事するための英語力は、英語圏のネイティブレベルでなくていいし、そもそも日本人にネイティブほどのレベルは求めない

英語力はあるに越したことはないですし、入社したらもちろん上達して欲しいですが、英語圏のネイティブレベルでなくても問題ありません。あくまで私が勤めていた会社の場合ですが、採用する側は日本人の英語力に対してさほど高望みはしません。(そもそも発展途上国、少しずつ増えているとはいえ日本人に応募してもらうこと自体がハードル高いので…。)

志望者に求めたいのは、最低限「会話のキャッチボールができる」というところでしょうか。質問するだけでもダメですし、聞かれたことに答えるだけでもダメで、いわゆる日常会話ですね。それができない人はお断りしたいです。このあたりは、受験英語しかやっていなくて会話経験がない人よりは、留学経験者の方が場数をこなしていて有利かもしれませんね。

なお、フィリピンのローカル企業や日系ではない外資…例えばMicrosoftやIBMだったら英語がネイティブレベルでないと厳しいかもしれませんが、私が勤めていた会社の場合は、「リクワイヤメントを満たす or それ以上のスキルを持っている人」「日本企業・日本人ならではのビジネスマナーをわかっている人」であれば、英語力が多少低くてもOKと判断するかもしれません。

あると嬉しいのは「答えに困る質問をされた時の切り返し力」

印象的だったエピソードをご紹介します。

私が勤めていた会社で、20代前半の女性を面接したときのことです。仮に彼女をAさんとしましょう。(※このエピソードはAさんの許可を得て掲載しています。)

フィリピン人も交えた英語での面接で、志望動機やいつまでフィリピンにいるのか、といった質問に卒なく答えていたAさんですが、この質問のとき、彼女の視線が一瞬だけ宙を舞いました。

「Describe yourself in three adjectives and why?」

これは、セブ留学中に面接対策の授業で「英語圏での面接ではオーソドックスな質問の一つ」と言われたものです。これまで私が経験した採用面接でこの質問にスラスラ回答できる人がいなかったので、「英語をそつなくこなすように見えるAさんならどういう反応をするのだろうか」というのを知りたくて聞いてみました。(ちなみにフィリピン人はほとんどがスラスラ回答します。)

Aさん、ほんの数秒考えたあと、もちろん英語で「どうしても3つ目が思い浮かばないので、2つだけご紹介させてください」という前置きで「positive」「powerful」を上げ、理由については第三者からの評価を交えながらわかりやすく答えてくれました。

あると嬉しいのは、まさにこの切り返し力です。

Aさんに、入社後にこのことについて聞いてみたところ、「数秒考えたけど3つ目の形容詞がどうしても思い浮かばず、何も言えずに時間が過ぎてしまうのもマイナスポイントだろうから、自分ができる最大のパフォーマンスを出すための切り返しがあれだった」とのことでした。

Aさんなら、もし英語でやりとりする会議で、知らない業界用語が出てきたり無茶な要望を言われたり対応に困ることを言われても、場をうまく繋げる(しのぐ?)と言いますか、うまく対応できるだろうと安心できるエピソードでした。

まとめ

フィリピン就職志望者に期待する英語力は、「商売相手と、多少難しい話でも会話のキャッチボールができること」といったところでしょうか。

メールやチャットなら、わからない単語があっても辞書やネットで検索すればなんとかなりますよね。メールの書き方がわからなくても、世の中には素敵なサンプルがたくさんありますし。みんなの英語ひろばでコラムを書いているめいろまさんの本、買いました?英語的な文章の書き方の勉強になりますよ。私はKindle版を買いました。

 

4255008183 添削! 日本人英語 ―世界で通用する英文スタイルへ
谷本真由美 @May_Roma ポール・ロブソン Paul Robson
朝日出版社 2015-01-28

でも、直接の会話や電話だとこういうものに頼る訳にもいかないじゃないですか。「答えられなくて無言になること」これが一番ダメです。相手からすると、「質問に答えてくれない」「返事がない」「わかっているのか否かわからない」からどうしようもありません。

日本語でも同じかもしれません。クライアントから聞いたことのない業界用語であれこれ要望を言われたり、電話で相手の声が遠くて聞こえなかったり、…そういう時、日本語でも困りますよね。「それはつまり●●●ということですか?」という言い換えや「電話が遠くて聞こえなかったのでもう一度お願いできますでしょうか」という切り返し、と日本語でならスラスラ言えると思います。

こういう切り返しを英語でできるようになればいいんです。最初は大変でしょうが、場数をこなすことでボキャブラリーが増えて自信もついて、あれこれスラスラ言えるようになると思います。

素晴らしいオンライン英会話サービスがたくさんありますよね。お試しレッスンなどで、見ず知らずの先生と世間話をする必要に迫られた時に英語でどういうキャッチボールができるのか、試してみてはいかがでしょうか。

「このレベルでいいの?」と思われかねませんね。同僚やお客様のフィリピン人とコミュニケーションする上で、英語を流暢に話せたり相手にとって理解しやすいメールを書けた方がいいのは言うまでもありません。でも最初からそれが出来る人はなかなかいませんし、採用のタイミングではそこまで高望みはしない、という話です。よくも悪くも日系企業なので。

オマケ:フィリピンで就職を考えている人に求める日本語力

めいろまさんが第一回の記事で次のように書いていました。

英語が微妙な理由はなぜだと思いますか?日本の教育方法?勉強が足りない?もちろんそれらも理由です。しかし、最も大きな理由の一つは、「日本語ですら頭が悪すぎるから」です。「頭が悪すぎる」とは「相手に自分の意志を伝えることができてない」という意味です。

面接で、日本語での受け答えがおかしい人は問答無用で不採用ですね。日系企業として日系企業相手にサービスを提供している以上、日本人のお客様に対して日本語(言葉もメールも)がまともにできない人は困るんです。日本のように「新卒」を大勢採用して新人研修でゼロから丁寧に育てるような環境ならまだしも、海外の日系企業でそういうことはあまりしませんし、そもそも即戦力であって欲しいので。

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Suni

1979年、千葉県松戸市生まれ。「英語もできないノースキルの文系」でしたが、新卒で一部上場企業のSE、ブログサービスのプロマネ、スタートアップの広報・営業、ニート、セブ・ロンドン留学を経て、2013年7月からフィリピンで働いています。 現地採用奮闘記はこちら。  twitter: @Suni
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