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こんにちは、通訳案内士の上田裕美です。

通訳案内士のほとんどはフリーランスです。そのため、自分で仕事を獲得する必要があります。それまで会社勤めの経験しかなかったわたしには、いざ通訳案内士の仕事を始めようとしたとき、そこが1番不安でした。どこにいけば適切な情報を得られるかもわからず、通訳案内士関連の集まりに参加したり、インターネットで調べたり、とにかく最初は情報収集に必死だったのを覚えています。

一般的な仕事を得るルートについては以前記事にまとめてありますので、今回はわたしの2016年度の実績を実例として、ご紹介します。

昨年度、仕事の依頼を受けた旅行会社は5社。これらの会社とのご縁をどうやって得たか、個別にご説明します。

A社

  • 概要
    欧米の旅行会社。小規模グループのロングツアー(9〜14日間)を主催。
  • 契約開始時期
    2015年3月
  • 契約形態
    通訳案内士団体を通した間接契約
  • 採用プロセス
    書類審査、電話インタビュー、トレーニング
  • アサイン方法
    ツアー催行3〜8ヶ月前に、対象ガイドに一斉メールで募集案内が送られる。応募したガイド内で都度選考があり、決定者にのみメールでアサイン通知が届く。

2015年3月にA社のツアーで、わたしはロングツアースルーガイドのデビューをしました。きっかけは、今所属している通訳案内士団体が実施した、A社ツアーのスルーガイド募集説明会に参加したこと。同年2月に神奈川県庁で通訳案内士のライセンス登録をすませ、いざ仕事を探すべく、インターネットで情報収集中のことでした。

スルーガイドという単語も、ロングツアーという仕事の選択肢があることも、説明会当日に初めて知りました。「フリータイムが多く、その時間の過ごし方をどうお客さんに提案するかも自由で、ガイドの裁量権が大きい」A社のツアーの仕事はとても魅力的に感じられました。

A社のツアーを引き受けるにはその団体への所属が条件だったため、団体への入会もすぐに決めました。その1〜2週間後、同団体経由での春のツアーのガイド募集に応募をした結果、無事採用となりました。2015年度は春に2本、秋に1本、2016年度は5本、ツアーをさせてもらいました。2017年度も春にツアーのアサインを受けています。

B社

  • 概要
    欧米の旅行会社。小規模グループのロングツアー(13〜19日間)を主催。
  • 契約開始時期
    2015年8月
  • 契約形態
    直接契約
  • 採用プロセス
    書類審査、電話インタビュー、面接、トレーニング、試乗
  • アサイン方法
    実績に応じて、年度の前半に翌年1年分のツアーをアサイン

Facebookには、通訳案内士の情報交換用のクローズドグループが多数あります。わたしも2〜3グループに参加していて、2015年5〜6月頃、そこで同社の採用担当者がガイド募集しており、応募しました。

同社の名前もこのとき初めて知ったぐらいで何も事前情報を持っていませんでしたが、春のシーズン以降仕事がゼロで、なんでもいいから仕事をしたい一心でした。応募条件には経験3年以上とあったため駄目元でしたが、応募者数が少なかったのか、運良く書類審査に通りました。

その後、バンコクオフィスとの電話インタビュー、東京オフィスでの説明会兼面接、2週間のトレーニング兼選考プロセスを経て、ようやく採用になりました。2016年度は1本、今年は3本ツアーのアサインを受けています。

C社

  • 概要
    日本の会社。教育スタディーツアーを主催。
  • 契約開始時期
    2016年8月
  • 契約形態
    直接契約
  • 採用プロセス
    友人の紹介のため、特になし。
  • アサイン方法
    固定プロセスがなく、都度異なる。

D社

  • 概要
    日本の旅行会社。外国人旅行者向けにスポット・ワンデーツアーを仲介および提供。
  • 契約開始時期
    2015年2月
  • 契約形態
    直接契約
  • 採用プロセス
    知人の紹介のため、特になし。
  • アサイン方法
    ツアー催行3〜14日前に、対象ガイドに一斉メールで募集案内が送られる。応募したガイド内で都度選考があり、決定者にのみメールでアサイン通知が届く。

C社およびD社は、もともと会社の創業者と3〜5年来の知り合い/友人でした。通訳案内士を始めてから直接依頼を受け、仕事でのお付き合いも始まりました。D社の相撲部屋朝稽古案内が、わたしにとって通訳案内士としての初仕事になりました。

私的な交友関係が仕事につながるのは会社員時代に経験したことがなく、とてもありがたいし、フリーならではの面白さだなあと感じています。

E社

  • 概要
    日本の旅行会社。外国人旅行者向けにワンデーツアーを提供。
  • 契約開始時期
    2015年7月
  • 契約形態
    直接契約
  • 採用プロセス
    書類審査、面接、模擬ツアー
  • アサイン方法
    ツアー催行2〜3週間前に、対象ガイドに一斉メールで募集案内が送られる。応募したガイド内で都度選考があり、決定者にのみメールでアサイン通知が届く。

情報収集のため登録をしていたインバウンド情報のメールマガジンで、同社の通訳案内士正社員募集の求人広告を見つけ、応募しました。その結果、正社員という契約形態ではなく、同社主催のワンデーツアーに声をかけていただけるようになりました。

総括

ロングツアーのアサイン時期は早く、今年の年間スケジュールはすでにほぼ決まっています。2017年度の稼働日数は、昨年度より20日間増え、100日前後を見込んでいます。2015年の2月、神奈川県庁で通訳案内士のライセンス登録をしたときは、2年後の今の状況をまったく予想していませんでした。

A社のスルーガイド募集説明会に参加した時点で、わたしのガイド経験はゼロでした。説明会終了後、通訳案内士団体の担当の方に「仕事の経験がなくてもスルーガイドとしての採用は可能性がありますか?」と質問すると、「ちょっと難しいと思います。今年は空港送迎や1日のツアーで経験を積み、来年春の募集に備えるのがいいのでは?」という率直なお返事をいただいたのを覚えています。

ですが、新人にとって、春のピークシーズンは1年にたった1度の大事なチャンスです。この時期にツアーが集中し一時的にガイドが不足するため、それ以外の時期であればベテランガイドが引き受けているだろう仕事をアサインしてもらえる可能性があるのです。一刻も早く仕事がしたかったわたしはこの機会を逃したくなくて、駄目元で応募をしたところ、運良くその年にスルーガイドのデビューを果たすことができました。

正直なところ、初年度からスルーガイドの仕事をできたのは、タイミングに恵まれていた、というのがとても大きいです。わたしがデビューした2015年は、複数の外的要因が重なり、海外からの日本へのツアー数が急増し、ロングツアーのスルーガイド不足が顕在化した時期なのではないか、と感じています。先輩方からは、新人時代にまったく仕事がなかった話や、2011年の東北大震災以降その年のすべてのツアーがキャンセルになった話なども聞いているので、本当に運が良かったんだと思います。

一方で、いくらタイミングがよくても、自分から手を挙げていかないと一向に仕事がもらえないのも、また事実です。以前、年間200日以上も仕事をしている大先輩から聞いて、大事にしていることがあります。その方は、「仕事のチャンスがあれば、とにかく手を挙げること。できるかどうかを心配するのではなくて、仕事を受けてからどうやったらできるか、考えればいい」とおっしゃっていました。

初めての仕事を受けるときは、自分にこなせるのかどうか不安で、いつでもとても怖いです。でも、怖さから手を引っ込めそうになりそうなとき、この先輩の言葉を思い出すようにしています。

上に挙げた5社とは、ありがたいことに継続的なお付き合いをいただいています。ですが、応募書類を提出しても何の返事もいただけなかったり、1度はツアーを任せてもらえたものの、それ以降はお声がかからなかった旅行会社ももちろんあります。

そういうときは自分の実力不足にど〜んと落ち込みますが、ご縁がなかったものと割り切って、どんな仕事を受けても期待値以上のパフォーマンスを出せるよう、経験を積んでスキルを磨いていくしかない、と気持ちを切り替えるようにしています。

次回は、通訳案内士の仕事をしていくうえで、活かせる経験とスキルについて、記事にまとめる予定です。ご質問、ご感想などありましたら、お気軽にtwitter経由でお声がけくださいね。

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上田 裕美

大学卒業後、会社員として2社で営業職に6年間従事。退職・出産を経て、2010年夏に夫、当時10か月の息子と共に渡韓。4年2ヶ月のソウル生活を経て、2014年末に帰国。在韓中、通訳案内士(英語)および高麗大学国際大学院韓国学科(使用言語:英語)にて修士号取得。現在、新米通訳案内士・通訳・ライターとして、修行中。英語検定一級取得。 twitter: @moriyumi0721
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