TOEIC920点、当サイト管理人の岩田(@iwaking)です。カランメソッドのレッスンを、6ヶ月間受講してみました。

カランメソッド

フィリピン人講師のオンライン英会話で広く導入されているカランメソッド。なんとなく「テンポが速い」「たくさん話せる」「厳しそう」などのイメージがあると思いますが、実際に効果はあるのでしょうか。

それを確かめるべく、私が半年間にわたってカランレッスンを受講してみました。

そして結論から先に言ってしまうと、私の場合はリスニング・スピーキング、共に反応スピードが上がって効果を感じましたよ。

この記事では、その具体的な効果や、今まで色々な学習法を試してきたので、それらとどのようにカランメソッドを組み合わせればよいかも書いていきます。

記事の目次

カランメソッドとは?

1960年代にイギリスの大手語学学校により開発されたカランメソッド。ナチュラルスピードよりさらに速い英語を「大量に聞く/話す」というのがベースの「ダイレクトメソッド(母語を使わないメソッド)」です。

基本的なレッスンの進め方は「講師が質問→生徒が答える」の繰り返し。雑談は一切なし、早く答えないと講師が答えを言いはじめてしまう緊張感のあるレッスンがゆえ、「軍隊式」と呼ばれることもあります。

動画を見ていただければ、実際の雰囲気が分かると思います(カランメソッドの詳しい記事はこちら)。

カランメソッドを6ヶ月間、試しました

私はネイティブキャンプというオンライン英会話で実際にカランメソッドのレッスンを6ヶ月間受けてみました。

ネイティブキャンプ

ネイティブキャンプは月額6,480円で毎日レッスン受け放題のスクールです。ただしカランメソッドは別料金で、予約料として一回あたり100コイン(約200円)が必要です。

そしてネイティブキャンプは数少ないカランメソッド正式認定校のひとつです。他には新お茶の間留学などもそうですね。

ネイティブキャンプは良い講師を見つけやすいのが特徴です。評価システムが良くできており、ほとんどの生徒がレッスン後に評価を行うのでけっこう信頼できるデータとなっています。

ネイティブキャンプのカランレッスンの様子(公式サイトより)

それではさっそく、週1~2回x6ヶ月間のカランレッスンを受けて感じた、カランメソッドの効果を書いていきます。

カランメソッドのこんな効果を実感した

私は6ヶ月間でこのような効果を実感しました。

効果① リスニング、スピーキングともに反応速度が上がった

まず聞いた英語の意味を理解するスピード、そしてそれに対して答えるスピードが上がったと思います。それにはおもに2つの理由があります。

ナチュラルスピードの英語に慣れる

通常の英会話レッスンだと、よくも悪くも講師はゆっくり話してくれますよね。聞き取りやすいのですが、いざ海外に行ってみるとネイティブの英語が全く聞き取れなかったという話も耳にします。

ネイティブスピーカーは通常、毎分150~180語で英語を話すようですが、カランメソッドの講師は毎分200語~で話します。初級者でも上級者でも、スピードは最初から変わりません。まさにスパルタですよね。

つまり速いペースに少しずつ慣れていけるので、カランレッスンを続ければ、ネイティブの自然な会話が以前よりもスローに感じるようになると思います。

日本語で考えず英語でそのまま答える習慣がつく

レッスン中はどんどん質問に答えるので、日本語で考えていては間に合いません。また「質問→回答」を繰り返すということは「この質問に対しては、この構文で答える」という、いわばパターンプラクティスです。

なので「英語で考えられるようになる」というよりは「質問に対して英語が自然に出てくる」というのが正しいと思います。私は瞬間英作文で日本語を訳すクセがついていたので、そのクセは少し抜けた気がします。

効果② 発音の矯正に少しだけ役立った

カランメソッドでは、明らかに間違っている発音は、その都度修正してもらえます。

具体的に「舌先をここにつけて…」と説明があるわけではなく、発音矯正がメインのプログラムでもないので、あくまでおまけ的な感じではあります。

ですが講師の英語をリピートする機会がかなり多いので、「聞いた音をそのまま真似する力」が高い人なら、発音は良くなると思います。

カランメソッドの良かった点

おもに「反応速度アップ」「質問に対する回答パターンの習得」「発音の矯正」に効果があったカランメソッドですが、このような効果に繋がった「カランメソッドの良かった点」を紹介します。

話す量が圧倒的に多い

カランメソッドは、フリートークや通常のテキストを使ったレッスンよりも、話す量が格段に多くなります。

沈黙もなく、フリートークでありがちな「講師が一方的におしゃべり」なんてこともありません。言語を話せるようになるには、実際に発話する練習が欠かせないので、これはカランメソッドのメリットだと思います。

講師による教え方の違いが小さい

オンライン英会話は「今日のレッスンが終わってから明日の予約がとれる」というシステムが多いので、毎回同じ講師を予約するのが難しいんですよね(私のプランは2週間先までOKでしたが)。

ですがカランメソッドはレッスンの進め方がガッチリと決まっているため、講師ごとの教え方の差が小さいといえます。つまり毎レッスン同じ講師でなくても、問題ないということです。

ただし受講してみると分かりますが、カランメソッドは講師の負荷もなかなか大きいメソッドです。経験が浅い講師だと、進行が遅かったりもします。

例えばネイティブキャンプだとカランメソッド対応&評価が高い講師を簡単に見つけられるので、このような機能を十分に活用すればより効果を感じられると思います。

瞬間英作文との相性が良い

私は瞬間英作文をかなりやりこんだ時期があります。文法を身につけるには効果的な学習法でしたが、話すときに日本語から入ってしまう癖がつくという問題点もあります。

一方でカランメソッドでは日本語を使いません。瞬間英作文で文法をしっかり身につけたうえでカランレッスンを受ければ、スピーキングに効果的だと思います。

逆にいえば、文法が身についていないままカランメソッドをやるより、瞬間英作文をマスターしてからのほうが上達が早いと思います。中学文法の日→英訳は、一瞬でできるレベルになっていたほうがよいと思います。

カランメソッドの気になった点

反対にカランメソッドに対して感じた「気になった点」です。

慣れるまでは少し戸惑う

カランメソッドには「常にフルセンテンスで答える」「I am→I'mなど省略形を使う」など特殊なルールがあるので、最初は戸惑います。

しかも普段はフレンドリーなフィリピン人講師が、解答を待ってくれなくなり、雑談もしなくなるので、緊張感が走ります(それが正しいカランのルールなのですが)。

またカランでは答えは原則ひとつなので、テキスト通りの答えでなければ、英語としては正しくても訂正されます(例:What are these? と聞かれ They are books. と答えると These are books. に直されます)。

ここではTheyのほうがむしろ自然なので、こういうときは若干モヤっとします。2〜3レッスン受講すれば要領はつかめると思いますが、英語がある程度できる人ほど、最初はストレスかもしれません。

レッスン単価はそこそこ高い

カランレッスンは通常のレッスンに比べて、単価が高いことが多いです。通常のレッスンだと25分200円以下というオンライン英会話が増えていますが、カランは平均25分400円ほど。1,000円近いこともあります。

トレーニングに時間がかかることや、一部の講師しか担当できないことが関係しているのでしょう。

話す呼吸が違う人間同士だと疲れる

日本語でもそうですが、話すテンポは人によって異なります。早口で話す人もいれば、ゆっくり話す人もいますよね。

私は日本語でも早く話すほうではありません。なので早口の講師だと特に、私が答えを分かっていて話し始めているのにもかかわらず、言葉を重ねてくることがあります。

そういう場合、私は無理して早く話さないといけないので疲れてしまいます。カランレッスンは講師による違いが少ないとはいえ、ある程度は自分と呼吸が合う講師を選ぶのも大切だと思います。

自然な会話に通用する力は身につかない

実際の自然な会話で通用するスピーキング力は、ほぼ身につかないと思っておいたほうがよいです。

例文が不自然なものが多いので「あくまで構文の型(パターン)を身につける」「反応の速度を上げる」ための学習法だと考えておきましょう。

カランメソッドは初心者には難しい?

カランメソッドには「初心者からOK」と書かれており、内容も最初は「It's a pen.」レベル。ですが、講師は容赦ないスピードで話すし、文法もすべて英語で説明されるので、初心者には難しいと思います。

英語を話すうえでは「文法、語彙、発音」が必要です。カランメソッドでもそれらはカバーされていますが、例えば英語で「こう発音して」と促されても、なかなかすぐその通りにマネはできないですよね。

なので事前に中学レベルの文法、語彙、発音は学んでおきたいところです。TOEICだと600点以上でしょうか。そうしないと講師の言っていること自体が聞き取れず、混乱してしまうと思います。

ネイティブキャンプは個人的にオススメ

私はネイティブキャンプでカランレッスンを6ヶ月間受けました。ネイティブキャンプは良い講師を探しやすいのが素晴らしいです。利用者みんなのレッスン評価を集計しているので信憑性がとても高いんですね。

評判のいい講師でもそこそこ予約が取れるのも良かったです。予約レッスンは有料のためか、少し先であれば予約できちゃうんですよね。

またネイティブキャンプはイギリスのカラン本部から認められた正式認定校です。そのためネイティブキャンプの講師はカランの教え方に忠実だと感じました。

ただしネイティブキャンプはカランの予約に50コイン(約100円)かかってしまうのはマイナスポイントです。

でも100レッスン受けても1万円くらいですので英語上達のため考えれば安いかなとは思います。通学型スクールだと1レッスン40分で7,000円とかしますからね笑

個人的には評価スコアが4.8以上の講師に絞って予約すればかなり満足のいくレッスンが受けられましたよ。

» ネイティブキャンプの公式サイト

結論:カランは他の学習法と併用すれば効果が上がる

時々、カランメソッドは「驚異のメソッド」などと紹介されたりします。私としてはそんなに大げさなものではないと思いますが、しっかり取り組めば効果のある学習法だと感じました。

私は週1~2回の受講でしたが、このくらいの頻度なら、効果を実感するまでに6ヶ月は必要だと思います。

週3~4回レッスンを受けられるなら、3ヶ月ほどで「反応速度(リスニング)アップ」「英文パターンを使いこなせるようになる」などの効果を感じられるのではないでしょうか。

ただこれらの効果を実感するには、初心者はまず中学レベルの「文法、語彙、発音」を頭に入れる必要があります。ここで瞬間英作文を取り入れるのもオススメ。そのうえでカランメソッドに挑戦するといいでしょう。

中級者はカランメソッドと同時に、フリートークやディスカッションなど「考えを伝える練習」を取り入れましょう。そうすると自然な会話に通用するスピーキング力も身につくと思います。

ちなみにTOEIC対策にカランメソッドを考えている方については、それよりも文法や語彙の復習、過去問に時間を割いた方が効率的だと思います(カランも効果がないとは言いませんが)。

語学学習に「このメソッドだけやっていればOK」といった万能薬のようなものはありません。自分に必要な他の学習法も理解したうえで上手く利用すれば、カランメソッドは効果的だと思いますよ。