「英語もできないノースキルの文系はこれからどうすべきか」という本を先日出版しました。
タイトルは挑発的なのですが、内容としては、英語もできないノースキルの文系に対して心から温かいメッセージを書きました。
今からでも遅くない、ノースキルを挽回するチャンスがあるということを書いたつもりです。
本連載では、3回に分けて、この本の内容のエッセンスに触れながら、就活と英語についてお話したいと思います。
第一回は、実務経験と英語どちらが大事か?というお話をします。
「英語よりも、仕事ができるか」が重要?
英語が大事だというと、必ずこういう反論をもらいます。
- 「英語よりも、仕事ができるかどうかのほうが大事だ。英語は通訳をつければいい」
- 「英語は後からでも、海外にいってからでもなんとかなる。英語よりも、仕事が大事」
- 「英語で内定するなら、帰国子女は全員内定だろ(笑)」
といったものです。
言わんとすることはわかります。英語は後からでも大丈夫だと、それよりも他のスキルを身につけたほうがいいということです。
そして、英語だけしか脳がない帰国子女は、いくら英語がペラペラでも企業において役に立たないじゃないかと。
こういう議論は一見するとその通りのように思うのですが、これから就活をするみなさんにとっては、鵜呑みにするのは危険だと思います。
というのも、こういったことを言う人は、それなりの年齢で、経験も積んでいる人だからです。つまり、20年も30年も前に就職活動をして、内定を得たような人です。
昔は新卒入社時の英語力が問われることは少なかった
20年前、30年前は、就職活動時に英語なんて不要でした。下手に帰国子女であろうものならむしろ敬遠されて、とにかく会社に骨を埋めます、頑張ります、という人が重宝された人材不足の時代です。
そういう中では、英語力がなくてもキャリアをスタートさせることができました。
例えば、私が新卒で入社したのは、外資系のコンサルティングの会社でしたが、入社基準に英語力は不問。実際、TOIECで400点台という人も入社していました。
そして、20年たちました。当時、英語もできずにノースキルで入社した人も、20年も仕事をしていると、かなりの専門的なスキルや、仕事の経験が蓄積されてきます。
いまではその企業の中核の戦力になっていることでしょう。その上で、昨今の海外進出のブームで、これらの企業の中核戦力が海外に派遣されています。
多くはさほど英語は得意ではありません。しかし、20年間で培った経験があるので、後から英語を学んでもOKだったり、もしくは通訳をつけても良いわけです。
日本からメジャーリーグに行く野球選手を考えてみてください。メジャーに移籍するような選手は、実績も十分の即戦力です。だから、英語が喋れなくても、通訳費用を負担してでも通訳をつけてくれます。
これと同じで、企業で十分に経験を積んだ人であれば、英語が喋れなくても、その経験でカバーできるのです。これが「英語よりも、何が出来るかが大事だ」という意味でしょう。
そもそもの前提としての英語
さて、もう一度就活中のみなさんに立ち返ってみましょう。皆さんには、メジャーリーグに移籍する野球選手のような実績があるでしょうか? 無いですよね。
実績部分もゼロ、スキルもゼロ。さて、この状態で、英語よりも何ができるかが大事だと問う意味があるのでしょうか。
20年前の大学生は、英語もできずノースキルのまま入社しても、会社に育ててもらう余裕もありましたし、会社も海外で仕事をすることは想定していませんでしたから、英語無しでも許されました。
現在では、英語ができなければ、経験やスキルを蓄積する前提にも立てないのではないかと思うのです。
スキルも実績も経験もない学生にとって、英語くらいは出来ないと、スタートラインにも立てないのではないか。
「英語よりも、何が出来るかが大事だ」に至る前に、「英語ができないと、仕事をさせてもらえないので、経験自体を積むことができない」という時代が来ると思っています。
要するにこれからの皆さんは、日本の野球リーグを経ずに、いきなりメジャーリーグに新人として突っ込まれることが増えます。
そのとき、英語ができないと、能力以前に、試合に出させてもらえ無い。そういうことが起きるというわけです。ノースキル文系こそ英語。スキルを磨き、経験を得る前提としての英語。
こういう認識をもつというのが、きわめて大事だと思います。さて、このレベルの英語力を得て、ついでに就活に必要な経験を得るにはどうすればいいでしょうか?
「英語もできないノースキルの文系」が就活で必要な英語力はどのくらいのレベルでしょうか?どのように身につけられるのでしょうか?
第二回では、ノースキルの文系が必要な英語力を身に付けるための具体的な方法についてお話ししたいと思います。