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英語はグローバル社会で生きていく上で欠かせないスキルです。仕事や進学、国際交流など様々な場面で英語力が求められます。しかし、経済的な事情や環境の違いによって十分な英語教育を受けられない人も少なくありません。そこで頼りになるのが、英語学習を支援するNPO法人の存在です。これらの非営利団体はボランティアや独自のプログラムを通じて、英語を学びたい子どもや移民、社会人たちをサポートしています。その結果、学習者は費用の負担を心配せずに学べたり、楽しく効果的な学習機会を得たりすることができます。以下では、日本で英語学習支援に取り組むNPO法人を紹介し、それぞれの特徴や活動内容を見てみましょう。

記事の目次

NPO法人 BORDER FREE

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引用元:NPO法人 BORDER FREE 公式サイト

活動理念:教育格差の解消を目指して

BORDER FREEは、家庭の経済状況や居住地域に関係なく、すべての子どもたちが等しく勉強できる環境を提供することを目的としたNPO法人です。

2021年に大学生たちによって設立され、東京都多摩市や新宿区を拠点に活動を展開しています。現在では、全国に活動の輪を広げ、教育格差の是正に取り組んでいます。

主な活動内容と対象者

BORDER FREEでは、以下の4つの学習支援プログラムを通じて、子どもたちの成長を支えています。

1. オンライン個別指導「STRADA」

現役大学生講師が1対1で生徒と向き合い、学習の目標設定から家庭学習のサポートまでを行っています。授業はZoomを使用し、公式LINEを通じて日々の学習状況を管理しています。対象は小学校4年生から高校生までで、1コマ2,500円という低価格で提供されています。

2. 放課後学習教室

多摩センターや聖蹟桜ヶ丘の教室にて、週1〜2回、大学生講師が常駐する学習スペースを提供しています。生徒は自分で持参した課題に取り組み、分からないところがあればいつでも質問ができます。 また、時間割や目標シートを活用することで、学習習慣の定着にも力を入れています。

3. さくら教室(集団授業)

聖蹟桜ヶ丘の教室で、小学6年生から中学3年生を対象に英語や数学の集団授業を行っています。クラスは生徒の習熟度に合わせて編成され、都立高校受験対策にも対応しています。授業料は月額2,000円に設定されており、経済的に困難な家庭には減免制度も用意されています。

4. わせだ教室

新宿区早稲田地域では、小学5年生から中学2年生を対象に、集団授業と勉強会を組み合わせた教室を運営しています。講師には大学生だけでなく、シニアや高校生も加わっており、多世代が関わる学習環境を提供しています。

特色や強み

学生主体の運営:BORDER FREEは大学生を中心に運営されており、若者ならではの柔軟な発想を活かした支援を行っています。

低価格で質の高い教育:授業料を抑えながらも、質の高い授業と手厚いサポートを提供しています。

多様な学習スタイルに対応:個別指導、集団授業、勉強会など、多様な学習スタイルに対応していることも大きな特徴です。

参加・支援の方法

各プログラムへの参加は、BORDER FREEの公式サイトを通じて申し込むことができます。また、大学生を中心としたボランティアスタッフとして活動に参加することも可能です。さらに、寄付という形で団体の活動を継続的に支援する方法も用意されています。 BORDER FREEは、すべての子どもに等しく学びの機会と安心できる居場所を届けるために、日々活動を続けています。

公式サイトを見る

認定NPO法人キッズドア(English Drive)

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引用元:認定NPO法人キッズドアHP

設立目的と理念

認定NPO法人キッズドアは、子どもの貧困問題に学習支援で取り組む団体です。その中で2016年に始まったのが英語学習会「English Drive」です​。経済的に困難を抱える家庭の子どもたちにもグローバル社会で活躍できる英語力を身につけてほしいという理念のもと、英語教育に十分な投資ができない家庭の支援を目的に設立されました​。

主な活動内容と対象者

English Driveでは、小学5年生から高校3年生までの子どもを対象に無料の英語学習会を提供しています​。東京都と仙台市で主に対面形式の教室を開き、現在約150名の児童・生徒が参加しています​。加えて、2021年度からは全国の中学3年生~高校3年生を対象に「English Driveオンライン」という完全オンライン型のプログラムも開始しました。家庭の所在地に関わらず参加できるよう平日夜に開講されており、当初40名だった定員は需要の高まりから約120名にまで拡大しています​。参加者はいずれも家庭の経済状況などから塾や習い事に通うのが難しい子どもたちで、キッズドアはこうした子どもたちに学びの機会を届けています。

提供プログラムの特徴

English Driveでは、英検対策や英会話に特化したカリキュラムを組み、ボランティアとのマンツーマン個別指導を行っているのが特徴です​。経済的負担なく質の高い指導を受けられるため、参加した生徒の英語力や自信の向上が報告されています。例えば、オンライン学習会の継続により「自分に合った英語の勉強法が分かった」生徒が増え、英語力向上によって進路の選択肢が広がったという声も上がっています​。また、このオンラインプログラムには現在、外資系企業を中心とした14社から社員ボランティアが派遣されており​、社会人のメンターたちとの交流を通じて子どもたちは語学だけでなく将来の働き方や生き方についての刺激も得られるそうです​。

参加・支援の方法

キッズドアの英語学習会に参加したい子どもや保護者は、キッズドアの公式サイトなどから募集情報を確認し、所定の方法で申し込むことができます。参加は無料で、家庭の経済状況に応じた要件があります。また、この活動を支援したい社会人は、ボランティア講師として参加することも可能です。英語指導の経験を活かして定期的に子どもたちを教えたり、企業として社員をボランティア派遣する形で協力したりすることも歓迎されています​。さらに、寄付を通じて団体の活動全体(英語以外の学習支援も含む)を支えることもできます。キッズドアはこうした支援者と共に、すべての子どもが平等に学べる機会を提供すべく活動を続けています。

JOEE(Joyful Opportunity English Education)

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引用元:JOEE公式HP

設立目的と理念

JOEE(ジョイフル・オポチュニティ・イングリッシュ・エデュケーション)は、児童養護施設で暮らす子どもたちに英語学習を通じて「生きる喜びや楽しさ」を届けることを目的とした非営利団体です​。家庭の事情で親元を離れて暮らす子ども達に、英語を学ぶ機会と国際的な視野を提供することで、自信と将来への希望を育むことを理念としています。優しい大人との触れ合いや異文化との出会いを通じて、子どもたちは「親切で信頼できる大人は様々な国籍や民族の人々にもいる」という大切な学びを得ています​。幼い頃に他国の人々を受け入れる心を育むことは、将来社会に出たときに多文化社会で生きる大きな強みになるという信念が背景にあります。

主な活動内容と対象者

JOEEの活動の中心は、児童養護施設(孤児院や里親支援施設など)における英語のレッスン提供です。対象は主に未就学児から小学生くらいの幼い子どもたちですが、最近では中高生の年長児童からのニーズも増えてきています​。現在、東京都をはじめ全国各地の施設でボランティアの英語教師が定期的に訪問し、英語の歌やゲーム、絵本の読み聞かせなどを通じたレッスンを行っています。活動開始から約6年が経ち、参加してきた子どもたちは楽しみながら英語に親しみ、多くの思い出と学びを積み重ねています。レッスンはすべて無料で提供され、施設の職員とも連携しながら子ども達の様子を見守りつつ進められます。

提供プログラムの特色

JOEEの英語レッスンは「楽しさと創造性」がキーワードです。具体的には、歌に合わせて体を動かしたり、人形(パペット)を使った寸劇やゲーム、本の読み聞かせなど、子どもが夢中になれる工夫を凝らしています。静と動のバランスをとりながら飽きさせない構成で、英語が初めての子でも自然と単語や表現を身につけられるように設計されています。また、レッスンには日本在住の外国人ボランティアやバイリンガルの教師たちが携わっており、多国籍な大人との触れ合い自体が子ども達にとって貴重な異文化体験となっています。こうした楽しいレッスンを通じて、子ども達は英語力だけでなく自己表現力やコミュニケーションへの自信も育んでいます。「JOEEの時間が大好き!」と目を輝かせる子どもも多く、英語=楽しいものというポジティブな印象を持ってもらえることが大きな成果です。

参加・支援の方法

JOEEの活動はボランティアと支援者によって支えられています。英語教育の経験がある方や子どもと接することが好きな方は、所定の研修を受けてボランティア教師として参加することができます。現在も新たな児童養護施設へのレッスン提供を望む声があり、JOEEでは「うちの施設でレッスンをしてほしい」という相談や、新規ボランティア希望者からの連絡を歓迎しています。公式サイトの問い合わせ先に連絡すれば、参加方法や研修内容について案内を受けられます。また、時間が取れない人でも寄付という形で支援可能です​。JOEEのサイトではオンライン決済(Stripe)による寄付受付も行っており、寄付金は教材の購入やボランティアの交通費など活動継続に充てられます​。JOEEは今後も支援の輪を広げ、より多くの施設の子どもたちに英語を通じた笑顔とチャンスを届けようとしています。

NPO法人多言語多読(英語多読支援)

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引用元:NPO法人多言語多読HP

設立目的と理念

NPO法人多言語多読は、「多読(たどく)」と呼ばれる読書を通じた語学学習法を普及させることで、誰もが楽しく自由に外国語(英語を含む)を身につけられる社会を目指す団体です。特に、生涯教育の一環として英語が必要な社会人や、大人になってから英語を学び直したい人への支援に力を入れています。設立趣旨には、「やさしい英語の本をたくさん読むことで自然に英語力を伸ばす学習法を研究・開発し、英語学習者を支援することで日本人の英語力向上に寄与する」ことが掲げられています。これは受験英語や文法暗記に偏らず、「読む喜び」を通じて言語を習得するという、多読の理念そのものです。

主な活動内容と対象者

多言語多読では、日本語話者の英語学習支援はもちろん、外国人の日本語習得支援も含め、読書を活用した教育活動を幅広く展開しています​。英語学習者向けには、全国各地で多読の講演会やワークショップを開催し、図書館に多読用の蔵書を充実させるための普及活動も行っています。また、毎年一度、多読実践者が集まる「多読祭り」というイベントを主催し、情報交換や交流の場を提供しています​。具体的なプログラムとしては、初心者が気軽に体験できる英語多読の無料体験会を毎月実施しているほか​、レベル別に分かれた英語多読講座や読書会(オンライン参加可)も定期的に開催しています​。対象者は小学生から大人まで様々で、親子で参加できる講座や、学校の授業に多読を取り入れるための教員研修なども提供されています​。このように、多読という方法論を軸に、年齢や国籍を問わず多くの人の語学学習を支援している点が特徴です。

提供プログラムの特色

多言語多読の最大の特色は、「やさしい本から楽しくたっぷり読む」ことで自然に語学力を伸ばす多読メソッドを実践していることです。多読には「辞書は引かない」「分からないところは飛ばす」「つまらなくなったら他の本を読む」といった三原則があります。このアプローチにより、学習者は難解な文法に行き詰まることなく、自分のペースで読書そのものを楽しめます。例えば、絵本や児童書、語彙レベルを調整した「グレイデッドリーダー」と呼ばれる教材を使い、初心者でも物語を理解できる成功体験を積み重ねていきます。その結果、読むスピードが上がったり語感が身についたりするだけでなく、英語への苦手意識が薄れ「もっと読みたい」「他の表現も知りたい」という意欲が引き出されます。多言語多読では、こうした学習効果を研究し実証するため、学習者の実践報告の共有や教材開発にも取り組んでいます​。実際に、外国人向けには日本語学習用のやさしい読みものを独自に作成・出版するなど、言語を問わず多読環境を整える努力を続けています​。

参加・支援の方法

多言語多読の活動には誰でも参加・貢献することができます。英語多読に興味のある人は、まずは毎月開催されている無料体験会に参加してみるとよいでしょう​。公式サイトのイベントカレンダーから日程を確認し、オンラインまたは対面の会場で実際に多読を体験できます。また、定期講座や読書会への参加も、初心者から上級者までレベル別に用意されているので、自分に合ったクラスで楽しみながら学べます​。さらに、この取り組みを支援したいという方は会員制度を利用できます。会員になることで、多読の普及活動に仲間として加わり、運営を経済的に支えることができます​。会員は自宅や地域で多読を広めたり、イベントを手伝ったり、会費で団体を支援したりと様々な形で関わることが可能です。そのほかにも、読まなくなった多読向けの本を寄贈したり、寄付金によって活動を後押ししたりといった支援方法も受け付けています​。多言語多読は「読みたい人」と「支えたい人」双方の参加によって、日本中・世界中に多読の輪を広げようとしています​。

まとめ

今回紹介したように、一口に「英語学習支援」と言っても、NPO法人ごとに対象者やアプローチは様々です。経済的困難を抱える子どもをマンツーマンでサポートするキッズドア​、施設で暮らす幼い子どもに笑顔と自信を届けるJOEE​、そして年齢やバックグラウンドを問わず読書を通じて英語力向上を支援する多言語多読​と、それぞれが異なるニーズに応えています。共通しているのは、「機会を提供する」という熱意と、営利を超えた社会貢献の姿勢です。英語学習にハンデを感じている読者の方も、これらのNPOのプログラムに参加することで新たな一歩を踏み出せるかもしれません。逆に、自分のスキルや時間を活かして誰かの学びを支援したいという方は、ボランティアや寄付という形で関わる道も開かれています。英語は「学びたい」という意志さえあれば、様々な人々の支えによって必ず習得への道が開けるはずです。ぜひ自分に合った支援団体やプログラムを見つけ、英語学習の旅を充実したものにしてください。各NPOはあなたの挑戦を温かくサポートしてくれることでしょう。